トリシティ300はLMWの最終形態!?~実用性・安全性以上に魅力的なスポーツ性能に注目~

2019年10月のEICMAでヤマハよりトリシティ300(TRICITY300)が世界初公開され、同月より開催されている東京モーターショー2019でも参考出品されました。
ヤマハは以前より大型LMWバイク「NIKEN」の250ccと300cc版を開発している噂がありましたが、ミッションバイクではなくスクーターベースへ方針転換しています。

2018年2月の記事になりますが、NIKEN-25/3の開発が噂になった当時のレポートとLMW(前2輪の3輪バイク)の基本的な仕組みを知りたい方はコチラの記事をチェックしてみてください。

3輪ロードバイクNIKENの250cc版が開発中!!

新しく発表されたトリシティ300も参考出品車で発売時期のアナウンスはありませんが、展示車両の完成度を考えれば2020年から2021年には市販化を期待できそうです。
名称の通り、トリシティシリーズの上位版に位置づけられた3輪スクーターで、エンジンはX-MAX用を流用しています。

見た目はトリシティのビッグスクーター版ですが、構造はNIKENの技術を多数取り込んでいるほか、新開発の機能も搭載したLMWバイクの集大成とも呼べるパッケージングです。

tricity300の東京モーターショー画像
出展:https://global.yamaha-motor.com/

トリシティ300の注目ポイント2選

トリシティ300はLMW気候を300ccクラスのスクーターに移植しただけではなく、次の2つの注目ポイントがあります。

・LMWはアッカーマン機構を採用
・LMWシリーズ初の直立ロックを搭載

トリシティ300の注目装備について詳しく解説いたします。

LMWにはアッカーマン機構とパラレログラムリンクがある

市販化されたLMWバイクはトリシティ125/155とNIKENの2シリーズがありますが、LMWの仕組みはNIKENがアッカーマン機構。トリシティ125/155はパラレログラムリンクになっています。
そして、公開されたトリシティ300は、NIKENと同じアッカーマン機構を採用しているため、乗り味はトリシティ125/155と別物になりそうです。

パラレログラムは、和訳すると「平方四辺形」になり、左右各2本のフロントフォークを、2本のリンクで繋いで可変する構造です。
アッカーマン機構はパラレログラムをベースに、タイロッドのリーン軸とナックルエンドとつながるステアリング軸をオフセットするなどして、タイヤの位置やバンク角を最適化します。

構造的な説明をすると非常に難しいのですが、簡単にまとめるとパラレログラムリンクはバンクをさせた時に左右のタイヤのバンク角が若干ズレる問題があった所、アッカーマン機構は誤差をほとんどでない動きを可能にしています。

LMWによるミッションバイク「NIKEN」を開発する際には、当初はパラレログラムリンクの構造から多くの弊害が発生していた所、アッカーマン機構の開発によって問題を解消して高いスポーツ性を確保しました。
つまり、トリシティ300は125cc/155ccモデルよりもスポーツ性能が大幅に高まっています。

直立ロック機構で快適性が大幅にアップ

2018年に発売されたNIKENは3輪構造によって初心者でも安心して乗れる操舵性を持っている一方、重たい車体と足着き性の悪さが初心者や女性ライダーから不評でした。

著者もNIKENを試乗しましたが、足着き性の悪さにはビックリしました。当日は初心者で小柄な後輩も一緒にいたのですが、停車しているNIKENに跨がってみた印象が悪くて試乗するのを断念していました。
NIKENの試乗レポート記事はコチラ
ヤマハ・NIKEN試乗レポート!!?コーナーは楽しいけど市街地走行には弱い!?

