YZF-R6(2017年)の特徴、スペック、国内販売を期待できる理由
東京モーターショー2017では、ヤマハブースからYZF-R6の展示がありました。
YZF-R6は2017年3月に9年ぶりのフルモデルチェンジを行い、600ccクラスでは敵なしのスーパースポーツです。
現在は北米、南アフリカなど海外仕様のみの販売で国内仕様はなく、一部の輸入店が扱うのみになっていますが、モーターショーの出品は近い将来の国内販売を助長するアクションのように感じました。
600ccクラスは、CBR-600RRのヒットを皮切りにプチブームが起こったカテゴリーですが、人気の火付け役になったCBR600RRは2016年に生産終了になり、市場は縮小傾向にあります。時代に逆行するなかで日本仕様の登場はあるのか気になります。
今後の発売予想と最新モデルのスペックや特徴、メーカーの思惑についての分析内容を紹介します。
YZF-R6(2017年)の特徴
YZF-R6は2017年のフルモデルチェンジによって、兄貴分のYZF-R1テイストのスタイリングに変身しました。
空力性能を高めた外装と、R1の遺伝子を感じるライト周りは魅力的です。
最近ではYZF-R25/R3などのライトモデルの人気が高いですが、R1と共通(セッティングのみ変更)のフロントフォークなど、足回りがしっかりしていて迫力が高いです。
燃料タンクはアルミ製で、熟練のスタッフが手作業でプレス製造しています。
軽量で美しいフォルムを両立したタンクにエアロパーツも純正で付いてきます。
日本仕様はありませんが、ヤマハの海外モデルを多数扱うプレストコーポレーションより国内の正規輸入販売を行っています。
東京モーターショーで見た印象
バイクの外観は好みで決まりますが、私はスーパースポーツで一番カッコイイと思っているのは「YZF-R1」です。
特に細いLEDのヘッドライトが先進性を感じて好感しています。ライトレンズのスペースが少ないのでレーしーなカウルになりスポーツバイクとの相性も抜群です。もちろん、初代YZF-R1から評価を得ている美しいフォルムも評価ポイントになります。
YZF-R6はR1の直系弟分になり、外観もかなり近い点が気に入りました。最近のリッタークラスのスポーツバイクは小型が進んでいるため、遠目から見るとYZF-R6と大差はなく、近くで見ても大型バイクならではのゴツいフロントフォークや太いタイヤを見てR1と勘違いしそうです。
正直な感想ではフロントマスクに「R6」と大きくプリントされているのが残念です。バイクに詳しくない方から見ればR1かもしれないと思わせる、さりげないロゴにしてほしかったです・・・。
YZF-R6のスペック
車種名 | YZF-R1(2017) |
---|---|
メーカー | YAMAHA (ヤマハ) |
排気量 | 599cc |
エンジン形式 | 水冷4ストローク並列4気筒/DOHC4バルブ |
燃費 | NA |
トランスミッション形式 | 常噛6段リターン |
クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング |
燃料供給方式 | フューエルインジェクション |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
乾燥重量 | 190kg |
乗車定員 | 2名 |
最高出力 | 87.1kW(118.4PS)/14,500rpm |
最大トルク | 61.7Nm((6.3kgm)/10,500rpm |
新車価格 | 1,566,000円〜 |
中古車相場 | 40〜70万円(2008年未満) |
ヤマハ YZF-R6の評価
YZF-R6は、600ccクラスの中でも本格的なピュアスポーツです。
コーナリング性能が高く、ライディングポジションは攻めた前傾姿勢なので、スポーツバイクに慣れていない人ではツーリングに使えない懸念もあります。エンジンも高回転型で、いくらトラクションコントロールが付いているとはいえ、街乗りではストレスに感じるでしょう。
フルモデルチェンジでは、ABS、トラクションコントロールを標準装備し電子制御が充実しました。ライバルの国産600ccスポーツバイクはCBR600RR最終型を含めて電子制御の導入がほとんどないので、国産唯一の先進技術を取り入れた600ccスポーツバイクになります。
パワーだけで見れば125PSの「GSX-R600」に劣りますが、安全性、旋回性はクラストップレベルです。何よりもR1ルックのスタイリングが魅力的で、R1を購入検討しているユーザーも一部では流れてくるでしょう。
ライバルの型が古いため、単純にスペックや装備で比較検討できない面もありますが、ライバルメーカーよりも先を行っている最新モデルです。
600ccスポーツバイクの価値
ヤマハは、「リッタークラスSS(スーパースポーツ)は、高すぎる」と感じているユーザー層を狙っていると感じています。
