若者のバイク離れを食い止めるには何が必要か?
若者のバイク離れが深刻化しています。販売状況を見ると30代〜50代の方が選ぶバイクが売れ筋です。
ツーリングスポットにいっても若者のライダーを見かけることが少なく、バイク好きの大学生と話をした時には、周りにバイクを乗っている友達が全くいないと嘆いていました。10代、20代のバイク乗りが減っていることを実感している方は多いのではないでしょうか?
私なりに、現在の若者のバイク離れの理由と、若者のバイク離れを食い止めるために必要なことを考えてみました。
このページの目次です
若者がバイクに乗らなくなった原因
現代の若者がバイクに乗らなくなった理由は次のことが考えられます。
・お金がかかる
・転ぶのが怖く、寒くて暑くて雨に弱いなど実用性の低さを懸念
・停める場所がない(盗難リスクを懸念する)
・バイクも駐車禁止が厳しくなった
・事故、転倒、盗難、故障など突発的に大きな出費がかかるリスクがある
・周囲にバイク乗っている人がいない
この中でも一番大きな理由はお金の面でしょう。そもそも若者はバイクのことを嫌いと思っている人は少ないです。バイクには興味はあるけど、免許取得費用、購入資金、維持費、保険料、その他転倒時や故障の修理代など、大きなお金がかかるリスクを懸念して、バイク購入に踏み切れない状況になっています。
私は現在33歳ですが、今から15年前はバイクにお金がかかるのは分かった上で、バイトを増やしたり、掛け持ちでダブルワークするなど一生懸命働いてバイクを買おうとする若者がたくさんいました。最近の若者は、ほかのことを犠牲にしてまでバイクを買うために一生懸命になれないといった所ではないでしょうか?
バイクの実用性を懸念する意見もありますが、バイクだけではなく車も若者離れが進んでいることを考えると、バイクや車を所有するより、電車やバスの公共交通機関を利用した方が安くて早いといった現実主義の方が増えています。
また、バイクの駐車禁止の取り締まりが増えたことで、街に遊びに行くときにバイクを利用しにくくなったことも原因の一つです。
頼れる人がいなく、手間をかけられない
若者がバイク購入に消極的になった理由は、購入資金を工面できても、乗っている中で整備や故障修理の対応にお金がかかることを懸念している意見も多いです。
私が10代だったころは、周囲にバイク好きな友人がたくさんいて、整備好きな人も多かったです。バイクが故障したり、消耗品の交換が必要になったら、友達と一緒に自分たちでバイクのメンテナンスや修理をしたものです。また私が利用していたバイク屋は、なるべく自分で作業するように言ってきて、分からないことがあればやり方だけ教えてくれました。
最近の若者は、修理やメンテナンスでは、高い工賃を求められるバイク屋しか頼るところがありません。バイクのメンテナンス方法はネットの情報が充実しましたが、わざわざ自分の手で苦労しながら作業したくないといった考え方が増えています。
バイクは買った後も大変なことが多いので、そもそも所有しない方が楽といった考え方が増えているのではないでしょうか?
ヤマハ発動機によるアンケート結果から見えるもの
2014年9月にヤマハ発動機は大学生600人に対してバイクのアンケートを行いました。
バイクの乗りたくない理由については、以下の結果が出ています。
1位:事故が怖い(39.2%)
2位:興味がない(23.6%)
3位:経済的理由(20.9%)
なお、バイクに乗りたいか?というい質問に対しては59.2%の若者がYESと回答しています。
若者のバイク離れを食い止める改善策
すでに若者の間では、バイクに対して、危険でお金がかかるといったネガティブなイメージが根付いています。そのため、根本的なバイクの悪いイメージを解決することが必要不可欠です。
経済的理由の解決策については、免許取得や購入のための費用など、事前に計画できるものだけではなく、故障や転倒による破損修理など突発的な出費のリスクの緩和が求められます。
中古購入の場合は保証が少なく、任意保険は車両保険を付けると高額になってしまいます。安心を手に入れるためには、新車購入や高額な保険料を払うなど初期費用が高くなります。コスト面に関して、活気的な改善策がないのが、若者のバイク離れに歯止めがかからない要因です。
バイクを停める場所の確保
バイクは燃費が良いので、電車やバスを利用するよりも移動コストが安いです。郊外であればバイクを利用する価値が高いですが、都会になると駅前にバイクを停める場所が少なく、路上駐車の取り締まりが厳しくなっています。
買い物やバイト先への通勤など、駅の近くに行くときに無料もしくは格安で安心してバイクを停められる場所が増えれば、バイクを所有する経済的メリットが高まるでしょう。
小排気量で面白いバイクを増やす
高年式のバイクは排ガス規制の影響でパワーが低く、乗っていて面白いバイクが減っています。昔は2ストバイクが主流で、小排気量でエンジンをぶん回して乗るバイクが多かったです。最近のバイクは、大型バイクでは軽量で扱いやすくパワーもある楽しいバイクが増えていますが、若者が買う原付や250ccクラスは乗りごたえがあるバイクが減っています。
大型アメリカンバイクのハーレー・ダビッドソンがキャブからインジェクションに変更しても、バイクのフィーリングを重視して魅力を失わなかったように、小排気量バイクも昔ながらのバイクフィーリングの再現ができれば若者に人気が出るのではないでしょうか?
しかし、排気量が小さくなるほど排ガス規制の制限で効率化を求められるため、簡単なことではなさそうです。
流行を起こす
高校生や大学生を中心にしたバイクブームがあれば、バイクを購入しようとする方が増えるでしょう。私が学生時代だった15年前は、キムタクがドラマで乗ったことをきっかけにしたTWブームや、ビッグスクーターブームがありましたが、ここ10年以上は若者の間で大きなバイクブームが起こっていません。
TWやビッグスクーターブームのときは、周りでバイクに乗っている人を見て免許を取ろうと決意する人が多数いました。SNSやテレビドラマ、映画などで流行が起きるきっかけが一つでもあれば、バイクに対しての若者の価値観も変化するでしょう。
まとめ
若者のバイク離れを食い止める方法として、バイクを停める場所の確保、小排気量で面白いバイクを増やす、流行を起こすといった3つの方法を紹介しました。流行に関しては、どこかで突発的に大ブームが起こる可能性がありますが、バイクを停める場所の確保や小排気量で面白いバイクを増やすことは、時代に逆行する流れで現実的ではありません。
バイクメーカーも若者をターゲットにした取り組みを行っている中で、結果が出ずに販売不振が深刻になっていることを考えても、効果的な改善策がほとんどないのが現状です。ネット掲示板等の意見では、駐車禁止の取り締まり強化が追い打ちをかけたという意見が多く、都会でのバイク需要低下が目立っています。
今ある課題は解決するのが難しいことが多いので、バイクを所有するデメリットを踏まえても、魅力が上回るような新型バイクや若者の間での価値観の変化、バイクに乗るステータスの向上が求められます。
この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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