中上貴晶選手が2018年 MOTO-GPへ昇格

日本のモータースポーツに明るいニュースです。現在、MOTO-GPのMOTOー2クラスで活躍している中上貴晶選手が、2018年よりLCRホンダに加入し、MOTO-GPに昇格することが決まりました。日本人のMOTO-GPクラス参戦は、2010年〜2014年に活躍した青山博一選手(現テストライダー)以来4年ぶりです。

中上選手のMOTO-GPクラスの昇格はシーズン当初から噂にあがっていて、中上選手本人も2017年シーズンをMOTO-2の年間ランキング3位以内に入れば、MOTO-GPに挑戦すると意思表示していました。しかし、2017年9月1日時点(イギリスグランプリ終了時)のポイントランキングは7位です。

MOTO-GP昇格が決まった後のイギリスGPでは今シーズン初優勝をマークしましたが、年間ランキングで見れば本人が公言していた数字よりも厳しい内容です。MOTO-GPファンで日本人を応援したい私としては、なんとか来シーズンはMOTO-GPクラスで中上選手に活躍してもらい、世界から「日本人は優遇されるから昇格した」なんて言われないようにしてもらいたいです。

当サイト独自に、中上貴晶選手が世界最高峰バイクレースのMOTO-GPで活躍できるのか分析してみました。

MOTO-GP2018年シーズン、ルーキー中上貴晶は通用するのか?

中上貴晶選手がMOTO-GPクラス昇格の決め手になったのは、2016年末に極秘で行われたヘレスサーキット(スペイン)でのMOTO-GPマシンを使用した3日間のテスト内容が良かったことです。中上選手は昔からポテンシャルの高さには定評があり、ホンダも目を付けていた注目株です。

テスト走行を実施された経緯は、2016年にMOTO-2クラスで初優勝を飾ったご褒美だったそうですが、周囲の期待以上の結果を出しました。ヘレスでのテスト走行では、初日はMOTO-GPマシンに慣れることができず、MOTO-2マシンのタイムより遅い結果だったそうです。

しかしポテンシャルの高さは本物で抜群の順応性を見せます。徐々にタイムを上げていき、テスト最終日にはペドロサのタイムを超えて見せました。良いタイムを出したのは1周だけではなく、5〜6周に渡って好タイムを出したことも評価されました。この極秘テストの結果を受けて、ほぼ中上選手のMOTO-GP昇格は内定になったとされています。

中上選手自身も、MOTO-2でチャンピオンを取れていない中でMOTO-GP昇格の噂が出て、記者から意欲を聞かれる際は不安な気持ちがあるのが本音だったようですが、MOTO-GPマシンでのテスト走行を経て本人も自信を付けており、現在は不安もないとのことです。

中上貴晶選手の経歴

中上 貴晶(なかがみ たかあき)
1992年2月9日生まれ。千葉県出身
来歴
・4歳よりポケバイに乗り始める
・6歳でポケバイレースデビュー戦で優勝
・9歳でミニバイクレースに出場、ミニバイク全国大会で優勝し、最年少出場・優勝を記録
・ミニバイクレースでは3年連続全国大会優勝を記録
・12歳でロードレースに参戦
・2005年(13歳)は全日本ロードレース選手権GP125クラスにスポット参戦、シリーズ13位となりMFJルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞
・2005年には、東日本チャレンジカップにも出場し、チャンピオン獲得
・2006年(14歳)で全日本ロードレース選手権GP125クラスにフル参戦し、6戦6勝の完全優勝、最年少シーズン優勝記録
・2006年よりMOTO-GPアカデミーに参加
・2008年(16歳)、2009年ロードレース世界選手権125ccクラスにフル参戦
・2010年は125ccでのシートを見つける事ができず、日本に戻りST600で全日本ロードレース選手権に参戦
・2011年は全日本ロードレース選手権、J-GP2クラスに参戦。一部負傷で欠場レースもあったが、参戦したレース全てでポールトゥウィンを飾りシーズンチャンピオンを獲得
・2011年MOTO-GP日本グランプリMOTOー2クラスにイタルトランス・レーシングチームにてスポット参戦、WUP中に転倒し、負傷で決勝は走れなかったが、ポテンシャルが評価されて同チームよりMOTO-2でのフル参戦が決まる
・2012年イタルトランス・レーシングチームよりMOTO-2にフル参戦。シリーズランキングは15位(ルーキーライダーとしては2番手)
・2013年同チームにてMOTO-GPフル参戦を継続。第9戦イタリアGPで3位に入り自身初の表彰台(レース途中まではトップを快走)、年間ランキング8位
・2014年はイタルトランス・レーシングチームの残留が決まっていた中で、IDEMITSUホンダ・チームアジアへ移籍、ランキング22位
・2015年、同チームにてMOTO-GPフル参戦継続、ランキング8位
・2016年、同チームにてMOTO-GPフル参戦継続、第8戦オランダでMOTO-2クラス初優勝達成、ランキング6位
・2017年、同チームにてMOTO-GPフル参戦継続、オーストリアGP終了後にLCRホンダにてMOTO-GPクラス昇格決定

