MT-07ベースのアドベンチャー「Tenere700」の魅力は安さと軽さ?
ヤマハは2018年11月5日、EICMA2018(ミラノショー)のプレスカンファレンスにて、新しい大型アドベンチャーバイクのプロトタイプを発表しました。車名は「テネレ700(Tenere700)」で、2019年秋の発売を目指しています。
テネレ700はMT-07の689cc並列2気筒エンジンを採用し、フレームは新開発のダブルクレードルタイプです。悪路走破性能にこだわったパッケージングですが、発表されたプロトタイプを見て感じたのは、安くて軽そうな印象でした。
ミドルクラスのアドベンチャーバイクでは、BMW・F700/800のGSシリーズやトライアンフのタイガー800XRTなどが有名ですが、テネレ700は国産ならではのコストパフォーマンスで勝負しています。
テネレ700(Tenere700)の特徴
テネレ700の主要装備とスペックは以下の通りです。
エンジン ・・・ MT-07用並列2気筒689ccを流用(アドベンチャー用に設定変更)
フレーム ・・・ 新開発のダブルクレードルフレーム
タイヤ ・・・ フロント21インチ/リヤ18インチ、本格的なオフロードタイヤを装着可能
足回り ・・・ 43mm倒立フォーク&アルミ製スイングアーム、リモート調整可能なリンク式リヤサス
ボディ ・・・ スリムでコンパクトな人間工学に基づいた効率重視のデザイン
燃料タンク ・・・ 350km以上走行可能なリザーブ付き16Lタンク
ヘッドライト ・・・ 4つのプロジェクターLEDヘッドライト
メーター ・・・ モノクロのフルデジタルメーター(コンパクトなラリースタイルの多機能メーター)
電子制御 ・・・ オンオフ切り替え可能なABS
シート ・・・ オフロード走行を重視した前後に移動しやすいスリムでコンパクトな形状、シート高880mm
国産ライバル車種のスズキ・Vストローム650とカワサキ・ヴェルシス650に比べてもオフロード性を重視した内容です。テネレ700のエンジンベースはロードバイクのMT-07ですが、シャーシ、足回り、ボディ、シートは全て新設計をしています。
国産バイクにたとえると、ホンダ・CRF250RALLYをミドルクラスに拡大させたようなバイクです。
見た目が安っぽい?
テレネ700はオフロード走行時の前後移動を重視したフラットなシートになるので、ツーリング用に大きめのシートを採用したライバル車種よりスリムで迫力が少ないです。4つのプロジェクターLEDヘッドライトで個性的な外観を演出していますが、無駄をなくして軽量化とコストカットを重視したスパルタンな印象を受けます。
小型のデジタルメーターは高機能ですが、コストを削減して軽量化を重視しています。装備を見るとオフロードバイク好きの人でなければ、安っぽく見えます。コストだけではなく軽量性や転倒時の破損リスク低減の目的もあるのですが、好き嫌いの分かれそうなデザインに感じました。
まだプロトタイプですが、保安部品をつけて車名と販売予定を発表しているので、大きな変更をせずに開発を続けていく見込みです。
テネレ700(Tenere700)のスペック
ECMA2018で公開されたテネレ700プロトタイプのスペックは以下の通りです。
全長 2,385mm
全高 1,455mm
全幅 915mm
軸間距離 1,590mm
シート高 880mm
車両重量 -
エンジン型式 水冷4ストローク並列2気筒 / DOHC4バルブ
最高出力 54kW(73.4PS) / 9,000rpm
最大トルク 68N・m(6.9kgf・m)/ 6,500rpm
燃料タンク 16L
タイヤサイズ 前90/90R21 後150/70R18
気になる重量は非公開です。MT-07の重量は182kgで、アルミ製スイングアームやフレーム形式を変更したことで、MT-07との重量差を少なく抑えてくるでしょう。
Vストローム650の重量は212km、ヴェルシス650の重量は216kgです。ライバルに比べてどのくらい軽量化をできるかでテネレ700の評価が変わってきます。
予想価格
参考になる3つの車種の価格をご覧ください。
MT-07ABS:777,600円
V-ストローム650:907,200円
ヴェルシス650:939,600円(ブライト価格)
共通エンジンを使うMT-07より高額になりそうですが、Vストロームより安くなると予想します。MT-07ABSから10万円アップの87.7万円が妥当なラインです。ヘッドライトやメーターにコストをかけていないことや、シート形状でオフロードテイストを強めたことを考えれば、80万円台前半にまとめてくる可能性もあります。
ライバル車種と異なるコンセプトなので価格だけの比較はできませんが、豪華な外観ではないので価格設定で割安感を出せるかがポイントになりそうです。
おわりに
MTシリーズをベースにしたアドベンチャーバイクでは、TRACER900があります。ヤマハは大型オフロードバイクにこれまで力を入れてこなかったので、EICMAでのテレネ700の発表はサプライズでした。
CBR250RALLYやCRF1000Lアフリカツインを販売しているホンダが、ミドルクラスにオフロード重視のアドベンチャーバイクを追加するなら納得できますが、ヤマハがミドルアドベンチャーでライバルとは違う特色の新型を発表したのは意外でした。
ヤマハはWR250やオフロードレーサーのYZシリーズの実績があるので、軽量なオフロードバイクを作る技術は高いです。ミドルクラスにオフロードテイストの強いアドベンチャーバイクがなかったので、テネレ700は面白い発想でコアな需要を期待できそうです。
国産でオフロード重視の大型アドベンチャーバイクを買おうとすると、現行モデルではCRF1000Lのアフリカツインしかないので大きすぎる印象を受けます。軽量でオフロード走破性能の高いミドルクラスはありそうでなかったバイクで、街乗りからオフロードまで手軽に走れる楽しさはライバル以上です。
長距離ツーリングはシートが疲れそうなので、片道数時間程度の日帰りツーリングで未舗装道路や簡単なオフロードコースを走りたい方にオススメです。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
こちらの記事もあわせてどうぞ
- バイクの最新ニュース
- バイクの新型モデル情報、バイクグッズや法律動向などバイクに関わるバイク業界関連情報、バイクレース情報の最新ニュースを紹介しています。
バイクの最新ニュース - バイクの基礎知識
- バイクを持つ前・持っているときに知っておきたい初歩的な知識、バイクを購入するときに知っておきたいこと、バイクを手放すときに知っておきたいことを紹介しています。
バイクの基礎知識 - バイクを売るコツ
- バイクを売るコツをつかめば、早く売る、高く売る、簡単に売るなど自分の希望に応じた売り方を選ぶことができます。
「バイクを売るコツ」はこちら - どの買取業者に売るかお悩みの方へ
- どこの買取業者に売るかで迷ったら、当サイトのおすすめ買取業者をご参考下さい。
みんながどこでバイクを売っているか、買取業者利用アンケートも紹介しています。
「おすすめのバイク買取業者」はこちらで紹介