ヤマハ TRACER900の特徴と買う・売る時のポイント
MT-09トレーサーが2018年4月にモデルチェンジを行い、車名もトレーサー900(TRACER900)に変更しました。ここでは、東京モーターサイクルショー2018での取材内容も含めて、スペック・評価をまとめました。
そもそもMT-09トレーサーは、2015年にMT-09の派生車種として発売されました。ベースになったMT-09は、徹底したダウンサイジングと軽量化で、400cc並の車体サイズにパワーと剛性を加えた、扱いやすくてお手軽な大型バイクとして大ヒットしたモデルです。
MT-09トレーサーはスポーツ性を高めて、スポーツ・マルチ・ツール・バイクをコンセプトにしています。実際には、大型スクリーンを装備されたこともあって、スポーツ性重視よりもツアラーバイクとしてMT-09トレーサーを選ぶ方が多いです。
発売以来国内外で大ヒットしたモデルで、2018年4月8日にモデルチェンジを行い、車名をトレーサー900に変更しました。今回から新しく上級グレードのGTを追加しています。(GTは2018年6月15日発売)。
MT-09トレーサーは、2017モデルでもMT-09と同時にモデルチェンジしましたが、2018年のモデルチェンジは専用スイングアームを採用するなど、トレーサー900のオリジナル性を高めた内容です。ツアラーの特性を高めて「MTー09」の看板を外しただけではなく、多数のパーツを一新して、2017年モデルより大幅な進化を遂げています。
このページの目次です
2017年モデル・MT-09トレーサーからの主な変更点
・フロントマスクを含めたデザイン変更
・大型化と片手操作可能な10段階高さ調整機能付き大型スクリーン(ウインドシールド)
・ステップ、クラブバーの形状を変更
・クッション性を高めてメインシートの2段階高さ調整機能も加えた新設計セパレートシート
・幅を狭くした新設計ハンドル
・60mm延長した新設計スイングアーム
1番のポイントはスイングアームを長くして、快適性を重視したことです。ホイールベースは広がりMT-09はスポーツ性重視、トーレーサー900はツアラー性重視で、従来モデル以上に差別化を明確にしました。
エンジン、マフラー、テールランプなど、先代を踏襲している部分も多いですが、ライダーや同乗者の快適性を高める変更を多数行っていて、充実の進化だと評価できます。
トレーサー900GT専用装備
・フルアジャスタブルフロントフォークへのアップグレード
・油圧プリロードアジャスター付きリアサスペンション
・アップ対応のクイックシフトシステム(QSS)
・クルーズコントロール
・グリップウォーマー
・走行モード(D-MODE)、ギアポジション、外気温、水温、時計、燃料計、グリップウォーマーなどを表示する多機能TFTカラー液晶メーター
ベースグレードのTRACER900 ABSの価格は1,112,400円。TRACER900 GT ABSの価格は1,198,800円で、およそ8万円弱の価格差です。前後サスペンションがアップグレードされていて、グリップウォーマーとも連携したカラー液晶メーターも付いてくるので、オススメはGTです。
欧州仕様で標準装備になるパニアケースは、国内仕様はグレードを問わずオプション扱いです。GTのリアサスペンションはパニアケースを付けたまま、工具不要で減衰圧調整を行えます。走る場所によってサス調整を行えるサスペンションは、スポーツアラーからの要望の多い機能です。
TREACER(トレーサー)900のスペック
車種名 | TRACER900 |
---|---|
メーカー | YAMAHA (ヤマハ) |
排気量 | 845cc |
発売時期 | 2018年4月8日 |
エンジン形式 | 水冷4ストローク直列3気筒/DOHC4バルブ |
燃費 | 国土交通省届出値28.4km |
トランスミッション形式 | 常噛6段リターン |
クラッチ形式 | 湿式多板 |
燃料供給方式 | フューエルインジェクション |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
車両重量 | 214kg(GTは215kg) |
乗車定員 | 2名 |
最高出力 | 85kW(116PS)/10,000rpm |
最大トルク | 87Nm(8.9kgm)/8,500rpm |
新車価格 | 1,112,400円(STD)/1,198,800円(GT) |
中古車相場 | 80万円〜95万円(2015年式MT-09TRACER) |
ヤマハ トレーサー900の評価
