【MOTO-GP】ヨハン・ザルコが2019年よりKTMへ移籍決定!!
2017年より最高峰のロードレースMOTO-GPに参戦しているレッドブル・KTM・ファクトリー・レーシングは、5月3日にヨハン・ザルコと2019年から2年間契約したと発表しました。ザルコは2018年シーズンも活躍している中で、第3戦のアメリカズGP(4月22日決勝)の際に契約を結んでいます。
ヨハン・ザルコは2015-2016年にかけて、2年連続でMOTO-2クラスのチャンピオンになり、2017年よりヤマハのサテライトチーム「モンスター・ヤマハ・テック3」でMOTO-GPに参戦しています。
MOTO-GP昇格初年度の2017年はシーズン終盤に2戦連続表彰台を獲得するなど、サテライトチームのルーキーながら年間ランキング6位に入りルーキーオブザイヤーを獲得しました。2018年のワークスチーム昇格も考えられましたが、モンスター・ヤマハ・テック3との契約が残る2018年シーズンもチームに残留してMOTO-GPで活躍しています。
レース優勝後にはレーシングスーツを着たままバク宙パフォーマンスをする身体能力を持っていて、日章旗のヘルメットをかぶる親日家でも知られ日本人ファンの多いライダーです。
参考:ヨハン・ザルコの経歴、特徴、エピソード
2018年も第2戦アルゼンチンGPで2位表彰台を獲得、アメリカズGP終了時点でもポイントランキング6位に付けていて、順当に行けば2019年シーズンはヤマハのファクトリーチーム(モビスター・ヤマハ)へ確実に昇格できるような実績を残しています。
表彰台を逃した開幕戦のカタールGPではポールポジションを獲得してホールショットを決めています。第3戦アメリカズGPでも予選3番手から中盤までは優勝争いに加わるなど結果以上に見せ場も多く、ライダーとしては内容の良いレースでした。
第3戦アメリカズGPまでのMOTO-GPの総括の記事はこちら。
2018 MOTO-GP 1〜3戦を総括〜注目ライダーのレース内容評価〜
KTM移籍を発表した後に行われた第4戦スペインGPでも2位表彰台を獲得して、ポイントランキングは2位に浮上しました。2018年シーズンもサテライトチームながら優勝争いに加わっています。
ザルコのKTM移籍が異例の理由
ザルコは2019年にヤマハのファクトリーチームに昇格することが濃厚と見る評論家が多く、またホンダやスズキからもオファーがありました。間違いなく、現在のファクトリー(ワークス体制のある)チームに所属していないチームのライダーとしては実力、期待値はナンバーワンで、本人が希望すればどこのチームにでも行けるような逸材です。
2018年も開幕から大活躍しているザルコが、KTMへの移籍を早々に決めたのは異例で、衝撃のニュースになりました。異例の電撃移籍と評される理由をまとめました。
・シーズン3戦目のアメリカズGP(4月)の時点で契約合意していた
・移籍先に選んだのは2017年チームズランキング10位、マニュファクチャーランキング5位のKTM
・MOTOーGPクラス2年目でMOTO-GP昇格以降は優勝経験のない若手ライダーである点
・主力のワークスチームから多数のオファーが届いていた逸材であったこと
・2018年シーズンもKTMはアメリカズGP終了時点でチームズランキング10位、マニュファクチャーランキング6位(最下位)と苦戦している
ポイントになるのは、レッドブル・KTM・ファクトリー・レーシングはワークス体制があるとはいえ、MOTO-GP参戦2年目で現在所属しているモンスター・ヤマハ・テック3より弱いチームということです。
過去にはロッシがホンダで大活躍した後にヤマハやドゥカティに移籍したこともありますが、チャンピオンライダーは他のチームに移籍することはよくあります。強いチームでチャンピオンになると、周囲からはライダーではなくマシンの性能で勝ったと評価する人もいます。
複数のメーカーでチャンピオンになるのはライダーとして名誉なことで、既存のチームより弱いところへの移籍は自分の実力を証明することを1番の目的にしています。しかしザルコの場合は、まだMOTO-GP参戦2年目でチャンピオンはおろか、レースでの優勝経験もないライダーです。