高い車高と足着き性の問題を解消するべき、トリシティ300にはLMWシリーズ初の直立ロック機構を採用しています。
直立ロック機構とは、スタンドを出さなくてもバイクを直立した状態で固定できる機能で、ホンダの3輪バイク「ジャイロシリーズ」などに採用されています。

トリシティ300の直立ロック機構の仕組みと方法は非公開になっていますが、展示車両に搭載されているペダルブレーキがヒントになりそうです。

ハンドルの左右にはレバーがあるため、走行中は右レバーのフロントブレーキとフロアボード右側にあるペダルのリアブレーキで減速し、停車する時は左レバーで直立ロックをかける仕組みになるのが有力でしょう。

直立ロック機構によって乗り降りする時はセンタースタンドを立てた状態以上に安定した状況を作り、信号待ちでは足を地面に着くことなく直立ロックでバイクを固定できる見込みです。

東京モーターショー2019に出品した車両は重量239kgの重量級(XMAXは179kg)ですが、直立ロック機構によって車体の重さを感じない操作性を確保し、立ちごけリスクを回避できます。

気になる価格を大胆予想

先に発売されたNIKENは発表前から大きな注目を集めていましたが、181.5万円の価格設定から大型バイク初心者ライダーからは敬遠される存在になりました。
そこで気になるのがトリシティ300の価格です。メーカーより販売価格の情報は一切出ていませんが、当サイト独自に大胆予想してみました。

参考出品車両は欧州向けのXMAX300をベースにしていますが、日本向けに250ccモデルを導入されることを前提に試算しています。

まずエンジンのベースになるXMAXの価格は654,500円。間違いなくXMAXより大幅に高くなります。
どれほど高くなるかについては、トリシティ155とNIKENの事例を元にシミュレーションしました。

トリシティ155の価格:484,000円
同エンジンを搭載したNMAX155の価格:385,000円
価格差:99,000円
NMAX155からの価格上乗せ率:約26%

NIKENの価格:1,815,000円
同エンジンを搭載したMT-09の価格:1,023,000円
価格差:792,000円
MT-09からの価格上乗せ率:約77%

トリシティ300は、NIKENと同じアッカーマン機構を採用しているため、NMAX155を基準にしたトリシティ155の価格上乗せ率よりも高くなる可能性がありますが、スポーツ性を重視したNIKENよりは割高感の少ない価格設定になるでしょう。

上記を踏まえてXMAXを基準に価格を上乗せしたシミュレーションをご覧ください。

XMAXの価格 654,500円
126%:824,670円
140%:916,300円
160%:1,047,200円
177%:1,158,465円

一部で80万円前後を予想するメディアもありますが、トリシティ155とNMAX155の価格の違いから考えると難しそうです。おそらくですが精神的節目になる100万円は切ってくることを期待し、140%アップの90~95万円あたりが現実的な数字でしょう。

300ccモデルのみの発売になった場合は安くて99.8万円。100万円を超えてくる可能性も十分あります。

NIKEN-25のコンセプトを引き継いでいる

トリシティ300はかつて開発の噂があったNIKEN-25/3と同じコンセプトを持っている可能性が高いです。単純なシティコミューターやLMWのビッグスクーター版ではなく、峠も楽しめる本格スポーツスクーターの位置づけになるでしょう。

ビッグスクーターではバンク角を出せない問題を最低地上高とLMW機構によって解消し、スクーターのニーグリップできない問題は3輪構造の安定感で補います。

スクーターの見た目でも、2輪のミッションバイクと同等のコーナリング性能を確保できれば、街乗り・ツーリング・ワインディングまで楽しめるマルチなバイクになるでしょう。スクーターと本格スポーツバイク双方の特性を併せもつことを考えれば、90~100万円でも購入価値の高いバイクです。

通勤目的や免許取り立ての初心者にもおすすめのバイクですが、当サイトではツーリングから峠まで使いたいアクティブライダーをメインターゲットにしたバイクだとみています。

おわりに

東京モーターショー2019ではトリシティ300のほかに、4気筒エンジンを採用したカワサキのZX-25Rが注目を集めていました。ZX-25Rも車両価格は90~100万円弱を予想されています。250ccや300ccクラスで100万円前後の価格設定は割高に感じますが、これからは小排気量で機能性や装備にこだわったバイクがトレンドになっていくかもしれません。

新型ZX-25Rが凄い!4気筒本格スポーツ投入で中古バイク市場が変化する可能性も!?

100万円出せば大型バイクを買えるって思う方も多いですが、性能が進化している大型バイクは日本の公道でパワーを活かしきれない問題があります。時速40~100km程度の実用域での使用を考えれば、トリシティ300のようなコンセプトは魅力的です。

トリシティ300が正式発売されれば、メディアのインプレやオーナーレビューなどの口コミで高い評価を得るでしょう!

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