カワサキ KR-1/KR-1Sの特徴と買う・売る時のポイント
KRシリーズは、80年代に販売されていたカワサキの2ストスポーツバイクです。ホンダ・NSR250R、ヤマハ・TZR250、スズキRG250ガンマなどのライバル車種になります。他メーカーの2ストバイクは、環境規制の影響を受ける1999年まで販売されていましたが、最終モデルのKR-1Sは1990年にカタログ落ちしています。
KR-1はKR250の後継モデルとして1988年に発売して、わずか1年でKR-1Sにフルモデルチェンジしました。つまり、KR-1とKR-1Sの2つのモデルを合わせて約3年の販売期間しかありません。新車の販売台数も少なかったことから、希少性の高い車種です。
先代のKR250の複雑なエンジンからパラレルツインに変更してメンテナンスの問題を解消しますが、1988年の発売当時はVツインエンジンがトレンドになっていて、KR-1は構造でライバルに劣っていました。
カワサキは長年ロードレース世界選手権(WGP)から撤退していて、ワークスやレーサーマシンのレプリカモデルではなく、過去に販売していたレーサーモデルをイメージして作られました。バイクレースの人気が高く、各メーカーで性能競争の激しかった時代なので、現在とは違いカワサキのスポーツバイクにおけるブランド力は低かったです。
出典:https://ja.wikipedia.org/
KR-1とKR-1Sの違い
KR-1に比べたKR-1Sの特徴は以下のとおりです。
・乾燥重量8kg増加
・前後サスペンションを上位スペックに変更
・スイングアームの変更
・リブの無い平面状にメインフレームを改良
・前後ホイールを3本スポークから5本スポークへ変更
・エンジンの仕様変更
・キャブの設定変更
・クロスレシオギアミッション、チャンバー、CDIなどの変更
・カウル、灯火類は共通
外装が共通のため、見た目で判別しにくいモデルチェンジです。外観からはホイール、メインフレームなどが見分ける際のポイントです。基本構造は共通点が多く、フルモデルチェンジではありますがマイナーチェンジに近い内容です。
KR-1は先代のKR250から10kgの軽量化を行い、パラレルツインエンジンの強みを活かしたクラス最軽量水準の軽量ボディを強みにしていました。KR-1Sはボディ剛性の課題を克服した影響でKR-1から8kg重量を戻しています。
なぜ、カワサキはVツインエンジンを投入しなかったのか?
80年代後半には、各メーカーがVツインエンジンを搭載した2ストスポーツバイクを出していました。カワサキも追随すべく、レーサーマシンのX-09が開発しますが、WGP250にスポット参戦したのみで市販化されませんでした。当時のカワサキは経営難に陥っていて資金力のない時代でした。
1989年発売のゼファーのヒットがカワサキの経営難を救った話は有名で、もしゼファーが売れていなければ今の成長したカワサキはなかったかもしれません。レースで結果を残すのには莫大な開発費がかかり、後発組でトップメーカーと互角の勝負をするのは至難の業です。
ゼファーのヒットも受けて、カワサキはスポーツバイクからネイキッド路線に力を入れる販売戦略にシフトしています。
カワサキ KR-1のスペック
車種名 | KR-1 |
---|---|
メーカー | KAWASAKI (カワサキ) |
排気量 | 249cc |
販売時期 | 1988-1990年(KR-1,KR-1S合算) |
エンジン形式 | 水冷2ストローク並列2気筒クランクケースリードバルブ |
タイプ | スポーツ |
全幅 | 690mm |
軸距 | 1365mm |
燃料タンク容量 | 16L |
燃費 | – |
トランスミッション形式 | 常時噛合式6段リターン |
クラッチ形式 | 湿式多板 |
燃料供給方式 | キャブレター |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
車両重量 | 123kg(乾燥重量) |
乗車定員 | 2名 |
最高出力 | 33kW〈45PS〉/ 10,000rpm |
最大トルク | 3.7kgf / 8,000rpm |
新車価格 | – |
中古車相場 | 40-60万円(1988年式) |
カワサキ KR-1/KR-1Sの評価
近所の街乗り ★★☆☆☆
通勤・通学 ★☆☆☆☆
ツーリング ★★★☆☆
峠・サーキット ★★★★☆
足着き性 ★★★★☆
扱いやすさ ★★★☆☆
タンデム ★★☆☆☆
カスタム性 ★★☆☆☆
レース目的だと剛性の弱さがネックになりますが、公道でのツーリングや峠のワインディング程度であれば十分こなせるスペックと装備です。エンジン出力は規制上限の45馬力を確保していますし、KR-1の乾燥重量123kgは驚異的な数字です。
KR-1Sは8kgの増量をしていますが、それでもVツインエンジンを搭載したライバルよりも軽い水準です。ライバルと比べた総合力では劣りますが、実用域で実感するほど遅いバイクではありません。
剛性の弱さなど適度に旧車の魅力も出ている味があるスポーツバイクです。当時のカワサキは販売不振に陥っていて、バイクの質感はよくありませんでした。
ライバル車種に比べても故障リスクは高めで、流通量の少ない古い車種なので、純正部品を調達するのに苦労することもあります。部品取り車を探すのも困難なのでメンテナンスに手のかかることを理解した上で購入検討してください。
中古バイク・買取情報
人気・査定額 ★★★★★
タマ数 ★☆☆☆☆
カスタム比率 ★★☆☆☆
2スト250ccレプリカの中でも希少性が高いモデルです。5年ほど前までは大きなプレミアムは付いていませんでいたが、ここ数年は他メーカーの2ストスポーツモデルも高騰したことに加えて、カワサキのブランド力が高まったためKR-1/Sの中古相場にも反応しています。
程度の良い中古では60万円前後しますが、ライバル車種のように100万円以上の値段がつくことはほとんどありません。80年代後半から90年代頭の同じ年式で見ればライバル車種と同等の水準で流通しています。
今後はさらに中古相場が高まる可能性があります。全国で探さないといけない車種ですが、購入を検討している方は早めに行動すると良いでしょう。買取価格も上昇傾向が続いています。売却を検討している方はもう1、2年待てば今以上に高く売れるかもしれません。
おわりに
私は5年ほど前にKR-1の中古を車両価格20万円で見つけて購入しようか検討しました。しかし、コーナリング性能でライバル車種に劣ることや、メンテナンスがネックになって見送りました。当時はここまで中古相場が高騰するとは思っていませんでした。現在の価格帯ではカワサキファンでないと手を出しにくい車種になりました。
KR-1の魅力は、希少性と軽量ボディです。2ストならではの加速感やエンジンフィーリングも健在なので購入してコンディションを維持できれば乗って満足できるバイクです。デザインはスポーツ性に劣る評価を受けていましたが、今となってはレトロな雰囲気が味を出しています。
4ストの旧車を買うよりもメンテナンスは大変ですが、希少なカワサキの2ストスポーツなので今後も魅力が色褪せることはないでしょう。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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