2018 MOTO-GP 1〜3戦を総括〜注目ライダーのレース内容評価〜

2018年のMOTO-GPもすでに19戦中3戦を終えました。
4月22日に決勝が行われた第3戦アメリカGPまでの結果と各ライダー。チームの評価についてまとめました。

2018年MOTO-GP第3戦アメリカGPを終えた時点のポイントランキングは以下の通りです。

●ポイントランキング : ライダー名 /チーム(メーカー) / 獲得ポイント / 第1戦順位-第2戦順位-第3戦順位
1位:アンドレア・ドヴィツィオーゾ / ドゥカティチーム(DUCATI) / 46pt / 1位-6位-5位
2位:マルク・マルケス / レプソル・ホンダチーム(HONDA) / 45pt / 2位-18位-1位
3位:マーベリック・ビニャーレス / モビスター・ヤマハMOTO-GP(YAMAHA) / 41pt /6位-5位-2位
4位:カル・クラッチロー / LCRホンダ・カストロール(HONDA) / 39pt / 4位-1位-19位
5位:ヨハン・ザルコ / モンスター・ヤマハテック3(ヤマハ) / 38pt / 8位-2位-6位
6位:アンドレア・イアンノーネ / チームスズキ・エクスター(SUZUKI) / 31pt / 9位-8位-3位
7位:バレンティーノ・ロッシ / モビスター・ヤマハMOTO-GP(YAMAHA) / 29pt / 3位-19位-4位
8位:ジャック・ミラー / プラマック・レーシング(DUCATI) / 26pt / 10位-4位-9位
9位:エステベ・ラバト / アビンティア・レーシング(DUCATI) / 22pt / 11位-7位-8位
10位:ダニロ・ペトルッチ / プラマック・レーシング(DUCATI) / 21pt / 5位-10位-12位
11位:ダニ・ペドロサ / レプソル・ホンダチーム(HONDA) / 18pt / 7位-Rit-7位
12位:アレックス・リンス / チームスズキ・エクスター(SUZUKI) / 16pt / Rit-3位-Rit
・・・
18位:中上 貴晶 / LCRホンダ・イデミツ(HONDA) / 5pt / 17位-13位-14位

●コンストラクターランキング(第3戦終了時点)
1位:ホンダ 70pt
2位:ヤマハ 56pt
3位 ドゥカティ 49pt
4位:スズキ 39pt
5位:アプリリア 10pt
6位:KTM 8pt

●MOTO2の日本人情報
長島哲太:Moto2クラス / イデミツホンダチーム・アジア / 23位 / 0pt / 21位-17位-19位

●MOTO3の日本人情報
佐々木歩夢:Moto3クラス / 12位 / 13pt / 8位-14位-12位
鳥羽海渡:Moto3クラス / 15位 / 9pt / 7位-11位-15位
鈴木竜生:Moto3クラス / 16位 / 7pt / Rit–18位-17位
真崎一輝:Moto3クラス / 21位 / 3pt / 13位-24位-21位

第1戦カタールGPのレース内容

決勝日時:3月18日
サーキット:ロサイル・インターナショナル・サーキット

ポールポジションを獲得したのは、MOTO-GP2年目のザルコ。なんと予選ではコースレコードを樹立するサテライトチームとは思えないような圧巻の走りを見せます。決勝レースもザルコがポールショットを決め、マルケス、ペドロサ、ペトルッチ、クラッチロー、ロッシが負う展開。ドヴィツィオーゾは予選5番手だったものの、前半は抑えて中盤待機。

その後レースは、ザルコ、マルケス、ロッシの順番。4番手のペドロサは少し離されて先頭グループは3台になります。後半にかけてペースを上げてきたのがクラッチローとドヴィツィオーゾ。特にドヴィツィオーゾは、最初から後半勝負するつもりで驚異的な追い上げを見せて先頭集団に追いつきます。

残り5週の時点でザルコを交わしてドヴィツィオーゾがトップ、マルケス、ロッシもザルコをパスしますが、ロッシはドヴィツィオーゾとマルケスについていけず差が広がります。ドヴィツィオーゾとマルケスは0.1秒差ほどの超接近戦を見せます。早くも2017年の名バトルを開幕戦から再現する熱い展開!!

