あおり運転による一発免停が増加〜バイク乗りの注意点〜

2017年に起こった神奈川県の東名高速道路で起こった、あおり運転によって追い越し車線に停車させ、後続車両のトレーラーに追突された死亡事故は社会問題になりました。

バイクや車に乗っている人であれば、あおり運転の被害を受けた経験を受けたことのある人や、強引な割り込みなどで運転中にイラっとした経験を持っている方も多いでしょう。

2017年12月に、あおり運転の厳罰化を警察庁が指示したことや、世間のあおり運転に対する見方が変わったことで、被害に合わないことはもちろん、加害者にならない、加害者だと勘違いされないことも大切です。

2018年に増加している、あおり運転の一発免停事例の増加や暴行罪適用のニュース、バイクで公道を走る際の注意点についてまとめました。

2017年に発生した東名高速道路のあおり(煽り)運転による死亡事故を受けて、警察庁は2017年12月にあおり運転の加害者に対して、交通違反による点数の累積がなくても、最長180日間の免許停止ができる道交法の規定を適用して防止するよう、全国の警察に指示しました。

従来は違反点数に応じて免許停止処分になるルールでしたが、2017年12月以降は免許の累積違反点数で免許停止基準にならなくても、危険なあおり運転と判断されれば一発免停処分を科せるようになりました。

2018年5月現在の。あおり運転で適用される可能性のある道路交通法違反の違反点数を紹介します。

■あおり運転の罰則

・危険運転致死傷
危険運転致死(死亡事故):62点
危険運転致傷(治療期間3ヶ月以上又は後遺障害):55点
危険運転致傷(治療期間30日以上):51点
危険運転致傷(治療期間15日以上):48点
危険運転致傷(治療期間15日未満):45点

・共同危険行為等禁止違反:25点
・安全運転義務違反:2点
・急ブレーキ禁止違反:2点
・車間距離不保持:1点
・追い付かれた車両の義務違反:1点
・割り込み等:1点
・合図不履行:1点

免停基準と違反切符を切られる基準

あおり運転の場合、東名の死亡事故のように直接の危害を加えなくても危険運転致死傷が適用され、一発で免許取消になります。なお暴走族のように集団で暴走行為を行った場合は、あおり運転でなくても一発免許取消です。

身近なあおり運転で多い事例は、加害者側は1台の単独犯行で、あおり運転で危険な状況になるものの、事故や怪我を受けないで終わるものです。

あおり運転で適用される違反は安全運転義務違反をはじめ、違反点数2点以下のものになります。複数の違反を繰り返せば簡単に6点以上の違反点数になりますが、警察が現行犯で検挙するならまだしも、被害者からの通報であれば、複数の違反を立証するのは困難です。

ドライブレコーダーで動画を残せば有効な証拠になりますが、個人の撮影した動画で急ブレーキ禁止や車間距離不保持、割り込み等を全て立証できないのが現状です。
多くの事例では、被害者からの通報だと安全運転義務違反を中心に2点前後の違反しか適用されません。

警察庁の担当者は東名高速道路の死亡事故を受けて、「点数制度だけでは担い切れない。交通トラブルから暴力沙汰になれば、危険性帯有者の規定が活用できる」とコメントしています。

「後方からの追い上げ」「急な割り込み」「蛇行運転」「幅寄せ」などは被害者の不安を高めていると指摘しています。

危険な運転や交通トラブルから暴行や傷害、脅迫、器物損壊などに至った場合は、点数制度によらず、危険性帯有者として処分することが2017年12月に警察庁からの指示の概要です。

すでに昨年の9倍のペースで免停処分者が出ている

警察庁発表の資料によると2018年1-3月の3ヶ月で、あおり運転による免停処分者は13件になり、2017年1-12月の6件を大きく上回り昨年の9倍のペースになっています。

警察庁の指示によって、違反点数に関係なく一発免停が可能になったことに加え、世間のあおり運転による厳しい視線が免停処分者増加の要因になっています。

あおり運転は免停処分だけでは済まない?暴行罪適用で書類送検された事例も

松山南署は2018年5月17日に、乗用車で前方の車に著しく接近して蛇行するなどあおり運転をしたとして愛媛県久万高原町の介護士の男(31)を暴行容疑で書類送検しました。こちらの例は車同士の接触や被害者の怪我、車を降りてのトラブルはありませんでした。

4月14日午後5時半ごろ、愛媛県砥部町大平の国道33号を走行中、約5分間にわたって、前方の男性が運転する乗用車に接近して蛇行。その後、追い越してから急ブレーキを繰り返すなどの暴行を繰り返したとしていて、近くを走っていた車の運転手が110番通報をしています。

