バイクの名義変更を巡るトラブルと対処法

バイクの個人売買を中心に、購入者がバイクの受け渡し後に名義変更をしないトラブルが増えています。
特にヤフオクやネットのフリマアプリなど、他人同士のマッチングによる個人売買はトラブルリスクが高いです。

ここではバイクの個人売買で、名義変更してもらえない時のトラブル事例・対処法や、防衛策をまとめました。

バイクの名義変更トラブル

バイクの名義変更トラブルの多くは、売却者(旧所有者)の名義でバイクの受け渡しをして、その後、購入者(新所有者)が名義変更する約束を果たさず、売却者の名義のままバイクを乗り続けてしまうものです

個人売買は「買い手」が、陸運局や市区町村の役場で名義変更手続きを行う必要があります。名義変更のやり方が分からなかったり、必要書類や車検の取得のための整備に不備があって、当初の予定より遅れているのであれば、適切なアドバイスをする事で解決に向かいます。しかし、バイクの名義変更を巡るトラブルの多くは、購入者が悪意を持って名義変更をせず、そのまま音信普通になってしまう事です

個人売買でバイクを売る時は、一度バイクを抹消(廃車)登録してナンバーを付いていない状態で渡すと、その後購入者が名義変更をしなくても売却者に何も影響はありません。しかし、抹消(ナンバーを返納)した状態で個人売買での売却をすると、引渡し時に公道を走る事ができず、車に積載するか市役所などで仮ナンバーを取得する必要があります。抹消渡しの条件だと、買い手の手間がかかり、ヤフオクなどのネットオークションでは買い手が付きにくくなるデメリットがあります

また、売却者も一度陸運局(原付の場合は市区町村の役場)で抹消登録をする手間がかかります。そのため、ナンバーが付いているバイクを個人売買で売る時は、ナンバーを付けたまま名義変更前の状態で受け渡しするケースが多いです

名義変更されない事で生じるデメリット

バイクの個人売買で購入者が名義変更せず、旧所有者(売却者)の名義のままバイクに乗り続けると、次のデメリットが発生します。

・軽自動車税の納付書が売却者のもとに届く
・購入者が事故や違反を起こすと、旧所有者のもとに警察から連絡が行く場合がある
・交通事故の賠償責任を旧所有者が負う場合がある

軽自動車税の納付義務は、毎年3月31日現在の名義人が、4月から始まる新しい年度の納税義務者になり、自宅に軽自動車税の納付書が届きます。また、ひき逃げ・当て逃げの事故や駐車違反、自動速度取締装置(オービス)の違反をして出頭しないと、名義人の元に警察から連絡が行きます。

軽自動車税の納付書が届いたときや、事故や違反による警察からの連絡で、はじめて名義変更されていない状況に気付くケースもあります。個人売買でバイクを売った時は、必ず名義変更完了の確認まで行いましょう。

軽自動車税の納付書が届いた場合は、納付書を購入者に渡して対応してもらいましょう。車体が手元にない場合は、軽自動車税の納付を旧所有者が負担する必要はありません。(個人売買の取り決めで新しい年度を売却者が負担する約束をしている場合を除く)。

事故や違反で連絡が来た場合は、速やかに警察に出頭して、事故や違反をした日よりも前にバイクを売却している証拠を提示して、運転者および現在のバイクの使用者が個人売買の購入者である旨を主張しましょう。

名義変更されない事によるトラブルで一番懸念しないといけないのが、名義変更されていない状態で交通事故を起こされることです。運転者が購入者でも、バイクの名義人も運行供用者責任を問われ、賠償責任を負う場合があります

名義変更前の事故は、購入者が任意保険未加入の状態になるので、人身事故や大きな物損事故になると運転者だけでは賠償能力が足りず、被害者は名義人に対しても賠償請求できるように法津で定められています。

任意保険に加入しているバイクを売る時は、名義変更完了を確認するまで任意保険を解約しない事が望ましいです。ただし代替を伴う売却は、任意保険の契約を新しいバイクに車両入れ替えしないといけないので、売却者の保険で賠償を賄うことが難しくなります。

