中上貴晶の経歴、特徴、エピソード
2018年シーズン注目のルーキーは、4年ぶりに日本人のMoto-GP参戦が決まった中上貴晶です。
Moto-GP昇格を決めた際に当サイトでは特集を組みました。
中上貴晶選手が2018年 MOTO-GPへ昇格
ここでは、中上貴晶の特徴、ライディングスタイル、エピソードなどを詳しく紹介しています。
氏名 | 中上貴晶(なかがみ たかあき) |
---|---|
所属チーム | LCR HONDA IDEMITSU |
生年月日 | 1992年2月9日(25歳) |
出身地 | 日本・千葉県千葉市 |
主な実績 | Moto-2最高年間ランキング6位、Moto-2にて優勝レース2回、全日本ロードレース選手権チャンピオン2回(GP125ccクラス、J-GP2クラス各1回) |
※2018年1月5日現在
ライディングスタイル
ブレーキングよりも、アクセルを開けてバイクをスピードに乗せた走り方を得意にしています。現役Moto-GPライダーの中では珍しいスタイルで、かつてワールドチャンピオンに輝いたケーシー・ストーナーの乗り方に似ています。
Moto-2クラスより圧倒的にパワーのあるMoto-GPマシンに乗り換えることで、Moto-2以上の結果を出せる可能性もあります。Moto-GPのシートを勝ち取ったのも、オフシーズンに行われたMoto-GPマシンを使ってのテストで、好タイムを出したことが決め手になっています。
マシンをスピードに乗せて走ることが得意なので、テクニカルコースより、高速コースを得意にしています。マシンもヤマハのYZF-M1より、ホンダのRC-213Vの方が相性は良いでしょう。
また、単独走行を得意にしていて、予選でタイムを出すときは単独で走っているケースが多いです。一般的には他のライダーの後ろを走った方がブレーキングポイントや見極めやすくスリップストリームも使えるため、楽にタイムを出せると言われています。
中上貴晶選手は、全日本選手権時代でも先行逃げ切りで走ることがよくあり、Moto-2時代も前が開けてから、先を走るライダーとの距離を詰めて追い上げていくレースが多数ありました。
単独走行を得意にしているのは、コースのレコードラインと最適なブレーキングポイントを見極めるのが得意な証拠で、センスの高さはトップライダーと比べてもヒケを取りません。
優しい性格
Moto-GPライダーをはじめ、世界で活躍するプロのライダーは、負けず嫌いで気性の荒い性格の方が多いです。ライダーが、メカニックや他のライダーを罵倒することも珍しくない世界ですが、中上貴晶はどんなことがあっても怒らないことで有名です。
特にMoto-2時代の天敵だったシモーネ・コルシからは、2016-2017にかけて3回も追突されています。危険なプッシュによる追突もあり、普通のライダーなら相手のピットに怒鳴り込んでもいいところでも一切怒りませんでした。
世界で戦うトップライダーという点では、温厚な性格はネガティブに捉えられることもありますが、日本人らしい性格でもあり、フェアでクリーンな戦い方が彼の魅力でもあります。
富沢祥也との関係
富沢祥也は中上の1歳年下にあたり、ミニバイクレース時代からライバルでもあり親友でした。富沢祥也はMoto-2に移行した年の開幕戦で優勝するなど、事故がなければ早くしてMoto-GPに昇格していた可能性もあった逸材です。
そんな富沢でもポケバイ、ミニバイク、全日本選手権ではチャンピオン獲得歴が少なかったのは中上貴晶がいたからです。中上貴晶は数々の国内レースを制し、優勝やチャンピオンの最年少記録を多数塗り替えてきました。素材的には歴代の日本人ライダーの中でもトップクラスです。
Moto-GPの舞台では、親友でもあった富沢祥也の想いを乗せて走ってもらいたいです。Moto-GPに昇格して覚醒する可能性もあるだけの才能を持っている未完の大器で、平成生まれの日本人ライダーの中では、下積み時代の実績はトップクラスです。
これまでの経歴
4歳からポケバイに乗り始めて6歳でレースデビューして優勝を飾ると、1998年-2000年にかけて全日本ポケバイ選手権で3年連続チャンピオンになります。9歳からミニバイクレースを行い、デビューイヤーで全国大会を史上最年少優勝をして、そこからミニバイクでも3年連続全国チャンピオンを獲得します。
秋ヶ瀬モトチャンプ杯シリーズチャンピオン、桶川関東ロード選手権シリーズチャンピオンなど関東でレースを楽しむアマチュアでは馴染みの深いレースでも結果を残しています。2004年には筑波・もてぎ・菅生選手権シリーズ 8戦8勝、MFJ全日本ロードレース選手権GP-monoクラス 3戦3勝と無敵の強さを見せつけて、2005年より全日本ロードレース選手権GP125ccクラスに参戦します。
2006年は全日本ロードレース選手権GP125クラスにフル参戦して、6戦6勝の完全優勝を史上最年少で記録します。またこの当時には「MotoGPアカデミー」よりスペイン選手権へ参加し年間ランキング12位という実績を残しています。
世界を代表するライダーを狙える逸材として注目をあつめ、2008年からWGP125ccクラスにフル参戦をしますが、そこで世界の壁にあたり2年間のフル参戦で目立った成績を残せずにシートを失ってしまいます。
日本に戻ってからは、全日本選手権ST600に参戦し、1年目は負傷による欠場で年間8位でしたが、参戦したレースは全てポールトゥウィンの圧倒的な強さを見せつけます。復帰2年目の2011年は5勝してチャンピオンを獲得します。さらにMoto-2クラスに負傷したライダーの代役として出場しスポット参戦をします。
