バイクの名義変更が難しいケースとその対処法

バイクの名義変更は、基本的に旧所有者の委任状や登録書類と、新所有者の住民票や認印があれば簡単にできます。

ただし、個人から法人や結婚、相続、盗難など、イレギュラーな状況で名義変更や抹消登録をするケースもあります。ケース別にバイクの難しい名義変更の対処法をまとめました。

*一般的な名義変更の方法は「バイクの名義変更は簡単。名義変更の方法を紹介 」で解説しています。

未成年者が名義変更する場合

陸運局や市区町村の役場が行う手続きで、未成年者の取引を制限する法的規則はありません。
個人売買など、直接本人や売却者・購入者が名義変更する時は、未成年者も成人と同様の流れになります。

ただし、販売店でバイクを購入する場合や、買取専門店にバイクを売る時は、業者独自のルールで親権者の同意書の提出を求められる場合があります。

遠方・県外の方にバイクを名義変更する場合

バイクの名義変更は、新所有者の居住地域を管轄している陸運支局か、市区町村の役場で手続きを行います。遠方や県外はもちろん、同じ県内でも陸運支局や市区町村の役場の管轄が変わると、ナンバープレートも変更になります。

新しいナンバーの交付の都合で、新所有者の管轄の陸運支局や市区町村の役場で手続きをするルールになっています。ただし、原付バイクの場合は、一度旧所有者のナンバーが付いている市区町村の役場で廃車手続き(ナンバーの返納)をしてから、新所有者の名義に登録しなければいけません。

遠方からナンバーが付いている原付バイクの名義変更をする場合は、郵送で旧所有者の市区町村の役場で廃車手続きを行えます。遠方・県外の方に売却や譲渡で名義変更するときは、トラブル防止のために事前に廃車・抹消登録してから車体の受け渡しをすると安心です。

125cc超えのバイクの抹消のみを行う場合は、全国どこの陸運支局でも手続きできます。

結婚して姓が変わったバイクの名義変更

女性を中心に、結婚を理由にバイク購入時から姓が変わる場合があります。姓が変わったバイクの名義を変える時は、売却に必要な書類に、旧姓で署名・捺印すれば問題ありません。

バイクは車と違って、売却時に印鑑証明や住民票などの添付が必要ないので、登録書類の名義の通りの名前で署名・捺印するだけで、手軽に名義変更できます。

ただし、ローン購入で所有権留保が付いている場合は、所有権留保解除書類の請求時に戸籍謄本(結婚した直後で戸籍の処理が終わっていない場合は、婚姻届受理証明書)の提出を求められる場合があります。

バイクの名義を個人から法人に変える

バイクの名義を個人から法人に変える場合、法人の代表者と個人名義の人が同じでも、通常の名義変更と同じ流れで手続きする必要があります。

まずは個人のバイクを売る場合と同様に、委任状や譲渡証など必要書類に旧所有者の署名・捺印をします。バイクの名義変更は、売却者(旧所有者)は署名捺印のみで、車の売却やバイクの購入のように印鑑証明や住民票は必要ありません。

名義変更するバイクの新所有者は、個人の場合は認印と住民票の提出で対応します。法人に名義を変える場合は、法人の実印と印鑑証明が必要になります。

使用者が同じ人(会社経営者)が、税制面や会社の資産の都合でバイクを個人から法人名義にする場合、使用者が同じでも任意保険の等級を個人から法人に引き継げないデメリットがあります。

バイクの名義を会社の経費で落とすには、法人名義にしなくても個人(従業員)から貸与された形で経費計上できる場合があります。税理士と相談しながら任意保険料なども考慮して法人名義への変更を検討しましょう。

車検切れバイクの名義変更

車検が切れているバイクを名義変更する方法は以下の3パターンがあります。

  1. 名義変更と車検を同時に行う
  2. 抹消登録(ナンバー返納)をして書類と車両を譲渡する
  3. 車検が切れたまま書類のみで名義変更手続きを行う

名義変更したバイクをすぐに乗りたい場合は、車検を取り直す必要があり、陸運局へ足を運ぶ手間を1回に抑えるために名義変更と車検の取り直しを同時に行うことが一般的です。

名義変更もしくは譲渡だけ先にして、バイクを受け取ってからゆっくり整備をしていきたい場合は、車検を通さずに名義だけの変更もできます。
ただし、ナンバーが付いていると自動車税が発生するので、すぐに乗る予定がない場合は抹消登録した状態で譲渡することをおすすめします。
名義変更と車検を同時に行わない場合は、車検を取り直す際に再度バイクを陸運局へ持ち込む手間が発生するので注意しましょう。

