日本国内生産バイクが消える日はくるのか?
日本は世界を代表するバイクメーカーが4社あります(ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキ)。しかし、国内メーカーであっても、実は生産は海外の工場になっていることが多いです。
一昔前は国産メーカーでも、タイホンダや中国ホンダのバイクは品質が悪く低評価でしたが、最近は海外生産バイクのイメージの悪さは払拭しています。バイクの新車購入する方も、どの車種が国内生産なのかを気にすることなく選んでいる人が多いでしょう。
ヤマハ発電機の場合、世界で生産するバイクは年間約800万台で、国内生産は年間生産台数約22万台の磐田工場が中心です。磐田工場では大型高級バイクの生産が中心で、小型バイクの大半は海外生産になっています。
最終的には、製造コストが高く二輪市場が低迷している日本国内生産のバイクが消えて、国産バイクメーカーは日本でバイクの開発を行うだけの時代になってしまうこともあるでしょう。
バイクの性能進化が続けられるかがポイント
日本のモノ作りの品質は間違いなく世界トップクラスです。現在も、大型バイクを中心に性能が高いマシンは国内生産が主流です。今後も新型バイクの性能が進化していけば、国内生産の需要は確保できるでしょう。
しかし、バイクの進化が頭打ちした場合、同じ性能で価格を重視したバイクが売れるように変わっていくでしょう。たとえば、リッタークラスのスーパースポーツは200馬力前後のスペックで、車両価格の相場は200万円〜250万円です。もし、同じ200馬力を確保して100万円〜150万円くらいで販売する海外生産バイクが登場したら、爆発的に売れる可能性があります。
スーパースポーツの場合は、価格よりも少しでも性能が高い車種がよく売れる傾向があります。現時点では国内生産のバイクの品質は海外生産よりも一歩先を行っていますが、海外生産と国内生産で品質やスペックの差がなくなれば、国内生産の需要は今よりも大幅に減少するでしょう。
東南アジアの動向に注目
現在、バイク市場で大きなマーケットになっているのが東南アジアです。例えば、東南アジア最大級のバイク大国でもあり、経済成長著しくホンダのPCXをはじめ日本メーカーバイクの生産も伸びているベトナムの場合、法律によって大型バイクで公道を走ることができません。しかし、富裕層向けに少しずつ大型バイクを解禁する動きが出ています。
交通量が多いベトナムやタイの場合、庶民が手軽に250ccクラス以上のバイクに乗れる日が来るのは考えにくいですが、富裕者層に限定して中型・大型バイクが普及するだけで国内需要を上回る可能性があります。
中型・大型バイクも国内よりも東南アジアの方がよく売れる事態になってしまうと、国内生産するメリットが薄れていくでしょう。
大型バイクが頼みの綱
国内でのバイクの新車売れ行きを排気量別に見ると、次のようになります。
●50cc: 販売不振が著しく、国内生産の50ccバイクが消える日も現実味を帯びている
●125cc: 一時期のブームは去ったものの、通勤・通学向けなど一定の需要を確保。しかしPCXなど海外生産への移行が目立っている
●250cc: スポーツバイクやアドベンチャー、ストリートファイターなど新型車の躍進が目立つが、全体の販売台数自体は大きく伸びていない
●400cc: 衰退が目立っているカテゴリー。国産新型バイクの開発も消極的
●400cc超え: 堅調に推移していて、現在も成長を続けている
最近では電子制御技術の普及で、大排気量のハイパワーマシンでも扱いやすさが向上したことや、650cccクラスなど低価格と乗りやすさを重視したカテゴリーのブームで、大型バイクが人気を高めています。大型バイクが売れている間は、国内生産バイクも今と同等水準を確保できるでしょう。
将来的に大型バイクが売れなくなって、実用性重視の125ccや150ccがバイク市場の主役になってしまうと、国内生産バイクの需要がなくなり、大規模工場の閉鎖も懸念されます。
まとめ
国内生産のバイクが完全に消滅するのは現実味を帯びていなく、今後数年〜10年程度の期間で大きな動きが起こることは考えにくいです。しかし、50ccや125ccの小型バイクは、いつのまにか海外生産が主流に変わっていった経緯があります。
バイクは車に比べて輸送コストが安いメリットがあるので、国内でバイク生産を続ける行為は時代に逆行している部分もあります。日本の経済成長を止めないためにも、どこかで大きなバイクブームが到来して、国内のバイク市場の低迷に歯止めがかかることを期待します。
私も日本メーカーや、国内生産のバイクを応援したい気持ちがありますが、価格が安く性能にも問題なければ、海外生産の購入にも抵抗を持たなくなってしまうのが消費者心理だと思っています。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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