ホンダが小型スクーター搭載可能のエアバックコンセプトを発表
車では標準装備のエアバックが、今後バイクでも標準化されるかもしれません。2017年6月5〜7日に開催した、ホンダの技術試乗会「Honda Meeting 2017」にて、新しい二輪用エアバックのコンセプトが公開され、死亡事故減少のために早期実用化を目指すと発表されました。
ホンダはすでに、2007年に大型高級クルーザーのゴールドウィングでエアバックを実用化しています。小型スクーター用エアバックが実用化されれば、ゴールドウィングに続いて市販車として世界で2番目の事例になります。
ゴールドウィングのエアバックは丸型バルーンが膨らむ形状ですが、コンセプトで公開された小型スクーターエアバックは、平べったく直径が大きい形状で頭を守るのはもちろん、ライダーが事故した衝撃で前方へ放り出されるのを防ぐ効果も期待できます。
車のエアバックはボンネットの運転席側にエアバックのセンサーがあり、事故の衝撃でセンサーが潰れることでエアバックが開く構造になっています。小型バイク用エアバックは加速度センサーで作動するシステムで、段差を乗り越える時の衝撃や急ブレーキなどで膨らまないように調整されています。
エアバックが搭載されれば、車両価格にエアバックのコストが上乗せされますが、ライダーの安全確保の方が重要なので、近い将来スクーターはエアバック付きが標準設定になっていくかもしれません。
現時点では着るエアバックの方が普及率が高い
バイク用エアバックは、スクーターやメガクルーザーのように、バイク前部に取り付けスペースがある構造のバイクでないと難しく、現時点でミッションバイクやスポーツバイク向けのエアバック開発情報はありません。
全てのバイクでエアバック実用化するには課題が多い一方で、着るタイプのエアバックは既に商品化されているものが多数あります。ライダースジャケットやレーシングスーツ、エアバック専用のベストなどを着用し、転倒してライダーに強い衝撃が加わるとエアバックが広がる仕組みです。
バイクの重大事故は、転倒してライダーが激しく転がったり、後続車や周辺の車との2次災害事故によるものが多いです。着るタイプのエアバックは最初の衝撃から身体を守れるかは不明ですが、本来なら死亡事故になるようなケースでも、着るエアバックによって命が救われることも増えるでしょう。
しかし、薄くて軽量とはいえ、バイクに乗る度に着るエアバックを着用していくのは手間がかかるので、車のように100%に近いエアバック装着率を実現するのは困難です。
また、ベストタイプの着るエアバックでも、3万円以上の金額で売られています。普及すれば安くなる可能性はあるものの、複雑な構造で製造コストが高いため、金額面も普及率向上の課題になりそうです。
バイク用エアバックは車用エアバックほどの効果は期待できない
バイクの死亡事故の原因は、衝突時の衝撃だけではなく、転倒した後に後続車や周辺の車に轢かれる2次事故や、トラックなどの大型車両による巻き込みによるものが多いです。つまり車のエアバックほど、死亡事故を減らすような効果は期待できません。
ホンダの小型スクーター用エアバクがあれば、間違いなく死亡事故へ発展する確率が少なくなり安全性が向上します。しかしバイクライダーの安全確保には、まだまだ課題も多いです。
まずは一つずつ危険要素を減らしていくことが大切なので、エアバックはこの先のバイクの進化過程のひとつになるでしょう。
まとめ
私は、過去にバイク用ABSが登場したときは、バイクに必要はないだろうと思っていました。しかし、現在ではバイクのABS普及率が上昇して、250ccクラスにも標準装備される車種が増えています。さらに、最新のスポーツバイクではコーナリングABSなど、バイクならではの進化を遂げました。
バイク用エアバックも、現時点では注目度やバイク乗りからの関心が低いものの、将来的にはスタンダートな装備へ成長する可能性があります。
バイクは危険な乗り物というイメージが定着していますが、安全性が向上されて死亡事故発生件数が減っていけば、バイク市場低迷を食い止めるキッカケになるのではないかと期待しています。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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