課題は勝負強さ、覚醒のチャンスはある

中上選手は昔から、GPライダーに一番近い日本人と評価されていましたが、MOTO-2クラスではシーズンランキング6位が最高で2017年シーズンもイギリスGP終了時点で7位と低迷しています。2017年シーズンは巻き込まれ転倒など不運なレースも多く、ノーポイントに終わったレースが4戦あるなど言い訳の余地がありますが、それでもポテンシャルを考えれば物足りない結果です。

世界を相手にしたレースだと、本番での勝負に弱い課題があるのは事実だと思います。いくらMOTO-GPマシンのテストでペドロサより速いタイムを出したからといって、今のまま活躍できるほどMOTO-GPクラスは甘くないです。ただ、ポテンシャルの高さは本物で、MOTO-GPライダーと比較しても決して実力ではヒケを取っていないと思います。

現時点では2018年シーズンですぐに活躍するのは厳しいかもしれないですが、どこかで覚醒できるチャンスがあります。順応性の高さにも評判があり、現在MOTOー2クラスで所属しているIDEMITSUホンダ・チームアジアの岡田忠之監督も、「タカはすでにMOTO2のタイヤとマシンの性能を超えている。MOTOーGPの方が今より安定するかもしれない」と太鼓判を押しています。

シーズン当初から噛み合う可能性もありますし、展開次第では上位に食い込むことが可能です。これまでのMOTO2クラスでの実績以上に将来性を感じられるライダーで、2018年シーズンにどれだけ活躍できるのか非常に楽しみです。

サテライトチームのため、1年目からの活躍は厳しい

中上貴晶選手が2018年から所属するチームはLCRホンダというサテライトチームです。
レース観戦初心者の方のために、サテライトチームについて解説します。

MOTOーGPにはワークスチーム(ファクトリーチーム)とサテライトチームの2種類があります。ワークスチームは簡単に言えばメーカーそのものによるチームです。サテライトチームはメーカーおよびワークスチームが開発したマシンを契約により貸与されているチームです。もちろんMOTO-GPに参戦できるほどのチームは、部品をイチから開発することもできるため、「セミワークスチーム」とも呼ばれています。

マシンそのものはワークスチームと同じでも、マシンの開発をしているのがワークス(メーカー)なので、新パーツや対策部品などの投入はワークスチームが先になりますし、マシンの開発チームが作る部品やセッティングの方が、貸与されているサテライトチームより質が高いのは必然的なことです。また、ワークスチームはメーカーの威信にかけて戦っているので予算のかけ方もサテライトチームと全然違います。

中上貴晶選手が加盟するLCRホンダは、2006年より1チーム(ライダー1名)体制でMOTO-GPクラスに参戦しています。2006年はMOTO-GPデビューイヤーになったケーシー・ストーナー選手(後の世界チャンピオン)が所属して、表彰台1回、シーズン8位の好成績を収めましたが、その後の表彰台実績はなく、シーズンランキングも例年10位〜15位ほどです。

世界チャンピオンを輩出した実績があるチームですが、どれだけライダーが強くても、よほど展開が良い方向に動かない限りサテライトチームで優勝するのは困難で、シーズンチャンピオン獲得できる可能性は限りなくゼロに近いです。つまり、中上貴晶選手がMOTO-GPクラスに昇格したことはゴールではなく、今後はサテライトチームで結果を出してワークスチームへ昇格するといった出世コースが目標になります。

2018年シーズンからはLCRホンダは2名体制になるので、まずはチームメイトよりも良い成績を残し、ポイント獲得という結果にこだわるとともに内容の良いレースを続けていければ、ワークスチーム昇格のチャンスは十分あると思います。2018年は全体順位で中上選手を見るのではなく、サテライトチームの中でどれくらいの結果を残せているのかに注目です。

まとめ

中上貴晶選手のMOTO-GP昇格は嬉しいニュースですし、日本人としてMOTO-GPをテレビやネット動画で観戦する楽しみが一つ増えました。ポテンシャルの高さがあり、日本人からの期待は高まっていますが、どのような結果になるかは蓋を開けてみないとわかりません。

まずは、2017年シーズンの残りのレースを頑張ってもらい、優勝への意気込みが高い日本グランプリで活躍してもらいたいです。中上貴晶選手に興味を持ったら、是非サーキット、テレビ、ネットなどでMOTO-GPを観戦しながら応援してください。

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