例年以上に盛り上がった2018年コカコーラ鈴鹿8耐レポート

2018年7月26〜29日にかけて行われた第41回鈴鹿8耐は、ヤマハ・ファクトリーレーシングチームが史上初の4連覇を達成して幕を閉じました。

台風の接近により悪天候の影響を受けましたが、非常に多くの見せ場があり、充実したレースウィークでした。今年の8耐はWSBK(スーパーバイク世界選手権)の絶対王者ジョナサン・レイの参戦、ホンダの10年ぶりのワークス体制での参戦など、例年以上に見所が多かったです。

レースを振り返って際立ったポイントは以下の3点です。

・ジョナサン・レイが異次元の速さを見せつけた予選
・ヤマハの4年連続総合優勝
・TSRホンダが日本チーム初のECW年間王者獲得

上記の3点を中心に2018年鈴鹿8耐のレポートをまとめました。

予選初日でジョナサン・レイが8耐予選歴代最高タイム

天候に恵まれた7月27日の公式予選は、午前中のフリー走行と公式予選1回目で転倒が続出し、公式予選2回目は40分遅れの16時20分スタートになりました。

昨年までの8耐は、予選でチーム最速ラップを出した人のタイムで順位を決めていましたが、2018年より3名のライダーの平均タイムで順位が決まるように変更されています。

ブルー、イエロー、レッドの各セッション20分ずつ行われた公式予選2回目で、カワサキチームグリーンのジョナサン・レイが8耐史上最速の予選タイムをマークします。

最初に行われたライダーブルーでは、2018年の全日本ロードレース選手権JSB1000で圧倒的な強さを見せる、中須賀克行(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)が貫禄の走りを見せつけます。ブルーライダー2番手の高橋巧(Red Bull Honda with 日本郵便)に対して約1.2秒差をつける2分6秒263でトップタイム。3番手にはカワサキチームグリーンの渡辺一馬が入ります。

圧巻だったのはライダーイエローのセッションで、ジョナサン・レイが出した2分5秒168という驚愕のタイムです。8耐の予選は参考タイムでコースレコードには認定されないのですが、8耐の予選最速タイムは例年2分6秒台前半です。
2分5秒台を出しただけでも凄いことですが、2分5秒台前半は異次元の走りで貫禄を見せつけた内容でした。

ちなみに、JCB1000の鈴鹿コースレコードは、2018年4月21日全日本ロードレース選手権で出した中須賀克行の2分4秒876です。レコードホルダーの中須賀は公式予選全体2番目の2分6秒263なので、1秒以上の差をつけた結果です。

レッドライダーはWSBKでジョナサン・レイのチームメイトのレオン・ハスラムが2分6秒636で全体トップでした。

予選上位10チームは28日のトップ10トライアルに進出します。

■トップ10トライアル進出チーム
1. #11 Kawasaki Team GREEN(2分6秒448)
2. #21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM(2分6秒770)
3. #33 Red Bull Honda with 日本郵便(2分7秒373)
4. #12 ヨシムラ スズキ MOTUL(2分7秒588)
5. #634 MuSASHi RT HARC-PRO.Honda(2分7秒896)
6. #95 S-PULSE DREAM RACING・IAI(2分8秒153)
7. #090 au・テルル MotoUP RT(2分8秒184)
8. #7 YART-YAMAHA(2分8秒239)
9. #19 KYB MORIWAKI MOTUL RACING(2分8秒397)
10. #79 Team SuP Dream Honda(2分8秒765)

28日に行われたトップ10トライアルは本来は1台ずつタイムトライアルを行われる予定でしたが、台風12号接近に伴う天候悪化も懸念され、急きょ40分間の計時予選に変更されます。

トップ10予選はアベレージタイムではなく、チームの最高タイムで予選順位および決勝のスタートポジションが決定されます。トップ10トライアル開催時は天候は晴れ、ドライコンディションでした。

ジョナサンレイは前日のタイムには届かないものの、2分5秒403を叩きだして全体トップを獲得します。2番手もカワサキチームグリーンのはレオン・ハスラムで2分5秒984と2分6秒切りを達成し、チームとしで2位に0.7秒の差をつける圧巻の予選になりました。
カワサキは23年ぶりに鈴鹿8耐でポールポジションを獲得します。

2番手には#33 RedBull Honda with 日本郵便が入りました。前日の予選はトラブルで思うようなタイムを出せなかった中上貴晶が2分6秒127を出しました。中上はセッション終了後に、2分5秒台を出せなかったことに対して悔しがる表情を見せていました。

前日の公式予選で3つのグループで1つもトップを取れなかった YAMAHA FACTORY RACING TEAMが3番手を獲得して、3強チームが順当に好ポジションを確保します。なおヤマハは中須賀が予選前のフリー走行で転倒し、トップ10トライアルを欠場しています。

