ドゥカティのディアベルとムルティストラーダはスペック以上の進化【東京モーターサイクルショー2019】

ドゥカティブースの様子

パニガーレV4R

ドゥカティの2019年新作バイクは、昨年新発売し2019年シーズンよりSBK(スーパーバイク世界選手権)に投入するパニガーレV4Rです。

東京モーターサイクルショー2019では、2019年3月に欧州で新型を発売し、今後日本へも導入予定の新型ディアベル1260と、2019年6月発売予定のムルティストラーダ950Sの説明が印象的でした。

スペックや構造で大きな進化がないマイナーチェンジですが、ディアベルはエンジンの配置を換えたことで、走行フィーリングを大幅に進化させました。ムルティストラーダ950Sは1200Sとほぼ同等の装備を搭載しつつ、車両価格約200万円にまとめたコストパフォーマンスの高さが魅力です。

新型ディアベルは重心を後ろにすることで扱いやすくなった

ディアベル1260Sの画像

ディアベルシリーズは2011年に発売したクルーザーバイクです。2019年モデルでは、従来の1,200ccエンジンから排気量を拡大させ、ディアベル1260に進化を遂げました。

テスタストレッタDVTと呼ばれる新エンジンは排気量拡大の影響もあって、出力・トルクともにパワーアップしています。排気量拡大に伴い、ホイールベースが延長されましたが、エンジンの配置を換えたことで扱いやすさを大幅に向上させています。

従来のエンジンはドゥカティの代名詞にもなるL型2気筒エンジンの中でも、少しエンジンを起こしてV型に近い形状をしていました。新型エンジンはエンジンを寝かせて純粋なL型に近づけるとともに、エンジンの位置を後ろ側にずらしています。エンジンの配置変更によって、前後輪にかかる荷重のバランスが変わりました。

ディアベルの特長は、ドラッグレーサーのような超極太タイヤです。ディアベル1260は244kgの車両重量を持ちますが、極太リアタイヤに強く荷重がかかるので、乗ってみるとスペック以上に軽く感じます。太くてバンク角の出せるリアタイヤに重心がかかるので、人馬一体になって街乗りから峠のワインディングまで気持ち良く走れます。

ホイールベースの延長によって、理論上はコーナリング性能が悪化しますが、ツーリングやワインディング程度であれば、従来モデル以上に安心してバイクを寝かせて走れるように変化しました。

また、排気量拡大によって得られる恩恵は中低速トルクの向上です。車種を問わず、排気量を大きくすれば中低速域を強化することができますが、テスタストレッタDVTエンジンは吸排気可変バルブを採用することで、エンジンの回転数やスピード域を問わず、最適なパワーとトルクを提供します。

吸気バルブのみ可変式を導入しているメーカーは多数ありますが、吸排気の双方で可変バルブを導入するのはドゥカティ独自の技術です。

ディアベルシリーズはメガクルーザーと呼ばれる重量級ですが、レーシングマシンで培った技術を活かして、重たいバイクでも扱いやすくて軽快な走りを両立させたことで、新型ディアベル1260はスペック以上の進化を遂げました。

最新技術を導入したアドベンチャーを低価格で提供する【ムルティストラーダ950S】

ムルティストラーダ950S

ムルティストラーダはドゥカティの主力モデルにもなる大型アドベンチャーバイクです。ライバルはBMWのGSシリーズ、トライアンフのタイガーシリーズなどが挙げられ、オンロードとオフロードの双方で高い走行フィーリングを両立しています。

国産アドベンチャーよりも欧州メーカーのプレミアムアドベンチャーの方が優れているのは明白ですが、車両価格の高さがネックになります。この問題を解決すべき投入されたのが2018年発売のムルティストラーダ950です。車両価格173.6万円に抑え、ムルティストラーダをより手軽なバイクに変えました。