四国では初めての、あおり運転による暴行罪の適用になりましたが、今後も免許停止だけではなく暴行罪の適用される事例は増えていくでしょう。

免許停止などの行政処分だけではなく、刑事責任を追求されると勤務先にも影響が出て、加害者の人生を大きく狂わせることになります。

あおり運転被害を受けた時の対処法

あおり運転の加害者は車を降りると大人しくて普通の人が多いです。しかしそのような人でも、車を運転中に気が大きくなっていて、冷静な判断ができなくなってしまうようです。

あおり運転の被害を受けた側もイラっとするかもしれないですが、刺激をすると事態は悪化します。なるべく刺激せずに道を譲って先に行かせるようにしましょう。

あおり運転をされた時に恐怖に感じるのは、相手の運転手が車を停めて降りてくることです。近くにコンビニや人通りの多い場所があれば、周囲の人に助けを呼べる環境で車を停めて、相手が先に行くのを待って、万一車を停めて降りてきたら周囲の人に110番通報してもらうようにお願いしましょう。

あおり運転に対して、動じない態度を取ったり、強引な割り込みなど運転で応戦するのは非常に危険です。加害者に対して怒りの気持ちがあれば、ナンバーを覚えて110番通報をしましょう。
あおり運転は厳罰化されているので、ナンバーと被害者の証言だけでも厳罰処分を与えられる可能性は高いです。

より確実に相手のあおり運転を証明するには動画で証拠を残すことが効果的です。車の場合はドライブレコーダー、バイクの場合は車体やヘルメットに装着するカメラ(ウェアラブルカメラやアクションカメラ)を活用しましょう。

バイク用カメラは、あおり運転の被害を受けたときはもちろん、ツーリングの記録や事故を起こした時の証拠にもなります。
バイク用カメラの設置方法はコチラのページをご覧ください。(参考記事:https://xn--u9jwf7a8ip16p94g.net/kiso/tanosimu/touring/movie/cameratorituke.html)

バイクはあおり運転の加害者に勘違いされやすい

バイクがあおり運転の加害者として立件された事例は少ないですが、バイクはあおり運転だと勘違いされやすいです。特にマフラーや灯火類を変えたカスタムバイクは周囲の車両に対して威圧感を与えます。

なかには王道カスタムをしたバイクを見て暴走族だと勘違いする方もいます。バイクはあおり運転の加害者に勘違いされやすいことを理解して、前の車とは車間距離を広めに取るようにしましょう。

車間距離を取った運転さえしていれば、あおり運転だと勘違いされる心配は一切ありません。バイクは遅い車の後ろに付くと、車間距離を詰めたり、追い越しするタイミングを伺おうと後方で蛇行運転をしてしまうことが多いです。
強引な抜かし方はせず、気持ちにゆとりを持って走りましょう。

あおり運転をしない心構え

私も遅い車が前を走っていると、イライラした経験を持ったこともあります。多くのケースは、直線などで道を譲ってくれるのですが、なかにはコーナーは徐行、直線は加速をして道を譲ってくれない車もいます。

ほかにも市街地や幹線道路で危険な割り込みや追い越しをされて、イラっとした経験はバイク、車の運転中に何度も経験しています。
あおり運転の加害者心理も一部理解できるところはあるのですが、キッカケは相手が悪くても、あおり運転をした時点で加害者になります。

違反点数に関係なく一発免停になる厳罰化をされたことや、全国では暴行罪の適用された事例も出ていることを認識して、あおり運転は絶対にやってはいけないことを心に刻むことが大切です。

この記事を読んでもらった時点で、あおり運転の加害者になるリスクを少しは理解してもらえたのではないでしょうか?

飲酒運転も厳罰化によって違反者は大幅に減少しました。今後は、あおり運転も全国的に件数は減少して、飲酒運転のように人生を狂わせる事態になる認識が世間に広まっていくでしょう。

あおり運転をした経験のある方は、まだ検挙された経験を持っていないことは運が良かったと思って、今後は一切しないように心を入れ替えてください。

おわりに

通常、交通違反の厳罰化は世間からは不満の声が出ることも多いですが、あおり運転に関しては東名高速道路の死亡事故の影響もあって世論も後押ししての厳罰化です。

近くに警察がいなくても、被害者のドライブレコーダーが証拠になったり、周囲を走る車から110番通報されるリスクもあります。被害を受けたときは通報して、行政処分や刑事責任を追求することもできるようです。

あおり運転が社会問題になったことで、バイク用の積載カメラの需要も高まっていくと予想されます。被疑者になったときに泣き寝入りしないためにも、カメラを付けて証拠を残すなど事前の対策をしっかり取っておきましょう。

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