勝負の行方は最終コーナーにもつれこみ、マルケスはドヴィツィオーゾのインを刺します。ドヴィツィオーゾは予想したかのようにクロスラインで抜きにかかります。それも読んでいたマルケスは立ち上がりでイン側のラインにぴったりと付きブロック。そこにドヴィツィオーゾはさらに内側のゼブラを踏んでマルケスの内側からパス。

0.027秒差の超接戦をものにしてドビツィオーソが開幕戦勝利を挙げます。3位はロッシ、4位はクラッチロー。ザルコはタイヤマネジメントに失敗して後半失速の8位でのフィニッシュになりました。

中上はレース前のフリー走行4回目に転倒してスペアマシンで予選と決勝に挑む厳しい展開、電子制御の不具合も発生する中、23番手からスタートして17位のフィニッシュ。後半にペースを上げれた点は評価できましたが、開幕戦は無念のノーポイントに終わります。

第2戦アルゼンチンGPのレース内容

決勝日時:4月8日
サーキット:Autodromo Termas de Rio Hondo

アルゼンチンGPは不安定な天候もあって波乱のレースになりました。決勝レース直前に雨が降るウェットコンディションになりましたが、グリッド整列中にどんどん路面が乾いていき、ドライタイヤに履き替えるライダーが続出。

レースはウェットコンディションが宣言され、ポールポジションのミラーをはじめ一部のライダーがドライタイヤを履いたところ、路面変化もあってスタートディレイで各チームピットに引き上げてドライタイヤに履き替えます。

その中、ミラーだけはグリッドから動かず、デイレイになったことを抗議します。その抗議が認められ決勝レースは25周から1周減算の24周になりミラー以外のライダーは後方のグリッド(ハンデを与える形)でスターとする異例の展開。

さらにデイレイ後のグリッド整列ではマルケスがエンジンをストール(エンスト)させてしまい、押しがけをしてスタートするのですが、押しがけの際に一部コースを逆走したことで後のペナルティを受けます。

予定より20分遅れで決勝レースがスタートして、ハンデを得たポールポジションのミラーが先頭を走ります。6番手からスタートしたマルケスが快調に飛ばして、1周目でミラーの背後までつけます。まだコースはウエット部分の残る難しいコンディションで、予選2番手だったペドロサは1周目の最終コーナーで転倒してリタイヤします。

2周目にはマルケスがミラーを交わしてトップに立ちますが、6周目になってグリッド整列時の押しがけによる逆走でライドスルーペナルティを受け、順位を19位まで下げます。マルケスの後退で順位はミラー、リンス、ザルコの順番。

後方に下がったマルケスはハイペースで飛ばして前との差を詰めますが、9周目に18番手を走るアプリリアのアレイシ・エスパルガロのインに飛び込んで両者接触。両者転倒はなくマルケスは謝罪の挨拶をして前に出ますが、ペナルティになり順位をひとつ落とすように指示されます。

その後マルケスは7番手まで順位を上げますが、21周目にロッシのインに入って接触、これによりロッシは転倒します。マルケスは結局5位でフィニッシュラインを通過しますが、ロッシとの接触によるペナルティで18位に降格されます。結果的にマルケスは決勝で好タイムを連発するも、1レースに3度のペナルティを受ける結果になりました。

先頭争いはミラー、リンス、ザルコに加えて後方から追い上げていたクラッチローの4台に絞られます。ミラーはリンス、ザルコ、クラッチローに抜かれますが、離されることもなく必死に追いつきます。まだコースの一部は濡れている状態でライダーのミスもあり、頻繁に順位が入れ替わる展開。

この激戦を制したのは予選10番手スタートのクラッチロー、2番手にザルコ、3番手にリンス、ポールポジションだったミラーは4位という結果になりました。ドビツィオーソは決勝でペースが上がらず6位、中上は最後尾スタートから13位フィニッシュでMOTO-GP初ポイントを獲得します。

第3戦アメリカズGPのレース内容

決勝日時:4月22日
サーキット:サーキット・オブ・ジ・アメリカズ

アメリカズGPはマルケスが5年連続優勝している得意コース。今年のアメリカズGPもマルケスが強さを見せつけて6連覇を飾りました。マルケスは予選でトップタイムを出しますが、ビニャーレスのアタックを妨害したとして、3グリッド降格のペナルティを受けて4番グリッドからのスタートになります。

ポールポジションはビニャーレス、2番手にイアンノーネ、3番手にザルコと続きます。決勝はポールショットを2番手スタートのイアンノーネが奪いますが、1周目の12コーナーの時点でマルケスがトップに立ちます。ポールポジションのビニャーレスは3番手に順位を落とし、5番手を走っていたロッシが2週目でザルコをかわして4番手に上がります。

2周目終了時点でマルケス、イアンノーネ、ビニャーレス、ロッシ、ザルコの順番。9周目には5番手を走るザルコに、今季好調で2戦目終了時点でポイントリーダーに立っていたクラッチローが迫りますが、クラッチローはザルコとのバトルでバランスを崩し、最終コーナーで転倒してしまいます。

ドライで気温22度、路面温度35度のコンディションでしたが、タイヤの消耗が早いライダーも多く、シャーリン、アブラハム、リンスも転倒します。レース終盤の17周目に入ると、イアンノーネがパワーを活かしてザルコを交わして5番手まで順位を上げます。