■トップ10予選結果
1.#11 Kawasaki Team GREEN(2分5秒403)
2.#33 RedBull Honda with 日本郵便(2分6秒127)
3.#21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM(2分6秒170)
4.#634 MuSASHi RT HARC PRO.Honda(2分6秒177)
5.#12 ヨシムラ スズキ MOTUL(2分6秒642)
6.#95 S-PULSE DREAM RACING IAI(2分6秒756)
7.#090 auテルル MotoUP RT(2分7秒246)
8.#7 YART YAMAHA(2分7秒387)
9.#19 KYB MORIWAKI MOTUL RACING(2分8秒128)
10.#79 Team SuP Dream Honda(2分8秒200)

3強による接近戦!!白熱の決勝

台風の接近によってイベントが中止になる悪いコンディションでした。幸いなことに台風は進路が逸れて直撃をまぬがれますが、レース開始前に雨が降りだし、その後は回復してドライコンディションになるも、夕方から再度雨の降る難しいコンディションでした。

決勝レーススタート直前に降り始めた雨で、多くのチームがレインタイヤに履き替えてウェットコンディションのなかでスタートします。1週目ではRedBull Honda with 日本郵便がトップにたち、2番手にKawasaki Team GREEN、3番手にYAMAHA FACTORY RACING TEAMと続きます。

スタート直後から徐々に路面が乾き始めたことで、各チームは15〜20周目あたりでスリックタイヤに履き替えます。トップを走っていたRedBull Honda with 日本郵便は、タイヤ交換のタイムを遅らせる作戦が裏目に出て4番手に順位を落とします。

スタート直後から4番手につけていたヨシムラスズキ MOTULは、27周目に転倒して優勝争いから脱落します。

トップは Kawasaki Team GREENと、YAMAHA FACTORY RACING TEAMが、何度も順位が入れ替わる熱いバトルが繰り広げられ、非常に見応えのある序盤戦でした。65周目にセフティーカーが入り、遅れを取って3番手を走っていたRedBull Honda with 日本郵便が追いついて、3強によるトップ争いが再度繰り広げられます。

今年の8耐最大の事件が99週目に起こります。最強メンバーを揃えてトップ争いをしていたKawasaki Team GREENが、ピットストップ直前にガス欠になってしまいます。なんとかピットインしてレースに戻りますが、大きなロスをして優勝争いから後退します。

RedBull Honda with 日本郵便はピット回数を1回減らす作戦を取り逆転を狙いますが、タイヤを持たせることができず、YAMAHA FACTORY RACING TEAMが最後のピットを終えた段階で25秒の差ができてしまい、そのままYAMAHA FACTORY RACING TEAMがチェッカーを受けて4連覇を達成します。

2番手はRedBull Honda with 日本郵便、3番手はKawasaki Team GREENが入ります。4番手には予選から好調な走りを見せていたS-PULSE DREAM RACING IAIが大躍進の4位獲得。

5位には予選16番手のスタートながら、ライバルチームの相次ぐトラブルを上手に利用して着実に順位をあげていったF.C.C. TSR Honda Franceが入り、ライバルを上回ったことでECW年間チャンピオンします。

ECWシリーズの2位に付けていたライバルのGMT94 Yamaha Official EWC Teamは43秒差の6位で、年間チャンピオン争いをかけた熱いバトルを繰り広げて最後は見事に振り切っての劇的なチャンピオン獲得でした。

■2018年コカコーラ鈴鹿8耐 決勝リザルト(上位10チーム)
1. #21 YAMAHA FACTORY RACING TEAM  199LAP
2. #33 RedBull Honda with 日本郵便  +30.974
3. #11 Kawasaki Team GREEN +1LAP
4. #95 S-PULSE DREAM RACING・IA +3LAP
5. #5 F.C.C.TSR Honda France +3LAP
6. # GMT94 YAMAHA +3LAP
7. #22 Honda Asia-Dream Racing +4LAP
8. #19 KYB MORIWAKI MOTUL RACING +4LAP
9. #111 HONDA ENDURANCE RACING +5LAP
10. #12 ヨシムラ スズキ MOTUL     +5LAP

おわりに

台風の影響でトップ10トライアルとイベント開催に影響が出ましたが、事前に出ていた天気予報よりも良いコンディションになり、各チームが見せ場を出した8耐でした。カワサキのガス欠は残念でしたが、これも耐久レースならでの展開でした。

結果的にYAMAHA FACTORY RACING TEAMの4連覇でしたが、ワークス参戦したホンダやジョナサン・レイを招集したカワサキによって、耐久レースとは思えないほどの熱いトップ争いを見ることができました。

このままの流れなら、来店もホンダはワークス体制、カワサキは引き続きジョナサン・レイを招集して3強体制が続くのではないかと期待しています。今から2019年の鈴鹿8耐が楽しみです。

2018年の鈴鹿8耐は例年以上にレースの見所が多かったので、来年はさらに熱いレースを見せてもらいたいです。

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