台湾でも2035年にバイクEV化が決定

スクーター大国でも知られる台湾が、2035年よりガソリンエンジンのバイクを販売禁止にして、EV移行する方針を発表しました。台湾には「KYMCO(キムコ)、SYM、PGO」などのバイクメーカーがあり、アジアのバイクメーカーの中でも、日本メーカーに匹敵する性能があるとして注目されています。

世界中でEV移行の流れがあり、台湾も追従する形になりましたが、日本と台湾はバイクの税制や使用環境が違う面もあります。

ここでは、台湾のバイクEV化が行われる背景と、日本のバイク市場への影響を調べてきました。

台湾の2035年バイクEV化決定について

台湾の行政院は2017年12月21日に、2040年からガソリン車とディーゼル車、2035年にはバイクのガソリン車の販売を禁止する方針を発表しました。大気汚染対策の一環で、電気自動車EV車への完全移行を目指します

2030年には公用車とバス(約1万台)の全面電動化を行い、台湾の郵政事業を行う中華郵政は、2023年までに現在配達で使用している9000台弱のガソリンバイク全てを電動化する予定を打ち出しています。

台湾のバイク市場とすでに始まっているバイクのEV化

台湾の総人口は約2,300万人で、バイクの登録台数は約1,300万台です。世界有数のバイク普及率を占めていて、バイクは国民の必需品という位置づけになっています。なおEVバイクは、2016年に2万1,000台を売り上げて前年比2倍を達成。2017年は約4万台売れています。

2021年には20万台に引き上げる予定で、国内で高い人気を占める台湾のバイクメーカーを、世界トップのEVバイクメーカーへ成長させて輸出産業を拡大させる狙いもあります。台湾で電動バイクの普及率が高い要因は、日本に比べて規制がゆるいことも関係しています
(参考)電動バイクが普及しない理由は何だろう?

台湾で125ccクラスのスクーターが人気の理由

台湾の税制では、150cc未満のバイクは自動車税は無料と優遇されていて、150cc以上になると日本でいう普通乗用車並に税金が高くなります。そのため、輸入車を中心に大型バイクも流通していますが、税制面の問題もあり、所有しているのは一部の富裕層に限定されています。

台湾はバイクを趣味ではなく生活の足として活用しているため、経済的で停車場所を選ばない利便性があるスクーターに人気が集中しています。また、国土が狭く台北をはじめ、大都市でも中心街近隣の土地相場が安く、通勤や買い物などの平均移動距離が少ないことも、125ccクラスのスクーターで十分という考えに繋がっています。

日本メーカーへの影響は?

台湾は日本メーカーのバイクを輸入することは少なく、台湾メーカーのバイクが高いシェア率を占めていて、日本メーカーは台湾に現地法人を作って対応しています。有名なのは台湾ヤマハで、スポーティースクーターの「BW’S100/125」が日本でも逆輸入でよく売れていました。

つまり、日本生産やその他の地域で生産した日本メーカーのバイクが台湾で売られることは少なく、そもそも日本メーカーのシェア率の低い地域なので、EV移行になっても大きな影響はないでしょう。日本の現地法人もEV開発に力を入れてくるので、EV技術を日本法人のバイクメーカーにフィードバックもできるでしょう。

ただし、現時点では日本と台湾で125ccクラスの電動(EV)バイクの出力規制が大きく異なるため、EV先進国を目指す台湾の電動バイクをそのまま日本で売ることは難しいです。

台湾からはガソリンスタンドが消える可能性も

台湾ではバス、トラックなどの大型四輪車も、2040年に完全EV移行を目指しています。乗用車のみEV化を目指す国は中国をはじめ複数ありますが、運行距離の長いトラックは、現在の技術(EVトラックの航続距離)では、EV化が難しい問題があります。

台湾以外の国は、仮に新車販売の完全EV化を行われてもガソリンスタンドの需要は減らず、今までと同様に給油をできることから、ガソリンエンジンの車・バイクを保有し続けようとする方も多いでしょう。台湾の場合は、国土が狭いことや、四輪車の完全EV移行を目指す時期を2040年に設定したことから、大型車を含めた完全EV化を狙っています。

バス・トラックを含めてガソリン車が少なくなれば、ガソリンスタンドもなくなり、EVでないとランニングコストや利便性で問題が出て、EV車への切り替えが進んでいく可能性があります。つまり、台湾は世界で初めて、公道を走る全ての車両を完全EV化できる可能性があります

おわりに

台湾では2035年よりガソリンバイクの販売が禁止され、すでにEVバイクのシェア率は世界トップスピードで拡大しています。あくまでもEV移行を目指す方針が発表されたのみですが、実現する可能性は高いでしょう。日本が台湾に比べてEV化が劣っているワケではなく、台湾の場合、日本と比べて以下の違いがあります。

・税制上、125ccクラスのバイクが主流
・国土が狭く、都心部の人口分布も均等なのでバイクでの移動距離が少ないケースが多い
・国内には強いけど海外には弱い台湾のバイク・四輪メーカーをEV技術の進化で成長させたい狙いがある
・バス、トラックの全面EV化も現実的な環境
・既存の電動バイクの規制が緩い

台湾と比較した場合、日本は四輪、バイクメーカーのガソリン車・HV車が世界的に売れていることや、世界屈指の低燃費を確保していることが要因です。特に四輪のハイブリッドは技術力が高くEV移行が遅れる要因になっています。

バイクにおいては、ツーリングなどの趣味で使う需要が高く、国内のバイク市場そのものが縮小しています。現時点でEV化を打ち出すと、バイク産業を潰しかねない事態になってしまうでしょう。

日本ではEV化が進んでいない中で、どんどん世界でEV移行するニュースが入ってくると、日本は遅れているように感じてしまいます。確かにEVに限定して言えば遅れていますが、車やバイクの開発や技術力は世界トップレベルだからこそ、ガソリンエンジン車に対して強い規制を敷けない背景があります。

EV移行への環境に恵まれている台湾で、バイクの全面移行が2035年になるのであれば、日本ではこの先20年以上はガソリンバイクが主流であり続けると思います。しかし、台湾のEV移行は予定よりも早く進んでいき、早ければ5年後にはEVバイクのシェアがガソリンバイクを上回る可能性もあります。

日本メーカーへの直接の影響は限定的ですが、世界の先陣を切った台湾のEV移行の動向には注目をしていきたいです。

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