2017モデルのMT-09トレーサーに比べて5万円ほどの値上げがありました。新型トレーサー900ではパッケージングにお得感のあるGTを狙いたいところです。先代のMT-09トレーサーは足着き性の悪い問題点があり、2段階調整のシートを新採用しましたが、低い位置の状態でもシート高は850mmあり、先代の標準仕様より1cmしか低くなりません。
スイングアームの延長やスクリーンの大型化をしているので、高速走行の安定性と快適性は大幅にパワーアップしています。細かいデザインは多数変更していますが、デザインコンセプトに変更はなく、遠くから見た印象ではMT-09トレーサーと大きな違いを感じにくいのも残念なポイントでした。
新型トレーサー900を買うなら、モーターサイクルショーの展示車にも付いていた、ワイズグア製のサイドパニアオプションを付けたいところです。新型トレーサー900用パニアの情報はまだ出ていませんが、MT-09トレーサーの時はサイドパニアを付けるのに8万円ほどかかります。
オススメグレードのGTにパニアを付けると諸費用別で128万円ほどになるので、本格的な大型ツアラーバイクの価格になった印象を受けます。MT-09の初代モデルの車体価格は約85万円で、軽量ボディの扱いやすさとお手頃価格を売りにしていましたが、新型トレーサーはお手頃感の薄れてしまった点は残念に感じます。
全体的なバイクの価格高騰やモデルチェンジによる質感アップ、ABS標準化をはじめ電子制御装備の充実もあって、MT-09も2018年モデルでは約100万円の価格設定です。安さよりも装備の充実度を重視する時代の流れを受けた形で、MT-09シリーズ(先代のトレーサー含む)との価格差に見合うパッケージングになっています。
細部のデザインだけではなく、実用性を重視したアップグレードをしているので、楽しく快適に乗れるバイクに進化しました。
ヤマハトレーサー900の新車値引き・カスタムに関して
トレーサー900は2018年4月8日に発売したばかりで、店頭ではMT-09トレーサーの2017年モデルを置いている店舗もあります。先代のMT-09トレーサーは、2018年モデルの新型発売後でも店頭在庫の値引きで7〜8万円していればいい方です。
人気モデルなので値引きはシビアに対応されるでしょう。新型トレーサーは値引きなしか、できても3万円前後です。パニアオプションなど用品値引きも含めて交渉するとよいでしょう。
カスタム需要は低く純正パニア中心です。新型はツアラーの特性を強めたのでマフラーのカスタム需要も減少するでしょう。エンジンや給排気はMT-09と共通点も多いので、アフターパーツの数は充実する見込みです。カスタムして乗りたい場合は、まずは上級グレードのGTを選ぶことをオススメします。
中古バイク・買取情報
発売から3年経過し、中古のタマも少しずつ増えてきましたが中古相場は高値を維持しています。新型TRACER900に比べれば割安に感じる面もありますが、新車価格が現行より安いことを考えれば、国産大型ツアラーでは異例の高値水準で推移しています。
中古購入するなら、もう少し待てばタマ数も増えて少し価格が下がるかもしれません。今の価格帯であれば、少し頑張って新車購入も検討してもいいでしょう。
モデルチェンジしましたが、MT-09トレーサーはスポーツ性ではホイールベースの短い分、現行トレーサー900に負けていません。人気の高い車種なので、モデルチェンジを理由に一気に値崩れを起こすことは考えにくいでしょう。モデルチェンジの影響よりも、発売から3年経過してタマ数の増える影響を大きく受けます。
売却を検討している方は中古バイクの価格と流通量をチェックして、売却時期を決める判断材料にしましょう。
おわりに
トレーサー900は先代に比べて見た目以上に中身が大幅進化しました。スイングアームを60mm延長したことでスポーツ性は落ちましたが、サスをパワーアップさせたGTを追加したことで、スポーツ嗜好のユーザーも取りこぼさないでしょう。私は国産大型ツアラーを買うなら、新型トレーサー900GTを第一候補に挙げます。
もともとヤマハはFJR1300など大型ツアラーに強く、MT-09のスポーツ性を融合させてから一層魅力的なバイクになりました。モデルチェンジの内容を見て、さらに熟成された印象を強く受けます。相応の価格になったので、初代MTシリーズのような大ヒットにはならないかもしれないですが、間違いなく満足できるバイクです。
ぜひ、欧州仕様では標準装備しているサイドパニアを標準化させた特別仕様車も用意してもらいたいです。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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