3輪ロードバイクNIKENの250cc版が開発中!!
東京モーターショー2017のヤマハブースで大きな注目を集めたのは、前2輪後1輪の3輪ロードバイクNIKEN(ナイケン)です。2018年中に、MXT850NIKENとして発売を予定していますが、早くも派生モデルのNIKEN-25/3の開発も進んでいる情報が入ってきました。
*写真は東京モーターショーに出品されたNIKENコンセプト
NIKEN(ナイケン)は、ヤマハが2018年中の発売に向けて開発している、前2輪後1輪の3輪ロードバイクです。東京モーターショー出品時はMT-07をベースにしていましたが、850ccエンジンを搭載し、MT-09をベースにされる可能性が高まっています。
ヤマハは既に3輪スクーターのトリシティ(TRICITY)125/155でヒットをさせた実績があります。トリシティは街乗りをメインに安全性・安定性を重視したことで市場から評価されましたが、NIKENはミッション付きのロードバイクで、ツーリングや峠のワインディングも可能にしています。
当初のコンセプトモデルを見たときは、安全に乗れる大型バイクで、免許取得して間もない大型バイクデビューユーザーの呼び込みを狙っているように感じました。
しかし、MXT850NIKENの発売前、そして東京モーターショーからわずか4ヶ月後の時点でMTー25/3をベースにしたシリーズ車種を2019年に投入する情報を見て、ヤマハは本気で前2輪後1輪のバイクを普及させようとしている本気度が伝わってきました。
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峠をロードバイクの2輪車より速く走れる可能性
当サイト独自の仮説ですが、ヤマハが3輪ロードバイクに力を入れているのは、大きな手応えを感じているからでしょう。サーキットでの本格的なレースでは2輪のロードバイクの方が速く走れますが、路面状態の悪い峠道のワインディング程度であれば、NIKENシリーズの方が速く走れる可能性があります。
3輪になると、タイヤに伝わるエンジンのパワーも分散されて加速や最高速は落ちます。突き詰めれば3輪よりも2輪の方が速いのは確かですが、一般ライダーが峠道を流す程度であれば安定感がある分、簡単に速く走れるかもしれません。
また、2輪バイクと同じスピードで走っても安定感がある分、恐怖心が消えて気持ちよくコーナーを駆け抜けられる乗り味もありそうです。素人でも簡単にバンク角を出せることで、バイク本来の体重移動で曲がる感覚が伝わりやすく、乗っていて2輪より楽しいと感じられるかもしれません。
まずは2018年に発売予定のMXT850NIKENの発売を待って、メディアやオーナーのレビュー評価に期待です。
LMWとは
LMWとは「Leaning Multi Wheel」の略で、リーン(傾斜)して旋回する3輪以上の車両の総称。ヤマハの商標登録している独自技術です。3輪バイクはホンダのジャイロをはじめ、昔からありましたが、LMWは2輪になっているタイヤもそれぞれ傾斜することで、2輪バイクのような旋回性を可能にしています。
2014年発売のトリシティで初めてLMWテクノロージーを採用した市販車を発売しましたが、開発の歴史は古く1979年には前2輪の3輪バイク開発に向けて数々の特許を取得しています。
TRICITY125の開発プロジェクトのリーダーを務めたのは、長年Moto-GPマシンの開発に携わってきた実績を持つ高野和久氏で、3輪バイクはおろか、市販車の開発も初めての参加だったようです。
レース用バイク開発のスペシャリストを3輪スクーターの開発に充てるのは大胆な人事と言えますが、ヤマハは最初から街乗り向けに初心者をターゲットにしたスクーターではなく、2輪のロードバイクに負けない3輪バイクを作ろうとしていたのかもしれません。
LMWのコンセプトは「転ばないバイク」ですが、安全性を追求するだけではなく、バイクに乗る楽しさも追求しているように感じます。
私は富士スピードウェイのサーキットライセンスを取得して、GSX-R750でサーキット通いしていたことがありますが、もしNIKENシリーズが峠を手軽に速く走れる仕上がりになれば、買ってみたいと思えるバイクです。
バイクはバンクさせて曲がることが醍醐味のひとつで、サーキットでは思いっきり走れても公道では路面も悪く危険もたくさんあります。MXT850NIKENやNIKEN-25/3で、安全に気持ちよくコーナーを駆け抜けられるのであれば、若い頃のように限界を攻める乗り方はしないですが、ワインディング用バイクとして乗りたいです。
つまり、LMWは初心者をターゲットにしたものではなく、ベテランライダーやリベンジライダーも取り込める可能性があります。
置き場所の問題
前2輪になることで、当然ながら2輪バイクに比べて横幅が広がります。TRICITYのような原付2種クラスのスクーターであればいいですが、250cc以上のロードバイクになると置き場所の問題が気になります。
日本は土地が狭く人口密度も多いです。戸建住宅に住んでいて大きなガレージを持っている人は少なく、車を置く場所がないからバイクに乗っている方もたくさんいます。特にマンションなど集合住宅の契約が必要なバイク置き場は、決められたスペース内に収まるかも不安要素になります。
東京モーターショーに出品されたコンセプトモデルの全幅は885mmで、MT-09の全幅は819mmなので66mmの差しかありません。
ただし一般的なフロントタイヤのスペース部分は、2輪バイクに比べて大幅に広がります。ハンドルロックをかけてタイヤを斜めにすると、駐車時の横幅はさらに広がるでしょう。
カタログ上の寸法だけではなく、実際の保管場所や駐輪スペースに置いてみないとなんとも言えないですが、バイクの保管場所が狭い人は慎重に検討した方が良さそうです。
おわりに
ヤマハのLMW技術は、「バイクは危険な乗り物」というイメージを払拭する大きな可能性を感じます。TRICITYの評判も良いですし、MTシリーズをベースにロードバイクに組み合わせれば、スクーターよりもLMWとの相性が良くなるかもしれません。
横幅は大きくなるので、追い越す時には注意が必要で、レースとしての需要は低そうですが、峠での需要は予想以上に高いのではないかと期待しています。NIKEN-25が早ければ2019年に発売する情報を見て、メーカーの本気度が伝わり、東京モーターショーでのNIKEN出品時以上にMXT850NIKENの発売が楽しみになりました。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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