車検が切れているバイクは公道を走ることができないので、バイクの受け渡しや陸運局への持ち込み時は車に積載して運ぶか、市区町村の役場で仮ナンバーを借りる必要があります。

車検が残っているバイクを、車検残を引き継いで名義変更するには

車検が残っているバイクは、通常の流れで名義変更手続きを行えば、車検の残存期間も新所有者に引き継がれます。ただし、一度抹消登録をしたり、名義変更時に改造申請を同時に行うと、車検の残存期間がなくなり、車検切れのバイクと同じ扱いになります。

車検が数日でも残っていれば、バイクの売却時の受け渡しや名義変更でバイクを公道を走らせて移動することができます。ただし、旧所有者の名義のままバイクを譲渡すると、名義変更をしてもらえないトラブルに発展するリスクが発生します。

名義変更が終わるまで3万円程度の預かり金を受領したり、名義変更を速やかに行う旨の覚え書と購入者の免許証のコピーを手元に残しておくと安心です。

所有者が死亡したバイクの相続による名義変更

所有者の死亡によってバイクの名義変更や処分(廃車)をする場合は、名義変更手続きだけではなく、相続の問題も出てきます。所有者が死亡した場合バイクは、法定相続人全員の遺産分割協議書を作成して、バイクをだれが相続するのか証明する書類を持って名義変更や廃車(抹消)手続きをしないといけません。

しかし、バイクの売却や廃車(抹消)登録は、認印のみあれば手続き可能で、遺産分割協議書がなくても売却や処分ができてしまいます。もし、バイクを相続として誰も乗る予定がなければ、先に買取業者に売却して、売却時の契約書を保管して金銭として、相続の分割割合が決まってから財産分与する方法もあります。

本来は相続の話し合いがまとまっていない中で、バイクを先に売却してしまうのは、正しい方法ではありません。しかし、誰もバイクに乗らず、遺産相続の協議が終わるまでバイクをメンテナンスせず放置すると、サビが発生したり、エンジンがからなくなってバイクの価値が下がってしまう場合もあります。

所有者の死亡によってバイクを売却や処分する場合は、1人の相続人の独断で決めるのではなく、相続人全員と話し合いを行い、行政書士や司法書士など法律の専門家と相談の上、バイクの売却・処分を行いましょう。

盗難にあったバイクの手続き

バイクの盗難被害に遭ったら、速やかに警察に盗難届を出しましょう。盗難届を出した際の盗難受理番号と届出をした警察署の情報が、バイクの抹消手続きで必要になるので控えておきましょう。

盗難届を出したら、続いて陸運局(原付の場合は市区町村の役場)でバイクの抹消(廃車)手続きを行います。盗難されたバイクは、理由書に盗難された旨と盗難受理番号等を記入するなど、通常のバイクの抹消(廃車)手続きと方法が異なります。

バイクの車両情報が分かるものと、警察の盗難受理番号、盗難届を出した警察署情報の控え、名義人の免許証など本人確認書類、認印があれば、陸運局や市区町村の役場で抹消(廃車)手続きできます。

盗難を機に、すぐに新しいバイクを購入する場合は、販売店に交渉すれば無料もしくは格安で抹消(廃車)手続きを代行してもらえる場合もあります。盗難されたバイクが戻ってきた場合は、抹消(廃車)した際の書類があれば、再度登録(ナンバーを再発行)する事も可能です。

名義変更の所要時間(即日中にできるのか?)

名義変更手続きは必要書類が揃っていれば所要時間は5分〜1時間ほどです。ただし、陸運局が混雑していると受付まで30分〜1時間ほどかかります。特に、月末・年度末・年末は業者の登録業務が増えるため、陸運局は混雑する傾向が強いです。

原付の場合は市区町村の役場が窓口になりますが、行列ができるほど混雑する事は少ないです。

車検が切れているバイクは、名義変更と同時に車検の検査ラインを通す必要があるので、通常の名義変更よりも時間がかかります。

名義変更はどの状況でも、書類に不備がなければ即日対応可能です。(混雑していても半日あれば終わります)ただし、書類の不備や車検の検査に不適合になると即日中に対応できない場合があります。名義変更する際は、手続きを行う前に必要書類の確認やバイクの整備など準備をしっかり行っておきましょう。

