独BOSCH社の発表したバイク用最新電子制御技術がすごい!!

バイクの電子制御技術は年々進化しています。現在の電子制御はサスペンションやスロットルなど、バイクの挙動をセンサーで感知するものが主流ですが、今後は車のように周囲の車両をレーダーで検知する安全装備が普及しそうです。

さらに、バイクが転倒しそうになるとガスを噴射してバイクを立て直す技術も開発されています。2018年5月に出た独BOSCH社のプレスリリースは非常に興味深いものでした。

ABSをはじめ、バイク用電子制御技術を多数持つドイツのBOSCH社は、2018年5月のプレスリリースで以下の最新装備を発表しました。

・横滑りを軽減する研究プロジェクト
・・ガス噴射で転倒しそうなバイクの姿勢を立て直す

・レーダーベースのアシスタンスシステム
・・ACC (アダプティブ クルーズ コントロール)
・・衝突予知警報
・・死角検知

・二輪車と四輪車の車間通信
・・無線を活用した危険通報システム

・コールシステム
・・ 事故や故障の緊急通報、最寄りのガソリンスタンドなど便利情報の入手
・・・自動緊急通報システム(eCall)
・・・ブレイクダウンコール(bCall)
・・・インフォメーション コール(iCall)

エアバックの応用でバイクの転倒を回避

BOSCH社のプレスリリースの中で大きな話題になったのが、横滑りを軽減する研究プロジェクトの逆噴射スラスター技術です。バイクはコーナリング中に濡れた落葉やオイル漏れ、砂利を踏むと、滑って転倒します。コーナリング時に路面の影響で、横にかかる力が一定を超えるとライダーの自力では立て直すのが不可能になります。

こうした転倒直前の状況を回避するには、倒れようとする反対方向に外部から力を加えるのが最も効率的です。開発中のシステムでは、センサーが車輪の横滑りを検知し、一定の値を超えると、乗用車のエアバッグに使用されるタイプのガスアキュムレーターからガスが放出されます。放出されたガスの圧力を逆推進力として活用し、転倒しそうなバイクの状態を立て直すものです。

市販化の予定はない新開発の技術ですが、バイクのコーナリング時の転倒リスクを大幅に軽減できそうです。

1回のみの作動でも転倒するよりお得!?

ガスを使った転倒防止システムは、エアバックと同様にガスを噴射するので1回のみの作動です。開発段階なので価格面の公式情報は出ていませんが、車のエアバックの場合、運転席単体のエアバックで8万円、エアバックコンピューター&センサーで10万円ほどが交換費用です。

BOSC社開発の逆噴射スラスター技術はガスを地面に向けて噴射するので、ハンドルやインパネを突き破って風船の膨らむエアバックよりも、交換費用は安くなるでしょう。構造的にはコンピューターとセンサーを使い回しできるので、1回のガスカートリッジの交換は5万円弱くらいになると予想します。

ドゥカティやBMWなどの高級スポーツバイクの場合、スリップダウンの転倒でも外装交換などを含めると30万円以上になることがあります。1回のガス発生で数万円の出費になっても、高確率で転倒を回避できるなら価値の高い装備になるでしょう。

バイクの高級車種は外部レーダーの時代に

車では一般的な安全装備として幅広く採用されているのが、レーダーを使用した衝突防止システムです。BOSCHはレーダーベースのアシスタントシステムを開発し、ドゥカティのムルティストラーダやKTM 1290 スーパーデュークへの投入を予定しています。主要装備の詳細を解説します。

・ACC (アダプティブ クルーズ コントロール)
:クルーズコントロール中に前の車両との車間を検知して加速と原則を自動で行います。
通称「レーダークルーズ」

・衝突予知警報
:前を走る車両との距離が詰まって衝突の危険性が出るとアラームや警告ランプ等で危険を知らせます。
車のような自動ブレーキではなく、警報で知らせるだけの安全装置です。

・死角検知(ブラインドスポット警告)
:後方から自車より早い車両が近づいている場合やミラーの死角の中に障害物のある時に、ミラーへ警告ランプを表示させるなどして危険を知らせます。

車のように自動ブレーキを導入できないのは、強制的なブレーキだとバイクは転倒リスクを伴うためです。将来的には、バイクの周辺情報を検知するレーダーと安全な電子制御ブレーキなど安全技術が進化すれば、バイクも車のような自動ブレーキも開発される可能性は高いです。

車も当初はある程度ランクの高い車種から導入されて、現在では軽自動車でも広く普及しました。まずは実用化を目指し、将来的には小排気量バイクを含めた幅広い車種で普及してほしい技術です。

二輪車と四輪車の車間通信

車には自動ブレーキなど安全装備が充実していますが、バイク相手だとセンサーの感知しないケースがあります。また、見通しの悪い交差点で出会い頭の衝突だったり、渋滞をすり抜けするバイクを相手にした事故は、現在の車用安全装置でも全て回避できません。

BOSCHの開発している二輪車と四輪車の車間通信システムは、お互いの車両に無線LANを通じて周辺にいる車両と通信信号を送り合い、数百メートル先からバイクや車の接近している旨をお互いに伝えるシステムです。

公道を走る多くの車種に普及しないと効果は少ないですが、安全性が確認されて導入コストや維持費が安ければ国の政策で普及する可能性もあります。

コールシステム

コールシステムは一部の四輪車(高級車)に導入されている、通信で状態を発信したり情報を受信できるシステムです。

自動緊急通報システム(eCall)は、事故の起こった際に自動的に位置情報やバイクの損傷状態をサービスセンターに通報するものです。サービスセンターは必要に応じて救急車を呼んでくれるので、単独事故やひき逃げ・当て逃げ時で自力の通報ができないときの早期対応を期待できます。

ブレイクダウンコール(bCall)は故障時に最寄りの修理工場に情報を送信するもの、インフォメーション コール(iCall)は最寄りのガソリンスタンドや周辺の観光スポット、飲食店、宿泊施設などを調べられる便利な機能です。

おわりに

BOSCH社のプレスリリースによる新技術を見ると、バイクの走行状態を検知する電子制御技術はだいぶ成熟してきたと感じました。今後は車のように周辺車両の状態を検知するレーダーによる安全装置が普及していくでしょう。

車だけではなくバイクの検知検知制度もポイントで、隊列を組んで走るマスツーリング時での精度など課題もありますが、近年のバイク用電子制御技術の進化を見ると、高いクオリティで実用化されることを期待できます。

ガス噴射による転倒回避するシステムはバイク独自の安全装備ですが、実用化に大きな期待を持てます。導入車種はそれなりの金額になると思いますが、転倒防止効果が大きければ幅広い車種に普及する可能性を感じます。

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