先頭グループは大きな順位変動はなく、マルケスがオープニングラップ以降は首位をキープして今季初優勝、2位にビニャーレス、3位にイアンノーネがスズキ移籍後苦戦していた中で久しぶりの表彰台をゲットします。以降、ロッシ、ドビツィオーソ、ザルコと続きます。

中上は12番グリッドからスタートするも、オープニングラップで接触して19番手まで順位を落とし、最後は順位を戻して14位で2戦連続のポイントゲットをします。

3戦終了時点の独自採点

当サイト独自に第3戦までの戦いぶりを前評判も含めて採点しました。

・クラッチロー 91点
ホンダのサテライトチームながら今季大ブレイクを果たしています。3戦目のリタイヤは残念ですが、安定して上位争いをできる力を見せています。

・マルケス 89点
今季はペナルティが目立ちますが速さに関しては頭ひとつ抜けている印象。オフのテストタイムは平凡でしたが、シーズン開幕してからチャンピオンらしい強さを見せています。強引にインをつく抜かし方が目立つので、今後は接触なく大きなペナルティやトラブルを起こさないかがポイント。

・ザルコ 88点
後半に順位を落とすことは多くても3戦まで全てにおいて見せ場を作っています。チャンピオン争いまでは厳しいかもしれないですが、このまま行けば来季はワークスチームへの移籍が濃厚、近い将来チャンピオンを獲得できる素質を感じさせます。

・ドビツィオーソ 85点
3戦目を終えた時点でポイントリーダー。開幕戦の勝利は素晴らしかったです。2戦目は天候の影響もあり優勝争いに加われなかったのは残念ですが、3戦目はもう少し見せ場を作ってほしかったです。チャンピオンを狙う存在としては、コンスタントに優勝争いに加わる走りを見せてもらいたいです。

・イアンノーネ 85点
3戦目までは好調で表彰台を獲得する活躍。リンスは転倒もあってポイントランキングでは遅れていますが、今年のスズキは大幅にパワーアップしています。

・ロッシ 84点
2戦目の接触による転倒が響いていますが、3戦の内容をトータルで見ればチームメイトのビニャーレスよりも良いです。ベテランらしい安定感を見せています。今季も1回以上は優勝を狙えそうです。

・ビニャーレス 83点
ポイントランキング3位で好調なスタートを切っていますが、優勝争いに入れてないないのがネック。チャンピオンを狙う存在として、勝ちにこだわった走りを期待したいです。

・中上貴晶 80点
まだマシンとのセッティングにも苦労している様子ですが、オフのテストで見せた素質を考えるともっといけるはずです。レース後半で順位を上げることが多いですが、前半のフルタンク時の走りに課題があります。コンスタントに10位前後の争いに加わるようになってもらいたいところです。

・ロレンソ 70点
オフのテストではトップタイムを出して優勝候補の一角に入っていましたが、3戦目までは厳しいレースが続いています。まだマシンのセッティングが完了していない印象。早いタイミングで結果が欲しいです。

・MOTO-2、MOTO-3の日本人ライダー 70点
厳しい前半の3戦になってしまいました。特に佐々木歩夢はコンスタントに10位以内には入って、レース展開次第では表彰台争いをしてもらいたいところ。シーズン中の覚醒に期待です。

おわりに

オフシーズンのテストでは、7回のテストでトップタイムを出したライダーが7名(※)いて例年以上に混戦ムードでした。
(※ロレンソ、ペドロサ、マルケス、イアンノーネ、ロレンソ、クラッチロー、ザルコ)

しかし、シーズンが開幕してみると、開幕戦はいきなりマルケスとドビツィオーソの熱いバトルが出ました。マルケスはペナルティが多いのは気になりますが、ライダーとしての実力の高さを2戦目、3戦目でも見せています。一方ドビツィオーソは2戦目以降は安定感があるものの、決め手にかける印象。

ザルコ、クラッチロー、イアンノーネの好調さが目立ちますが、チームの総合力でホンダ、ヤマハ、ドゥカティの3大ワークスチームに劣っているので、チャンピオン争いをするのは厳しい環境です。このまま行くと、現在ポイントランキングは2位ですが、マルケスがシーズン中盤あたりから独走体制に入りそうな予感がします。

シーズン中盤にかけて、ドビツィオーソ、ロレンソ、ロッシ、ビニャーレスが、実力で優勝するようなレースを増やしてチャンピオン争いを面白くする展開を期待したいです。

今シーズンからMOTO-GPデビューした中上の結果は物足りないものの、後方集団ではオーバーテイクも多数見せるなどポテンシャルの高さを見せています。まだ完璧にMOTO-GPに順応していないので、今後の躍進に期待です。

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