スズキ RGV250Γ(ガンマ)の特徴と買う・売る時のポイント
出典:https://ja.wikipedia.org/
RGV250Γ(ガンマ)は、1988年に先代のRG250Γからのフルモデルチェンジによって発売した2ストレーサーレプリカです。車名に「V」が加わったことで分かるように、先代の並列2気筒エンジンからV型2気筒エンジンへ変更して、「ブイガン」と呼ばれています。
当時の流行に合わせたVツイン化でエンジンのポテンシャルを大幅に向上させ、シャーシ、外装も全面改良を行いました。80年代中盤にかけてスズキはWGPへの参戦を見送っていた時期もあって、ライバルのホンダNSR250RやヤマハTZR250に比べると販売台数では劣っています。
しかし、80年代後半のモデルでは高いフレーム剛性とNSR250Rと同等にパワーを引き出せるエンジンなど、性能面で市場の評価は高い車種でした。環境規制の影響で他の2ストスポーツバイクと同様に1999年に生産終了します。
90年代中盤には2スト250ccバイクブームが去って他社は開発に消極的になる中で、RGV250ガンマだけは1996年に大幅パワーアップさせた新型を投入します。
国内モデルの2ストレーサーレプリカバイクは、96年モデルのガンマが最後にモデルチェンジしたバイクになっていて、コスト削減のネガティブな変更ではなく走行性能を進化させたモデルチェンジだったため、中古市場では高い評価を得ています。
またアプリリア(APRILIA)のRS250にエンジン供給を行っていて、海外モデルのRS250は2003年まで販売されていました。
スズキ RGV250ガンマ(1996式)のスペック
車種名 | RGV250Γ-SP (アールジーブイ250ガンマ エスピー) |
---|---|
メーカー | SUZUKI (スズキ) |
排気量 | 249cc |
販売時期 | 30-60万円(年式不明) |
エンジン形式 | 水冷2ストロークV型2気筒クランクケースリードバルブ |
タイプ | スポーツ |
全幅 | 695mm |
軸距 | 1380mm |
燃料タンク容量 | 16L |
燃費 | 25.0 km/L ( 60 km/h走行時) |
トランスミッション形式 | 常時噛合式6段リターン |
クラッチ形式 | 湿式多板 |
燃料供給方式 | キャブレター |
フレーム形式 | アルミツインスパーフレーム |
車両重量 | 154kg |
乗車定員 | 2名 |
最高出力 | 29kW〈40PS〉/ 8,500rpm |
最大トルク | 34.3N・m(3.5kgf〉/ 8,000rpm |
新車価格 | – |
中古車相場 | 30-60万円(年式不明) |
RG250ガンマのモデル一覧
・1988年(VJ21A)
前期型とも呼ばれるVツインエンジンを搭載した最初のガンマです。完全新設計の高剛性アルミツインスパーフレームを採用するなど、エンジンとシャーシが大幅にパワーアップしました。ガンマシリーズでは初のSPモデルを2種類用意しています。
RGV250ガンマSPでは、クロスミッション、フルアジャスタのフロントフォーク、リザーバー別体式リアサスペンション、シングルシート、専用キャブを装備。SP2ではSPモデルからクロスミッションのみを装備していません。
VJ21A型の代名詞とも言える存在が、一時撤退していたWGPに復帰したRGV-Γ500のシュワンツモデルと同じペプシカラーを装備した特別モデルが用意されていたことです。メーカー純正のワークスカラーの中でも非常に高い人気を誇っています。
・1999年式(VJ21A)
型式は変わらず軽微なランニングチェンジを行い「コードK」の名称をつけられています。88年式との変更点は、スロットルポジションセンサーの追加とエアソレノイドバルブの装備、デジタル制御です。
・1990年式(VJ22A)
「進化の到達点」をキャッチコピーにしてフルモデルチェンジを行いました。マフラーを左右二本出しから片側二本出しに変更、タイヤの17インチ化、フロント倒立フォーク採用、装備変更に伴うフレームの改良を行っています。さらにチャンバーを避けるような形状の湾曲スイングアームによってボディ剛性と見た目の先進性が大幅にパワーアップされています。
乾式クラッチ、クロスミッション、リザーバー別体式サスペンションを搭載したSPモデルとクロスミッションだけノーマルに戻したSP2の3グレードのラインナップは先代から共通です。ワークスカラーモデルでは、先代のペプシカラーにも劣らぬ人気を誇るラッキーストライクカラーを用意しています。
・1993年式(VJ22A)
馬力自主規制値の変更により、1993年後半のモデルより最高出力を45PS→40PSに変更。スイングアームをWGPマシンで採用していたトラス形式に変更しています。
・1996年式(VJ23A)
フルモデルチェンジに伴い、車名を「RGV-Γ250」に変更します。グレードはSPのみになりますが、シリンダーバンク角をレーサーモデルに匹敵する挟角70度の完全新設計エンジンと、フレームの一新でホイールベースの縮小と軽量化が行われました。
クラス初のラムエアシステムやアンダーチューブを廃した新設計ツインチューブフレーム、新スイングアームの採用にカウルデザインの変更でフルモデルチェンジにふさわしい進化を遂げました。
スズキは世界ロードレース選手権(WGP)の250ccクラスに長年参戦していませんでした。250ccクラスのワークスマシン開発もあって、ライバルメーカーが開発に消極的だった1996年に大幅進化させた新型を投入した経緯があります。中古市場では非常に高い評価を得ている人気モデルです。
