岡山国際サーキットのスポーツ走行で2名が死亡した理由

2017年4月24日、岡山国際サーキットのスポーツ走行中に、大型バイク7台が次々に転倒して、2名が死亡、5名が重軽傷を負う大事故が発生しました。

私は、地域は違いますが、富士スピードウェイの本コースライセンスを取得して、バイクのスポーツ走行を楽しんでいた経験があります。サーキットを走れば安全という概念を持っていた私としては、大きな衝撃を受けたニュースでした。被害者のご冥福を心よりお祈りしています。

事故は高速S字コーナーの途中で発生し、前を走るバイクがオイル漏れを起こし、コース上でオイルが付着している状態で後続バイクがスリップして転倒しました。

私は岡山国際サーキットを走ったことはありませんが、コースを見る限り、アクセル全体で走り抜けるような超高速コーナーで時速200km以上出ていたことが考えられます。転倒時のスピードが速かったことから、防護壁やほかの転倒バイクにライダーが衝突した衝撃で、死亡者が出る大事故に発展したのでしょう。

サーキットのスポーツ走行とは

岡山国際サーキットをはじめ、国際規格で広いコースのサーキットは、年会費を払って安全講習を受けたコースライセンス所持者だけが、普段のスポーツ走行枠で走ることができます。サーキットごとでライセンス不要の走行会イベントが開催されることもあります。

コースライセンスを取ってサーキットを走る方は、レース参加を目的にして練習をしている方や、スポーツ走行自体を趣味にしている方が多いです。岡山国際サーキットの二輪ライセンスの場合、正会員で入会金・年会費込みで4万円。平日のナンバー付き車両限定のパワークラブ会員で年会費1万8千円かかります。年会費がかかるため、多くのライセンス所持者は月に1〜2回前後のペースで定期的に練習しています。

事故が起きた当時は16台のバイクがスポーツ走行を楽しんでいました。1周約3.7kmのコースに16台のバイクなので、かなりゆとりがあり、レースとは違い1台ずつコースインしてスポーツ走行を開始するので密集して走ることはあまりありません。

本来であれば、レース、峠のワインディング、ライセンス不要の走行会に比べて、遥かに安全性が高い環境で大規模事故が発生したことに驚きを感じます。

オイル漏れの原因

4月24日の事故では、オイル漏れによるスリップが原因ということまでは分かっていますが、詳しいオイル漏れを起こしたバイクの経緯は公開されていません。ニュースでは、前を走っていたバイクがオイル漏れを起こしたように見えたとの事で、最初に転倒したバイクではなく、その前を走っていたバイクが走りながらオイルをコース上に垂らした可能性が高そうです。

本来、バイクでサーキットを走るためには、ドレンボルト(オイルを抜くときのボルト)をワイヤーロックして、転倒した衝撃でも緩まない処置が義務付けられています。しかし、スポーツ走行時では、各種ワイヤーロックなど車両に適切な処置をしているか詳しくチェックする車検は不要になっています。

サーキットの運営側も、講習を受けて高い年会費を払うライセンス所持者であれば、しっかり整備してくるだろうと信用している部分もあると思います。スポーツ走行を利用するバイクを1台ずつ詳しくチェックするようにすれば、今回と同じ事故を防止することができるかもしれないですが、スポーツ走行で車検を求められると、その分の人件費もかかり走行料やライセンス料が高額になってしまいます。

あまり厳しくしすぎてスポーツ走行料金を値上げしてしまうと、サーキットを走る行為のハードルが上がって、モータースポーツが身近なものから遠ざかってしまいます。また、走行中にオイル漏れを起こしたということは、ドレンボルトのワイヤーロックが原因ではなく、エンジンオイルが入っているところのパッキンの劣化など根本的な故障が考えられます。

国際規格のサーキットでは最高速300km以上出る大型バイクが中心です。ノーマルのスーパースポーツを含めて、高い圧縮比とエンジンを1万回転以上回して走る特性上、バイクの故障リスクは高くなるものです。原因はオイル漏れを起こしたバイクの整備不良が考えられますが、非常識と言えるような落ち度があったかどうかは不明です。

事故を再発しないためには?

4月24日の岡山国際サーキットの事故は、オイル漏れを起こした場所が高速S字コーナーの途中だったことや、状況的に多量のオイルがコース上で漏れていたことが想定できるなど、運が悪い部分もあったと思います。

スポーツ走行時でも車検の義務化や、スポーツ走行では転倒者が出た時点で一度赤旗を振ってコース確認するなどの改善策が思いつきますが、スポーツ走行を定められたタイムテーブルの中でリーズナブル料金設定するには、オイル漏れスリップによる再発防止策に限界があると思います。

おそらくですが、岡山国際サーキットも100%再発を防止できる改善策がない中で営業再開していることでしょう。今回の事故の内容を、サーキットでスポーツ走行やレースを楽しむ多くのライダーに知ってもらい、高い意識でバイクの整備やワイヤーロックなど適切な処理を各自で徹底することが、一番の改善策だと思います。

まとめ

7台が転倒、2名が死亡する事故が起きたと聞くと、バイクはやっぱり危険といったネガティブなイメージを持ってしまうと思います。確かにバイクのスポーツ走行は安全なことではないのですが、正しくルールを守って行えば公道を走ったり、峠のワインディングをするよりも安全性が高く死亡事故が起こる確率が低いです。

これまでサーキットのスポーツ走行を楽しんできた経験者の方や、これからサーキットデビューしようと考えていた方が、サーキットは危険だと考え直してしまう方もいるかもしれないですが、ルールさえ守れば危険度は低いです。

ただし、今回起こった事故の内容を重く受け止めて、スポーツ走行やレース、走行会に参加される方は、マシントラブルが起こると自分だけの問題ではすまない大事故になることを認識して、入念な整備とサーキットを走るための適切な処置を徹底しましょう。

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