引越しをして住所が違うバイクの名義変更

バイクの名義変更は、旧所有者の委任状・譲渡証など必要書類の署名と認印の捺印があれば、印鑑証明や住民票は必要ありません。引越しをして住所が変わっている場合でも、名義変更の必要書類に旧住所を記載すれば名義変更可能です。

しかし、正規の方法では現在の住所を記載して、住民票か戸籍謄本の附表を添付して、住所変更している履歴を証明して名義変更します。

バイクの購入時の住所から1回のみ住所が変わっている場合は、住民票を取得すると前住所の記載があり、現住所との繋がりが証明されます。2回以上住所が変わっている場合は、住民票では前住所までしか記載されないため、戸籍謄本の附表を取得して過去の転居履歴を証明します。

現金購入しているバイクは、旧住所の記載で対応する方が多く、販売店や買取業者も住民票や戸籍謄本の附表の提出を求めず、旧住所で対応している所が多いです。

ローン購入で、なおかつ所有権留保(所有者名義が信販会社や販売店)がある場合は、所有権解除書類の発行のために、引越しをして住所が違うと住民票や戸籍謄本の附表の提出が必要になる場合があります。

バイクを売る時の名義変更

バイクを売る時の名義変更は、バイクをどこで売るかによって対処が変わります。販売店や買取業者などバイク業者に売った場合、名義変更手続きは全て業者が代行してくれます。バイク業者は確実に名義変更してくれるので信頼できます。

特に大手買取専門店は名義変更までのスピード対応を売りにしている所が多いです。バイクを売る時の名義変更で注意が必要なのが個人売買です。特にヤフオクやフリマアプリでのバイクの個人売買トラブルが増えています。

個人売買は主に買い手が名義変更手続きを行います。名義変更を確実に行うように、名義変更完了まで3万円ほどの預かり金や免許証コピー、覚え書をもらう方法が効果的です。しかし、買い手も不慣れな個人なので、スムーズに名義変更してもらえないトラブル事例も多数あります。

バイクを売る前にナンバーを返納(抹消・廃車登録)すれば名義変更のトラブルリスクを回避できますが、バイクが公道を走れなくなると、個人の買い手がつきにくくなるデメリットがあります。

バイクを売る方法は、業者と個人売買で名義変更の手間やリスクにも違いがある事を覚えておきましょう。

オークションで取引したバイクの名義変更

バイクのオークションは業者用オークションと、ヤフオクなどのネットオークションの2種類があります。

ヤフオクなどのネットオークションは個人売買の一種で名義変更は前述で紹介しているように、買い手が行い、トラブル防止策を講じる事が求められます。

業者用オークションで購入したバイクは、利用したオークション運営会社の規約によりますが、落札日から1〜2週間以内に名義変更する期限が定められています。名義変更は落札者が行い、期限内に名義変更を行わないと落札したオークション会員に対して利用停止や退会処分が科せられます。

業者用オークションは、個人は通常できないバイク業者専用の会員制オークションです。個人が業者用オークションでバイクを売買するには、オークション代行業者を利用しないといけません。

業者用オークション代行でバイクを購入した場合は、名義変更をめぐるトラブルで会員である代行業者のペナルティがいかないように、必ず代行業者が手数料を徴収して名義変更も代行しています。業者用オークション代行でバイクを売却した際は、買い手がプロの業者なので、期限内に確実な名義変更を期待できます。

名義変更されたか確認したい場合

個人売買を巡るトラブルなどで、購入者がその後正しく名義変更されたか不安な時は、次の方法で確認できます。

・125cc以下の原付バイク → 旧所有者(売却者)が登録していたナンバーの役所の窓口で、登録番号(ナンバーの番号)を伝えて問い合わせをする
・125cc超えのバイク → 陸運局で現在登録証明書の請求をする(登録番号、車体番号、本人確認書類、300円〜1,000円の印紙代が必要)

どちらの方法もバイクの登録番号と車体番号の控えを取っておくと請求がスムーズです。ただし、バイクの個人売買はこうした公的手続きで名義変更の確認を取る人が少ないです。

買い手(新所有者)に名義変更を依頼した場合は、名義変更完了後に使用者・所有者が変更された登録書類(車検証や標識交付証明書など)をFAX、郵送、画像添付メールなどで送ってもらうように約束をします。

できれば、名義変更完了するまで3万円ほどの預かり金を受け取って、名義変更完了後の登録書類の提出で預かり金を返金するルールを付けておくと、名義変更を巡るトラブルリスクが緩和できます。

買い手と連絡が取れなくなった場合は、市役所への問い合わせや現在登録証明書の請求で確認しましょう。

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