EICMA2018で発表の新作LMW「3CT」はトリシティのビグスク版??

2018年秋に発売した新型バイクで大きな注目を集めたのが、前2輪のLMW技術とスポーツバイクを融合させたNIKENです。NIKENが発売する前からも、次はMT-25をベースにしたクォーター(250cc)クラスの小型NIKENが出る噂がリークされていました。

2018年11月に開催されたEICMA2018(ミラノショー)では、ヤマハが新しいLMW搭載バイクのプロトタイプ「3CT」を発表しましたが、事前に噂されていたMT-25ベースとは内容が大きく異なるものでした。

「3CT」はLMW機構を搭載したスポーツコミューターのプロトモデルで、車体形状はスクータータイプです。エンジンはMT-25の並列2気筒ではなく、スクーター向けの単気筒300ccエンジンを搭載しています。つまり、NIKENの小型版ではなくトリシティを大きくしたようなコンセプトモデルです

300ccのエンジンは海外市場を意識したもので、日本向けには排気量を250ccに縮小させたタイプの発売が予想されます。EICMAへの出品は300ccエンジン搭載のプロトタイプのみだったので、国内販売までは時間のかかる見込みです。

3CTに期待できる需要

LMW技術の先駆けになったトリシティ125は、安全性の高いシティコミューターとして人気を集めています。125ccのスクーターは駅前のバイク置き場(駐輪場)にも停めやすいメリットがありますが、前二輪で横幅の広い関係でトリシティ125では断られるケースもあります。

昨今は、前輪を固定したりチェーンロックする無人バイク置き場が増加している中で、1台分の駐車スペースに入らないトリシティは安全に停められる場所が少ないです。市街地や駅周辺での使い勝手の悪いことから、トリシティシリーズは高速道路にも乗れる155ccクラスの需要が高いです。

しかし、トリシティ155では長距離ツーリングで使うにはパワー不足になります。3CTでは、高速ツーリングや遠出まで快適に楽しめるビッグスクーターのカテゴリーで安全性を高めたモデルとして、初めてバイクを買う初心者をメインターゲットにしています。

3CTの予想価格

新発売したNIKENは、MT-09のエンジンをベースに178万円のメーカー小売価格です。注目度は高いものの、MT-09のエントリーグレードは約100万円なので、1.8倍近い価格設定がネックになっています。3CTはスクーターベースなので、NIKENのような高額な価格帯にならないと予想します。

トリシティ125の場合は、同じスポーツスクーターのシグナスX(329,400円 )より約2割高い394,200円です。2018年に発売したスポーツタイプのビッグスクーター、X-MAX(642,600円)から2割アップの約77万円あたりが予想される価格帯です

250ccクラスのスクーターで80万円を超えてくると、手の出しにくい価格帯です。3CTはお手頃感を感じる価格設定になることを期待したいです。

実用性よりスポーツ性を重視

3CTのプロトタイプに搭載されたエンジンは、XMAX300ベースの水冷4ストロークOHC4バルブ単気筒エンジンです。3CTで特徴的なのは、スクーター特有の平面的な形状のフロントマスクではなく、ミッションバイクのように尖った形状をしたフロントカウルです。

正面から見ると、スクーターではなくミッションバイクにも見えるスポーツ性を感じるデザインです。車名をトリシティ300にしなかったことから、安全にバンクさせて曲がれるスポーツスクーターをコンセプトにしています。

既存の250ccスクーターに安全性を加えただけではなく、スクーターの概念を覆すような乗り味を期待できます。NIKENのように割高な価格設定になっては意味がないので、コストパフォーマンスを感じられる価格設定になるかがポイントです。

新たななチルトロックを採用

3CTの目玉装備になるのが、トリシティ125/155やNIKENには採用されていないチルトロックを採用したことです。チルトロックは3輪バイクのタイヤを固定してスタンドなしでも自立させる機能です。

前2輪の3輪バイクでは、アディバが電子制御式の油圧フロントサスペンションを意図的に固くする方式のチルトロックを採用しています。3CTでは方式や仕組みは非公開になったものの、サスペンションをロックさせない新しい方式を採用することを明らかにしています。

私は高校生の時に後2輪の3輪スクーター「ホンダ・ジャイロ」で寿司のデリバリーをしていました。ジャイロにはメーター下部にあるレーバーで操作するチルトロックがありましたが、信号待ちではチルトロックを一切活用していませんでした。

新しい独自技術のチルトロックを採用する予定なので、信号待ちの停止で自動的にロックして、アクセル操作で自動解除されるなど、利便性の高いシステムになるのではないかと期待しています。

信号待ちで停まる時に足を付かずに止まられるようになれば快適性が大幅に向上します。新しいチルトロックがどのような内容になるかは不明で、信号待ちで足を付かなくてもよくなる構造は当サイト独自の予想(希望)です。

MT-25ベースのNIKENはガセだったの?

2018年夏ころに大手メディアがNIKENのMT-25ベースした小型版を開発していることをリークしていました。おそらく、完全なガセ情報ではなく、ヤマハも開発に着手したのは事実でしょう。

しかし、3輪による負荷増大によって250ccや300ccエンジンではスポーツ性を確保できなかったことや、NIKENの価格設定で見えるように製造コストがネックになったのかもしれません。

NIKENの大型スポーツバイクであれば富裕層からの購入需要がありますが、MT-25(534,600円)から価格が約1.8倍の96万円前後になると、250ccクラスを買うハードルが高すぎます。3CTがスクーターベースになったことを残念に思う面もありますが、構造を考えると仕方ないと納得できます。

おわりに

EICMA2018で発表された3CTはコンセプトモデルに近いプロトタイプで詳細情報は非公開です。おそらく2019年3月に開催される東京モーターサイクルショーでは、プロトタイプの展示以外に、走行映像の公開など2輪スクーターにはない魅力の紹介をしてくるでしょう。

プロトタイプの外観だけでは、イメージの付きにくい車種ですが、トリシティ125もプロトタイプでは賛否両論ある中で大成功させた実績があるので、3CTも期待できます。

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