BMW 「C EVOLUTION」の東京モーターショー2017レポート
日本の電動バイク制度では、原付および原付2種扱いの電動バイクは出力の規制が海外より厳しいため、日本では電動バイクはなかなか普及していません。
ただし、軽二輪(250ccクラス)になれば出力規制の上限はなくなり、海外のように400ccクラス、大型バイク扱いの区分は無いメリットがあります。つまり、125cc以下の電動バイクは規制が厳しい一方で250ccクラスになれば電動バイク先進国に比べて規制は緩くなります。
(参考:https://xn--u9jwf7a8ip16p94g.net/news/gyokai-news/20170917-01.html)
東京モーターショー2017では、BMWからハイパワーの電動ビッグスクーター「C EVOLUTION」の出品がありました。2017年9月1日に国内発売もしているモデルで、海外では大型バイク扱いになることもある高出力モーターを搭載していますが、日本であれば250cc扱いになります。
これからの電動バイク市場に大きな可能性を感じました。
このページの目次です
BMWの大型電動スクーター「C EVOLUTION」のパワーは大型バイク並、区分は250cc扱いに!!
東京モーターショーに出品された電動バイクの「C EVOLUTION(Cエボリューション)」を見て、当初は参考出品車両かと思いましたが、既に国内販売も開始していることを知って驚きました。
高出力モーターを搭載し、欧州や台湾では大型バイク扱いになるバイクですが、日本の制度では普通自動二輪免許で乗れて、車検も不要の250ccクラスになります。
見た目はマジェスティなど250ccクラスのビッグスクーターより小さく見えて、先進的なデザインが印象的でした。
後ろ姿は155cc〜200ccクラスにも見えます。エンジンを搭載していないのでリアの足回りがスッキリしています。
タイヤは前後15インチなので、PCX(14インチ)よりも一回り大きいです。
シートは大型化されていて、シート高は低めに設定されています。全長が長くて車高が低いデザインに、フロントカウルだけ黒を採用したカラーリングもあってか、前から見ると大きく、後ろから見ると小さく見えました。
車両重量は275kgあるので、250ccクラスのビッグスクーターより重たく、スタイリッシュなデザインですが、かなりドッシリした車体になっています。
近未来的なデザインで、大型スクーターに強いBMWのシャーシと足回りは高級感がありますが、見た目と価格だけを比較すると、約155万円の価格設定は割高に感じます。
C EVOLUTIONの特徴、スペック
車種名 | C EVOLUTION |
---|---|
メーカー | BMW (ビーエムダブリュー) |
排気量 | (250ccクラス扱い) |
発売時期 | 2017年9月1日 |
エンジン形式 | 液冷オルタネーター搭載ドライブトレインスイングアーム、永久磁石式同期電動機、内部ローター |
燃費 | 航続距離約160 km(定地走行値) |
トランスミッション形式 | 歯付ベルトおよびリングギアによるリアアクスル動力伝達ドライブトレインスイングアーム |
クラッチ形式 | – |
燃料供給方式 | 急速充電(充電ステーションなど)、200V電源(100%充電所要時間4時間30分) |
フレーム形式 | アルミダイキャスト耐荷重バッテリーケース付ハイブリッドシャーシ、チューブラースチールステアリングヘッドキャリアおよびリアフレームをボルトオン |
車両重量 | 275kg |
乗車定員 | 2名 |
最高出力 | 35kW(48PS)/4,650rpm |
最大トルク | 72Nm/4,650rpm |
新車価格 | 1,549,000円 |
中古車相場 | – |
最大トルクは750cc並
C EVOLUTIONのスペックで特筆すべきは72N・mを誇る最大トルクです。ガソリンエンジン車で例えると750cc並です。スクーターは、ピークパワーの回転数を低めに設定しているので、同クラスよりもトルクだけで見れば太いです。
■主要な大型スクーターの馬力・トルク
BMW・C850GT | 最高出力60PS、最大トルク63N・m |
---|---|
ホンダ・X-ADV | 最高出力54PS、最大トルク68N・m |
ヤマハ・T-MAX530 | 最高出力46PS。最大トルク53N・m |
ご覧のとおり、大型スクーターと同等の性能を誇ります。トルクだけで見れば、850ccエンジンを搭載したC850GTよりも太く、圧倒的な加速性能が魅力です。0-50kmまでの加速所要時間は2.8秒で、ゴー&ストップが多い日本の市街地に適性が高いです。
最高速度はリミッターによって129kmに制限されていますが、出力的には160km前後の最高速を出せるスペックなので、時速129kmまでは、ゆとりを持ってストレスなく加速していきます。
充電に必要な工事
EV車のリーフのように専用の充電用電源の工事は不要で、200v電源のコンセントさえあれば、家庭で手軽に充電できます。それでも日本の一般家庭は100V電源が主流で、屋外に200V電源の用意のある家は少ないでしょう。
C EVOLUTIONを自宅で充電する場合は、単相200V電気工事を行い、任意の場所に200V用コンセントを設置する必要があります。工事費用は分電盤まで既に200Vの電気が来ていれば1〜3万円、200V電源の引き込み工事も必要になる場合は10万円前後です。
EVステーションなど急速充電機のある施設でも充電可能ですが、所有する場合は、自宅で充電できる環境を用意しておかないと厳しいでしょう。
C EVOLUTIONの評価
街乗りからツーリングまで適性にこなせますが、長距離ツーリングには向いていません。パワー的には大型ビッグスクーター並で、中低速域の加速性能が高いので、航続距離160kmの範囲内であれば、市街地から峠、高速走行まで快適に走れます。
大型スクーターに強いBMW製なのでシャーシ、足回りはしっかりしていて、安定感やコーナリング走行もクラストップレベルです。大型EVスクーターとしては間違いなく世界トップの性能と信頼性を誇ります。スクーターとしての造りも、大手バイクメーカー製品だけあって信頼できます。
EVバイク市場に新規参入してきた異業種メーカーのスクーターとは、格段に違う走りの良さを実感できるでしょう。
おわりに
C EVOLUTIONは電動バイクの新しい可能性を感じさせる1台です。スクーターのカテゴリーに限らず、125cc超えの軽二輪扱いのEVバイクでは、間違いなく世界トップ水準の性能を誇ります。
現時点では、大型バイク同等のパワー、トルクがありながら、250ccクラスに区分されるのはメリットにはなりますが、制度面ではおかしな話でもあります。ただし、電動バイクの規制を見直すのであれば、125cc以下の出力が低すぎる問題も同時に再考されるでしょう。
今後、大型バイク並みのパワーがあるEVバイクがもっと増えれば、高い確率で制度改定をされると予想しています。ただし、現時点で250ccクラスで販売している以上、制度改定で過去に購入した人も、即座に普通自動二輪免許では運転できない扱いになることは考えにくいです。
C EVOLUTIONをはじめ、軽二輪扱いのEVバイクの購入検討している方は、国内のEVバイクの法律的な動向もチェックしておくとよいでしょう。
私はC EVOLUTIONは魅力的に感じますが、155万円は高いと感じました。普通自動二輪免許しか持っていない方で、大型スクーターに乗りたいけど時間の都合で大型自動二輪免許を取得することが難しい方は、EVバイクを検討してみるとよいでしょう。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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