かつては1,000ccクラスSSに匹敵する需要のあった600ccクラスですが、年々市場規模は縮小しています。それは、ST600などレース分野では一定の需要のあるものの、公道ユーザーから見ると600ccクラスを買うメリットが薄れつつあります。
SSブームが始まったのは2000年代初頭のころには各メーカー1,000ccクラスのスポーツバイクを投入していました。当時のリッタークラスSSは重くて、電子制御技術が普及していなかったため、扱いづらいメリットがありました。一方、600ccクラスのスーパースポーツは、リッタークラスに比べて軽くてエンジンフィールがマイルドな扱いやすさを評価されていました。
しかし近年のリッタークラスSSは、軽量化が進み電子制御技術の進歩で初心者でも扱えるように進化しました。つまり、以前に比べて性能面や扱いやすさの面で600ccクラスを選ぶ価値が薄れてきているのです。私は東京モーターショーでヤマハがYZF-R6を出品したのは、国内仕様の投入を匂わすことに加えて、スペックではなく価格面で市場開拓を狙う思惑を感じました。
リッタークラスSSは軽量化、電子制御化によって魅力的な進化を遂げていますが、価格の高騰も目立ちます。YZF-R1のプレストコーポレーションによる輸入販売新車価格は300万円以上になっています。ライバルメーカーのリッタークラスSSでも一番安いGSX-R1000で乗り出し価格200万円ほどです。バイクは転倒リスクも高いため、スポーツバイクに興味はあるけど、価格面でリッタークラスSSは買えないという方も多いでしょう。
私も200万円以上出してバイクを買ったら、おそらくゆったりツーリング中心で、サーキットのスポーツ走行に使うのはリスクを高く感じて敬遠すると思います。公道をゆったり走るのであれば、わざわざ新車でピュアスポーツを購入する必要はないと感じて、中古や他のスポーツツアラータイプのバイクに興味を持ちます。
現在、YZF-R6は国内仕様の販売はなく、大手輸入販売店のプレストコーポレーションでの販売価格は約156万円です。YZF-R1に比べれば半値近い水準は魅力的ですが、排気量を考慮するとライバルメーカーのリッタークラスSSに比べて割高に感じます。
日本仕様の導入とともに、国内でのメーカー小売価格を130万円〜140万円ほどに抑えられれば、興味を持つ方も増えるのではないでしょうか?
中古市場での価値は高い
YZF-R6をはじめ、600ccクラスSSの新車販売需要は低いですが、中古市場では高い人気を確保しています。2012年式のYZF-R6の中古販売相場は100万円〜120万円です。新車価格150万円に設定しても、5年後の売却価格は新車角の50%前後を期待できるでしょう。兄貴分のYZF-R1の2012年式中古バイク相場は120万円〜150万円です。
新車価格をイヤーモデルの型落ち在庫車で220万円に設定した場合でも、5年後の売却価格は50%を下回る計算です。YZF-R6はタマ数の少なさもありますが、安くて高年式のスポーツバイクを購入したい需要が中古相場を底上げしています。
新車であれば軽量化や電子制御装備の充実したリッタークラスSSに興味を持つ方が多いですが、中古市場では600ccクラスでも十分だと感じている方が多いです。実際に公道やサーキットのショートコースであれば、600ccクラスでも、バイクの性能を持て余してしまうほどのポテンシャルがあります。
新型YZF-R6はスタイリングの進化に加えて、足回りやシャーシ、電子制御などリッタークラスSSと同等装備を搭載したことで、魅力的なパッケージングに進化しています。ライバルメーカーの600ccクラスSSの新型が出ていないことを考慮しても、オンリーワンの存在になり、5年後、10年後のバイク売却価格は高値を期待できるでしょう。
おわりに
YZF-R6の重量は190kg、YZF-R1の重量は200kgなので重量差は10kgです。私は東京モーターショー2017でYZF-R6の展示車両を見た時に、リッタークラスがこれだけ軽くなっているのだから、600ccクラスはどのくらいの重量になったのか興味がありましたが、期待はずれに感じました。
しかし、R1と同じフロントフォークや共通点の多いフロントマスク、先進のエアロパーツなど魅力的なパッケージングで、重量差の少なさは高速域での安定感を確保する目的もあるのだと納得しました。私はR1とR6のどちらが欲しいかと言われたら、迷わず「R1」と答えますが、R1は250万円、R6は130万円と提示されたら、R6の購入を前向きに検討すると思います。
かつて「大型バイクは高価」というイメージを覆したMT-07がヒットしたように、YZF-R6は「大型のピュアスポーツバイクは高価」といったイメージを覆せるような価格帯で日本仕様導入してくれることを願っています。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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