しかし、売れ筋モデルのムルティストラーダ1200Sに比べると装備が落ち、排気量の縮小によって廉価版のイメージが強くなってしまいました。2019年6月には、ムルティストラーダ950Sを導入し、ドゥカティの誇る先進技術とリーズナブルな価格設定を両立させました。

ムルティストラーダ950Sはセミアクティブ電子制御サスの「スカイフックサスペンション」をはじめ、エンジン以外はムルティストラーダ1200Sとほぼ同じ装備です。価格は200.5万円で、2019年にモデルチェンジチェンジした新型ムルティストラーダ1260Sより65万円ほど安いです。

シャーシや外装はムルティストラーダ1200と950は共通で、排気量によるパワーのゆとりに差があるものの、950Sの方がエンジンを回しながら楽しく乗れるメリットがあります。日本の道路では950Sでも非力に感じる場面はなく、スカイフックサスペンションによって快適な乗り味を実現します。

ムルティストラーダ950Sはお買い得な価格設定で、今後の売れ筋車種になるでしょう。

ムルティストラーダの豆知識①「スカイフックサスペンション」とは

ムルティストラーダ1260Sとムルティストラーダ950Sに採用される「スカイフックサスペンション」は、セミアクティブの電子制御サスペンションです。

走行中に段差や亀裂など衝撃を前輪が感じると、瞬時に最適な衝撃吸収を実現する減衰圧でフロントの吸収を最小限に抑えると同時に、後輪が衝撃を受けるまでのわずかなタイムラグの中で、郷林の減衰圧を柔らかくできます。もちろん、加速やブレーキなどライダーの操作による挙動も感知して、どんな場面でも快適で安全な走行をサポートします。

スカイフックサスペンションの名称の由来は、バイクを宙吊りにしたような走りを実現させたことです。段差などを通過しても、バイクを宙づりにして車体やシート、ライダーは平行な状態を維持して、サスペンションだけが動いて走るような感覚を味わえます。

電子制御サスペンションの中でもスカイフックは世界屈指の完成度だと評価されています。せっかくムルティストラーダに乗るのであれば、是非スカイフックサスペンション搭載モデルを選びたいところです。

2019年モデルより、ムルティストラーダ1260のエントリーグレードがスカイフックサスペンションを搭載した1260Sになります。最上位モデルのパイクスピークは電子制御サスペンションではなく、スポーツ性を追求したフルアジャスタブルサスペンションを搭載しています。

ムルティストラーダ950シリーズはSTDと950Sで差額が約27万円です。スカイフックサスペンションの他にも、ハンズフリー機能搭載の液晶メーターやフルLEDヘッドライト、クルーズコントロールが装備されているので、これから新車を買うなら狙い目は950Sです。

ムルティストラーダの豆知識②「パイクスピーク」とは?

ムルティストラーダ1260Sの最上位モデル「パイクスピーク(PIKESPEAK)」は、ロッキー山脈にかけて広がる峠道の名称です。パイクスピークでは、ヒルクライムレースが開催されていて、ムルティストラーダも参戦して複数回の優勝実績を持ちます。

パイクスピークはヒルクライムレースをインスパイアしたモデルで、レーサーレプリカに近い本格趣向の味付けです。

ムルティストラーダの豆知識③1260シリーズは何が変わった?

大きな変更点は、排気量アップだけではなくテスタストレッタDVTの新開発エンジンに換装したことです。デュアルバーパスバイクは中低速をはじめ、幅広い速度域でゆとりのあるパワーを求められます。

ドゥカティ独自の吸排気可変バルブによって排気量アップ以上にゆとりのあるパワーを実現するとともに、リアタイヤにかかる荷重を高めたことで軽快なハンドリングを可能にしました。

同じ新型エンジンを搭載したディアベルシリーズに比べて前後輪の過重変更の度合いを少なく抑え、吸排気可変バルブの恩恵を最大限活かしたのが、新型ムルティストラーダ1260シリーズの特徴です。

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