自賠責保険が残っている場合は、運転者を問わず保険金が支払われますが、補償範囲は対人賠償に限られ、死亡3千万円、怪我120万円が上限になり、賠償金を全額自賠責保険で補償できない事が多いです。

名義変更をしない購入者の事故は、売却者も被害者の立場に見えますが、法的には運行供養者として責任追及されるので注意しましょう。

名義変更されないトラブルは警察が動いてくれない

個人売買で購入者が名義変更してくれないトラブルは、盗難のように刑事責任の追及はできず、売買取引が成立しているため民事の問題になります。購入者は警察や裁判所に責任を問われても、「購入したバイクでこれから名義変更する予定」と言い訳されると、民事訴訟(裁判)を除いて責任追及ができません。

個人売買でバイクを売る人は、名義変更されなかったら警察に通報すればいいと簡単に考えている人が多いです。名義変更をめぐるトラブルは民事問題で、警察は何も助けてくれない事を理解して、民事訴訟に発展した時に有利になるような証拠の確保や防衛策を講じるようにしましょう。

個人売買で名義変更されないトラブルを防ぐ方法

個人売買で名義変更されないトラブルを完璧に防ぐには、ナンバーを返納した抹消(廃車)状態で受け渡しをする事です。しかし、紹介している通り、ナンバーが付いた名義変更前の状態で受け渡しをして、購入者が名義変更する取引になるケースが多いです。

名義変更せずにバイクを受け渡しして、購入者が名義変更する条件で、名義変更されないトラブルを防ぐには次の方法があります。

・名義変更完了するまで預かり金を納付する取引ルールにする
・契約書や覚書を作成して、期限までに名義変更する旨の証拠を残し、名義変更を期限内にしなかった時に損害賠償を請求するルールを作る
・購入者の免許証のコピーを預かる

バイクの個人売買では、名義変更するまで3万円程度の預かり金を購入者が払い、名義変更完了後に売却者から返金する取引ルールが流行しています。特に個人売買の仲介サービス最大手のヤフオクでは、3万円の預かり金を設定する取引ルールが広く普及しています。

預かり金を設定することで購入者は速やかに名義変更してくれる可能性が高まります。また、契約書や覚書をはじめ、ヤフオクでの取引履歴の保存など、トラブルが発展した時に購入者が言い訳できないように証拠を残しておく事も大切です。

どうしても名義変更してくれない場合の対処法

個人売買でバイクを売却して、購入者が名義変更してくれない時は、まずはしっかり名義変更をするように催促の連絡を行いましょう。電話が繋がらない場合は、訪問や郵送を行います。

郵送の場合は内容証明郵便を活用したり、購入者の家族に対しても事情を説明して名義変更の催促をするなど、証拠を残す事も心がけましょう。

名義変更の催促をしても、名義変更してもらえる見込がない場合は、最終手段として強制抹消でバイクの登録を抹消する方法があります。しかし、ナンバープレートと登録書類が購入者の手元にある状態では簡単に抹消登録できません。

個人売買をした時の契約書や覚書、その後名義変更の催促をしているにも関わらず対応してくれない旨の証拠(主に内容証明郵便の控え)を持って、陸運局(原付の場合は市区町村の役場)に行って相談しましょう。

証拠が足りない場合は、内容証明郵便による催促など、証拠を作る事からはじめないといけません。証拠作成の間にも、購入者が売却者の名義のままバイクを乗って事故や違反を起こすリスクが発生してしまいます。

個人売買は取引時に書面などによる証拠を確保しておかないと、受け渡し後のトラブル対処に時間がかかるデメリットがあります。悪質な購入者による被害は、最終的には陸運局等の役所の窓口に相談すれば強制抹消に応じてもらえます

どうしても購入者との直接交渉で解決できそうにない場合は、早めに陸運局や市区町村の役場に相談しましょう。強制抹消など、バイクの名義上のトラブル解決だけではなく、名義変更してもらえないことによって生じた損害賠償をしたい場合は、民事訴訟を起こす流れになります。

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