Moto-2ではWUP中に転倒して決勝レースは欠場しますが、Moto-2マシンでのパフォーマンスが高く、翌年に世界選手権への復帰を果たします。日本人ライダーでは、一度世界選手権のシートを失ってから復活したのは初めてのケースでした。
Moto-2時代
もともと、スピードに乗せてマシンを走らせることを得意にしていたライダーなので、排気量アップしたことで彼の良さが生きます。2012年Moto-2第2戦スペインGPでは予選で2位、決勝5位とブランクを感じさせない走りを披露し、第9戦イタリアGPでは一時トップを走ります。
しかし、シーズンを通して浮き沈みの波が大きく、年間ランキングは15位(ルーキーでは2番手)となります。
2013年には開幕戦で自身初の3位表彰台を獲得し、中盤には4戦連続2位表彰台を獲得します。この年より中上はMoto-2クラスにおいてトップライダーの1人として世界からも認識されるようになります。初優勝も秒読みと言われていましたが、決め手に欠ける部分もあり、優勝レースはなく、この年の年間ランキングは8位でした。
2014年はMoto-2で2年在籍したイタルトランスからの継続参戦が決まっていましたが、日本人のMoto-GPライダーを送り込むことを目的にした、岡田忠之が率いるイデミツ・ホンダ・チーム・アジアへ移籍します。開幕戦で2位に入る走りを見せますが、レース後にエアクリーナーの規定違反が発覚して失格。その後はチームとマシンに不具合がありワーストの22位に沈んでしまいます。
2015年もチームとともにスランプが続きますが、13戦目のサンマリノGPで3位表彰台を獲得し、調子を取り戻して年間ランキング8位と復活を遂げます。
2016年は序盤で苦しむものの、中盤から調子を取り戻しオランダGPで待望のMoto-2クラス初優勝を飾ります。合計で4回の表彰台も獲得して自己最高位の6位を獲得。シーズンオフには初優勝したご褒美で、Moto-GPマシンによるテストに参加して、ペドロサのタイムを上回ったことで、一気にMoto-GP昇格の噂が広がるようになります。
2017年シーズンはオフシーズンのテストで好タイムを連発したこともあり、Moto-2クラスの優勝候補として開幕しますが、成績の浮き沈みが激しくポイントを積み重ねることができず、年間ランキング7位で終わります。シーズン途中にMoto-GPマシンでのテスト内容を評価されて、2018年よりMoto-GP昇格を決めます。
Moto-2でわずか1勝しかできなかったライダーがMoto-GP昇格するのは間違っているという批判の声もありましたが、昇格を決めた後のイギリスGPでキャリア2回目の優勝を挙げて世間の逆風を吹き飛ばします。世界選手権で日本人がイギリスのシルバーストンサーキットで優勝するのは初めてのことで、欧州人の得意なコースでの優勝によって、素質の高さを見せつける結果でもありました。
不運なレースも多く、年間ランキング7位で自己最高位更新はなりませんでしたが、2018年シーズンでの活躍を期待されています。WGP125ccクラスでは結果を出せなかったけど、Moto-2でトップライダーの仲間入りにした経緯もあるので、Moto-GPクラス昇格は大きな転機になる可能性もあります。
WGP・MOTO-GPでの年間成績
シーズン | クラス | チーム | マシン | 優勝回数 | ランキング |
---|---|---|---|---|---|
2007年 | WGP125cc | レッドブル MotoGP アカデミー | ホンダ | 0回 | ー |
2008年 | WGP125cc | I.C. チーム | アプリリア | 0回 | 24位 |
2009年 | WGP125cc | オンガッタ チーム I.S.P.A. | アプリリア | 0回 | 16位 |
2012年 | Moto-2 | イタルトランス レーシング チーム | カレックス・Moto2 | 0回 | 15位 |
2013年 | Moto-2 | イタルトランス レーシング チーム | カレックス・Moto2 | 0回 | 8位 |
2014年 | Moto-2 | イデミツ ホンダ チーム アジア | カレックス・Moto2 | 0回 | 22位 |
2015年 | Moto-2 | イデミツ ホンダ チーム アジア | カレックス・Moto2 | 0回 | 8位 |
2016年 | Moto-2 | イデミツ ホンダ チーム アジア | カレックス・Moto2 | 1回 | 6位 |
2017年 | Moto-2 | イデミツ ホンダ チーム アジア | カレックス・Moto2 | 1回 | 7位 |
おわりに
中上貴晶は2018年のルーキーということもありますが、世界チャンピオンに輝いたライダーに比べると下積み時代の実績は見劣りします。未だに日本人だからMoto-GPに昇格できたといった中傷的な意見もありますが、2018年シーズンはMoto-GPの舞台で結果を出して、アンチを黙らせてもらいたいです。
サテライトチームからの参戦なので、世界的に見ると注目度の高いルーキーではありませんが、素質は高いので展開次第では表彰台のチャンスも十分あります。結果はシーズンが始まってみないとどうなるか分かりませんが、日本人のいるMoto-GPを見れるのはファンとして嬉しいことで見所も増えます。
Moto-GPの日本GP来場者は年々増加していて、中上選手は日本GPまでには活躍してもらって、国内の2輪モータースポーツ人気拡大の追い風になる存在になってもらいたいです。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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