小型二輪AT限定免許を最短2日で取得可能に緩和か?
小型二輪免許を取得するための料金や費用をご存知ですか?警察庁は小型二輪AT限定免許取得の負担を軽減する方針を固めましたが、ほぼ意味のない内容に感じました。
原付1種(50cc以下のオートバイ)であれば、運転免許試験場に行って筆記試験さえ合格すれば免許を取れて、自動車免許を取得した時点で自動的に付いてきます。それに対して125ccスクーターは、普通自動二輪免許と同様に自動車学校に通って小型自動二輪免許を取得しないといけないため、ハードルは高くて125ccスクーターの普及の障害になっています。
以前から、125ccのスクーター(ATバイク)までは原付と同じように自動車免許に付帯させる噂はありましたが、進展しない状況が続いていました。
(参考)125ccまで普通自動車免許で乗れる噂があるけど危険性は?
国会議員の発言で期待の高まった一方で、警察庁は否定的な対応を見せていて、免許取得負担の軽減で進めるとコメントしていました。そんな中、2018年4月5日に、警察庁からオートマチック小型限定の普通二輪免許(小型二輪AT限定)について、教習にかかる日数を現在の最短3日から2日に短縮する方針を固め、早ければ2018年夏の道路交通法改訂を目指すと発表しました。
小型二輪AT限定免許の取得方法
小型二輪のAT限定免許は、2005年に導入されました。小型二輪で乗れるバイクは原付2種(125cc以下)に限定されますが、免許では普通二輪免許の小型限定という位置づけになります。
普通二輪免許は学科が自動車免許と共通になって、教習所で規定時間の技能教習を必要にします。すでに自動車免許を取得している人は学科免除になり、普通二輪免許を取得した後なら学科免除で自動車免許を取得できます。つまり、小型二輪免許を取るのは普通自動二輪と同様に自動車学校へ通う必要があり、保持免許によっては学科免除になります。
原付1種であれば自動車免許よりも簡易的な50問の筆記試験で45問以上正解すれば取得できます。自動車学校に通う必要はなく、試験場にいって筆記試験に合格すれば即日中に免許を発行されます。
ここでは、通常の普通自動二輪免許(400cc以下のオートバイ)を比較材料にして、小型二輪免許の必要な教習時間を紹介します。さらに、某自動車学での必要費用も参考情報として記載します。
学科あり(保持免許なし・原付) | 学科免除(普通車免許あり) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
技能 | 学科 | 費用 | 技能 | 学科 | 費用 | |
普通自動二輪(MT) | 19時間 | 26時間 | 22.5万円 | 17時間 | 1時間 | 13万円 |
普通自動二輪(AT限定) | 15時間 | 26時間 | 21万円 | 13時間 | 1時間 | 11万円 |
小型自動二輪(MT) | 12時間 | 26時間 | 19.5万円 | 10時間 | 1時間 | 10万円 |
小型自動二輪(AT限定) | 9時間 | 26時間 | 18万円 | 8時間 | 1時間 | 10万円 |
警察庁の方針による緩和案は教習時間の変更なし
2018年4月5日に警察庁が方針を出した改定案は、教習時間の短縮ではなく、技能教習を受ける時間を見直して最短2日で取れるようにする内容です。現在は法律によって1日に受けられる技能教習を3時間に制限されているため、8時間の技能教習を受けるのに最低3日必要でした。
改定案では1日4時間まで技能教習を受けられるようにして、小型二輪AT限定免許の学科免除に必要な8時間の技能教習を最短2日での取得を可能にし、週末だけ自動車学校に通えば取得できるなど、自動車学校に通う日数を減らして負担軽減を行います。
1日4時間の技能教習を受けるにあたって、途中で1〜2時間の休憩を取るルールを加える予定です。あくまでも最短時間の話で、自動車学校が希望条件通りに予約を入れてくれるとは限りません。
現在も3連休を利用して免許取得できる広告を出している自動車学校は見当たりません。また、休憩を含めて1日4時間の技能教習を受けると長時間自動車学校に拘束されるため、大きな負担軽減にはなりません。
小型二輪免許の普及しない理由は費用の問題
小型自動二輪免許は、50ccの原付バイクの一つ上のクラスまでしか乗れないにも関わらず、AT限定で学科免除でも9万円ほどの費用がかかります。自動車学校の費用は、技能教習の時間よりも入学金や教材費、検定料の方が高いです。
学科免除の条件で見れば、小型自動二輪AT限定と普通自動二輪のMTで4万円ほどの差しかありません。あとから限定解除する際も入学金など自動車学校の費用が発生するので、免許取得で自動車学校に通うなら、数万円多く出してでも乗れる範囲を広げておこうと考える人が多いです。
結果的に、小型自動二輪AT限定免許は普通自動二輪(400cc以下)の免許を取るのと大差がなく、125ccのスクーターに乗りたいという気持ちはあっても、わざわざ自動車学校に通ってまで取ろうと考える人は少ないです。最短取得日数が短縮されても、免許取得費用が同じならメリットを感じる人は少ないでしょう。
おわりに
理想は、普通車(自動車)免許で原付2種のスクーターまで乗れるように改訂することですが、それが難しければ自動車学校に通って免許を取る仕組みを見直して欲しいです。たとえば自動車学校に入校するという概念ではなく、免許センター指定の技能教習や実地研修を2時間ほど受ければ取得可能にするなど、費用的な負担軽減をしてもらいたいです。
仮に最短1日で取得可能になっても、自動車学校に払う費用が同じなら小型二輪AT限定免許は普及しないでしょう。緩和することは悪いニュースではないですが、ここをゴールにせずに、さらなる緩和や免許取得者の負担軽減を議論してもらいたいです。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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