2017年度はスズキの2輪部門が4期ぶりの黒字達成
スズキのバイク部門は万年赤字と言われていましたが、2018年3月期決算で4期ぶりの黒字を記録しました。今後の開発費の増加も期待でき、国内でも売上が好調だったことに加えて、オーナーレビューや評論家から高評価を得ています。
スズキのバイク人気が高まっている理由について探ってみました。
2018年5月10日に発表された2018年3月期の決算では、スズキの2輪部門は売上高2,464億円(前期比19.4%アップ)、営業利益46億円(前期は9億円の営業赤字)になり、4期ぶりの黒字を達成しました。国内仕様のバイク生産台数は1,630千台で、前期比19%のプラスになっています。
参考URL:http://www.suzuki.co.jp/ir/library/financialaffairs/pdf/h30_fin/reference.pdf
2輪車の世界販売は前期比15.5%増の158万台と2桁成長を達成しています。前回黒字だった2013年は、2輪部門でわずか1億円の黒字だったので、近年稀に見る好決算を出したことになります。四輪部門も好調だったこともあり、スズキの株価は高騰しています。
世界販売の中でも成長が著しかったのはインド(43.0%増)、インドネシア(31.2%増)、北米(10.6%増)です。東南アジア向けのスクーターの「アクセス」が好調だったことが2輪部門の業績に大きな影響を与えました。
国内販売台数は減少しつつも大型バイクが好調で売上アップ
気になる国内の販売台数は6万台で、前期の6.2万台から微減しました。ただし売上高は前年比7.3%アップの208億円でした。GSX-R1000が計画台数を上回る売れ行きで国内販売を牽引しました。
GSX-R1000は2017年にフルモデルチェンジして、200馬力近いパワーを出すリッタークラススーパースポーツの中で安い価格設定がヒットした要因です。6月には世界最高峰の公道レース「マン島TT」にて、GSX-R1000がシニアTTレースクラスを優勝して、マシン性能の高さを証明したことも販売を後押ししました。
2018年も大型バイクの販売は好調で、2018年末から2019年にかけては隼のフルモデルチェンジも予定しています。大型バイクのラインナップ自体は多くないですが、今後も国内の大型バイク販売は好調を維持しそうです。
アジア需要を優先したスクーター
通勤快速の相性でおなじみの「アドレスシリーズ」は国内で根強い人気のある一方で、ホンダやヤマハに比べてスズキのスクーターは国内販売で苦戦しています。
スズキのスクーターは低価格と耐久性に定評がありますが、シート下収納の小さい車種が多いところにも問題があると思われます。2018年夏に発売予定の新型125ccスクーター「スウィッシュ(SWISH)」も、シート下にはフルフェイスのヘルメットの収納スペースは確保できるものの、横置きしか収納できません。フルフェイスの縦置き収納が当たり前の中で、新型の上級モデルとしては物足りない内容です。
スズキがシート下収納にこだわっていない要因は、東南アジアを強く意識しているためです。東南アジアはヘルメットの装着義務のない国が多く、シート下収納にフルフェイスを入れる需要は少ないです。日本では収納を最優先事項にあげる人の多い一方で東南アジアでは収納スペースはそれほど重視していなく、価格と走りの良さとのバランスが良い車種がよく売れています。
東南アジア市場の成長で、今後盛り上がっていきそうなのが小排気量のミッションバイクです。すでにGSX-R125、GSX-S125、ジグサーなど国内のラインナップも充実していて、今後は2017年末から2018年に発売予定のGSX-S250が投入される見込みです。
世界最高峰のロードレースMOTO-GPでも、スズキは2018年シーズンは好調で、今の業績を維持すれば小排気量から大型バイクまで研究・開発費をかけた新型バイクを続々と投入していくる可能性があります。
おわりに
以前のスズキは油冷エンジンにこだわったり、カタナなど斬新なデザインのバイクを得意にしてきましたが、最近のスズキはGSR250をベースにGSX250R、Vストローム250の派生車種を作るなど、お金をかけない開発が得意になっているように感じます。
古くからのスズキファンとしては物足りなく感じる部分もありますが、GSX-R1000など大型バイクはコアなスズキ党を唸らせるデザインと乗り味です。万年赤字で足を引っ張ってきた2輪部門が黒字転換したことで、今後は開発予算を取りやすくなる効果を期待できます。
ホンダ、ヤマハ、カワサキを含めた国内の4大メーカー全てが2018年3月期の決算は好調でした。不調の続いていたスズキが復活したことで国内バイクの競争も激化して、バイク市場全体に良い影響を与えることを期待したいです。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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