順当に行けば、2019年は優勝争いをできるホンダやヤマハのファクトリーチームに移籍して、チャンピオン争いに加わえる道が確約されるような実績を残していました。そんな中で、まだ2018年シーズンの始まったばかりの4月にKTMに移籍を決めたのは常識では考えられないことです。
また、ザルコはホンダとスズキからもオファーが届いていたと言われています。
2016年シーズンでは、ザルコはスズキからMOTO-GPのテストをオファーされて、鈴鹿8耐に出る話もありました。2017年よりスズキからMOTO-GP参戦という噂もありましたが、結果的にスズキはザルコを振った経緯を持っています。
ホンダはマルケスが絶対王者のポジションを確立した一方で、ペドロサの不調がネックになり、もしザルコをホンダが獲得していたらマルケスとの2名体制になっていたでしょう。
しかし、絶対王者のパートナーになるとサポートに回るように指示されたり、難しい面もいろいろとあります。
そのため、40歳を迎えるレジェンドのロッシに変えて、ザルコがワークスチームに昇格するのが大方の予想でした。
KTMとの関係とピット・バイラー氏のコメント
KTMのスポーティングディレクターを務めるピット・バイラー氏は、ザルコの加入会見で次のようにコメントしています。
「ヨハンとは彼がレッドブル・MotoGPルーキーズ・カップに参戦したときから常に良好な関係がある」
「Moto2クラスに参戦時には、KTM傘下のWP(ホワイトパワー)を通じてMoto2プロジェクトを支援した」
「元所属チームのチームマネージャーであるアキ・アジョとは良好な関係があり、我々も現在の彼のパーソナルマネージャーであるアジョとは良好な関係がある」
「自分達が勝てるバイクを造り上げるための能力があると信じなければならない」
「ザルコが十分な強さを発揮できるパッケージを提供するという責任があり、目標にしている」
「最初の2年間はプロジェクトを構築し、全てが機能している」
ザルコのこれまでのキャリアを通じてKTMは良好な関係を築いていて、元チームマネージャーで現パーソナルマネージャーのアキ・アジョとのコネクションが活かされています。現在は結果が出ていませんが、KTMは2年かけて勝てるマシンを作るプロジェクトを取っていて、今のところ順調で2019年シーズンは自信を持っています。
また、現在ザルコの所属しているチームのパートナーシップを結んでいるテック3(フランスのレーシングチーム)も、2019年よりKTMのサテライトチームになることを決めています。テック3とザルコ、KTMの関係性も電撃移籍を決めた背景になっているかもしれません。
KTMは早くも2019年のライダーが決定
レッドブル・KTM・ファクトリー・レーシングは5月2日にポル・エスパルガロと契約延長を決めて、すでに2019年-2020年の2年をザルコ、エスパルガロの2名体制で挑むことを決めています。
エスパルガロは昨シーズン、マシントラブルの影響もあってリタイヤの多い中で10位以内に入るレースを7回(完走レースは9回)している現在のエースライダーです。
2018年は第4戦まで終えてポイントランキング14位につけています。
おわりに
もし私がザルコの立場だったら、レプソル・ホンダかモビスター・ヤマハのトップチームに移籍してチャンピオンを獲得してから、KTMのような今後成長するメーカーのチームに移籍を考えると思います。しかし、この考えは外側しか知らない素人的なもので、ザルコの中でも2019年からKTMに移籍をしたい理由や勝算があるのでしょう。
KTMはMOTO-3でトップチームに成長した実績を持っていますし、現在ザルコの所属しているテック3はサテライトチームの中でトップの実績を出していて、来年からヤマハからKTMに乗り換えるのは、それだけKTMのマシンはポテンシャルが高いと評価している証拠です。
どちらにしても、KTMは2019年シーズンより不気味な存在のチームになりそうです。すでにMOTO-GPは2019年シーズンの見所ができました。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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