アプリリア・RS250との違い
世界最後の2スト250ccバイクのアプリリアRS250は、RGV250ガンマのエンジンを使用しています。車体はアプリリアのオリジナルです。アプリリアRS250は、RGV250ガンマのヨーロッパ向けモデル(VJ22A型)のエンジンを使っています。
国内モデルは排ガス規制の影響で、最高出力45PSに抑えられていましたが、ヨーロッパ向けのガンマは62PSの出力を誇っていました。アプリリアRS250はガンマのエンジンをベースに、チャンバー、ECU、排気バルブを変更して圧縮率を大幅に高め、ノーマル状態で70PSのハイパワーを確保しました。
さらにショップのフルチューンを行えば最大で85PSまで出力向上に成功した事例もあり、250ccクラスはもちろん400ccクラスも大幅に上回るハイパワーを誇っています。ノーマル状態でもレース仕様に近い設定で、250cc2ストロークエンジンの性能をフル活用しています。
スペック上はRS250の方が優れていますが、同じエンジンをチューニングしているので耐久性に不安要素があります。エンジン自体は共通なので、RGV250ガンマのVJ22A型に社外チャンバー、排気バルブの変更にRS250用のECUを使用するカスタムが流行しました。
VJ23A型の方が高性能のエンジンになっていますが、RS250との互換性によってハイパワー化するのであればVJ22A型の方が有利です。
スズキ RG250ガンマの評価
近所の街乗り ★★☆☆☆
通勤・通学 ★☆☆☆☆
ツーリング ★★★☆☆
峠・サーキット ★★★★★
足着き性 ★★★★☆
扱いやすさ ★★★☆☆
タンデム ★★☆☆☆
カスタム性 ★★★★☆
2ストレプリカバイクブームの全盛期だった1980年代後半から1990年代前半にかけて、ガンマの新車販売は低迷していました。当時はライバルメーカーがレーサーバイクと共同開発のコンセプトを抱えて、ワークスマシンのレプリカバイクをキャッチコピーにしていました。
たとえばヤマハの場合、GP250に参戦するワークスマシンのYZR250があって、レーサーマシンのTZ250と公道仕様のTZR250の3姉妹という関係性を持っています。1988年に発売した当時のスズキは、250ccクラスのワークスマシンとレーサーマシンを持っていませんでした。
そのため、市場からは「ガンマはレプリカではない」と酷評をされて新車販売が低迷した歴史を持っています。当時のスズキはWGP500に参戦していたものの、お金を持っていない理由で250ccクラスには参戦していませんでした。
実際にレーサーマシンを公道仕様に仕上げたライバルとコンセプトこそ異なりますが、先代のRG250ガンマから長い歴史を持っていて、RGV250ガンマも完成度の高い仕上がりになっています。新車販売していた当時は過小評価をされ過ぎていたバイクで、現代においては中古市場でライバルと同等以上の評価を得ています。
1988-1990年の初期型のみは不具合が頻発していて信頼性が低かったですが、1990年以降のモデルは信頼性が高いです。1996年発売の最終型は完成度が非常に高く、当時のスズキは「公道モデルを作るためにレーサーモデルを開発した」という異例のコメントを残しています。
中古バイク・買取情報
人気・査定額 ★★★★☆
タマ数 ★☆☆☆☆
カスタム比率 ★★★★☆
人気は高いですが、新車の販売台数の少なかった車種なので、タマ数は少なく販売情報は全国で20台弱です。1988-1989式の初期型ガンマのSTDモデルのみ中古で安く買えます。先代のRG250ガンマも含めた中でも20万円台での売り出し情報がある希少なモデルです。不具合の多い年式ですがガンマを安く買いたい人にオススメです。
1996年以降の最終モデルは2018年8月現在、Goo-Bikeとバイクブロスに1台も販売情報がありませんでした。コアなファンの多い車種で、総販売台数が少ないのに加えて売ろうとしないオーナーの多い車種です。見つけた時は値段を気にせずに勢いで買う気持ちを持っておくと良いでしょう。
全体的にもう少し中古市場で高騰する可能性を持っています。これから売る人はコンディション管理ができるのであれば急いで売る必要はありません。流通量の少ない車種なので業者によって買取査定額に大きな差が出るので複数社の査定を比較すると良いでしょう。
バックオーダーを抱えている業者も多いので、レッドバロンやバイク王など全国に販売網を持っている大手からの査定も1社は必ず取るようにしてください。
おわりに
わたくしは250cc2ストレプリカの中ではホンダのNSR250Rに憧れていますが、もし1996年以降の最終型ガンマと、MC28のNSR250Rのどちらかが手に入る状況になったら本気で悩みます。
RGV250ガンマの最終型には、2000年代以降の高年式バイクのノウハウも一部で詰まっていて、2ストバイクと現代のバイクがほどよく融合した雰囲気に魅力を感じます。実際にサーキットを走っても高い戦闘力を期待できる車種です。
エンジンやシャーシなどバイクの完成度は素晴らしいので、希少性によって最終モデルなど人気の高い年式でタマ不足と、過剰なプレミアムの発生している状況を少し残念に感じます。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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