アンドレア・イアンノーネの経歴、特徴、エピソード
アンドレア・イアンノーネは、Moto-GPライダーの中でも危険なライディングで悪役のレッテルを貼られてしまい、2017年はドゥカティを離れてスズキへ移籍しました。情熱的なイタリア人らしく、熱くなりすぎてしまうのがネックで、実力があるのに大きな活躍をできなかった代表格でもあります。
スズキに移籍した2017年シーズンは最高4位と表彰台獲得もなく、このまま行くと数年以内にMoto-GPのシートを失う局面にまで追い込まれてしまいました。過去の危険走行は自業自得の部分もありますが、危険なシーンを何度もテレビ放映されてしまう不運な部分もあります。
Moto-GPの世界においても危険なライディングは厳しく罰せられます。現在活躍しているライダーも危険走行でペナルティを受けたライダーは何名かいますが、他のライダーはペナルティを経て走り方を改善しているのに対して、イアンノーネの場合は同じようなクラッシュを繰り返してしまったことが転機になりました。
どちらも映像が残って、巻き込んだ転倒相手の内容が最悪だったことも、ドゥカティを去る決め手になりました。
※2018年1月5日現在
氏名 | アンドレア・イアンノーネ(Andrea Iannone) |
---|---|
所属チーム | チームスズキ・エクスター |
生年月日 | 1989年8月9日(28歳) |
出身地 | イタリア・ヴァスト |
主な実績 | Moto-2年間ランキング3年連続3位(2010-2012)、Moto-GP年間ランキング最高5位(2015年) |
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問題視されたレース
大きな問題になったのは、2016年シーズンに第7戦カタルニアGPで、チャンピオン争いをしていたロレンソを巻き込んだクラッシュと、チームメイトのドビツィオーゾとの数回にわたる接触転倒です。
特に第5戦フランスGPでは、2位、3位を走るドゥカティ勢の中で、イアンノーネがドビツィオーゾを巻き込んでクラッシュして、ともにリタイヤする最悪の結果になり、チーム内で大きな問題になりました。
若手時代の2009年には、ファクトリーマシンを手に入れて125ccクラスのポイントリーダーを走っていた中で、第13戦サンマリノGPではファイナルラップにトップを走行中、ポル・エスパルガロを巻き込んで転倒するクラッシュを起こします。
転倒直後にエスパルガロに頭突きを食らわせて罰金ペナルティを受け、さらにその後のレースでも転倒が続いてランキング7位に後退するなど、気性の荒いライダーというイメージが強かったです。Moto-2昇格後も黄旗無視やフライングなどペナルティを受けて、ランキングを下げた経緯もありました。
過去の経緯もあって2016年にロレンソを相手にしたクラッシュは、当時年間チャンピオン争いをしていた相手をクラッシュさせ、危険なクラッシュが前々走に続くシーズン2回目のことだった点もまずかったです。いずれのレースも、巻き込んだ相手が重要なポジションにいた点も、大きな問題に発展した要因です。
クラッシュの被害にあったロレンソも、昔は危険なライディングで、次走出場停止処分という重いペナルティを受けています。
ロレンソはイアンノーネとのクラッシュ後に、「自分も昔は同じようなことをやって重いペナルティを受けて走り方を変えた。しかし、イアンノーネはシーズン2回も同じことを繰り返し、さらにペナルティは次走のグリッドを最後尾にするもので、ロレンソが過去受けたペナルティより軽い内容だった。」と、不満を口にしています。
ロレンソのコメントは大きな反響を呼んで、メディアやチーム内から、軽かったペナルティ以上に叩かれてしまいます。結果的に、2017年には発展する期待の大きかったドゥカティのライダーを降りて、空いたシートにクラッシュ相手のロレンソが入る事態になってしまいました。
イアンノーネの経歴
ミニバイクレースでの活躍を経てアブルッツォ・ジュニア・チームからロードレースに参戦します。アマチュア時代の目立ったチャンピオン歴はないですが、国内の選手権シリーズ、ヨーロッパ選手権で安定した成績を残し、2005年より同チームからWGP125ccクラスにフル参戦をします。
最初の3年はケガによる影響もあって伸び悩みますが、4年目にウェットレースの中で初優勝を挙げるなどシーズンランキング10位と躍進します。4年目の2009年よりワークスマシンを手に入れて覚醒し、シーズン序盤ではポイントリーダーになりますが、前述でも紹介したクラッシュをキッカケに転倒が相次ぎ、年間ランキング7位で終えることになります。
それでも2009年シーズンの中で完走したレースでの強さとタイムを評価され、2010年には新しくスタートしたMoto-2クラスに昇格します。Moto-2では調子の波はあるものの、長いスパンで見ると安定した成績を残し、Moto-2で3年連続年間ランキング3位に入ります。
2013年より、ドゥカティのサテライトチームであるプラマック・レーシングよりMoto-GPに昇格します。当時のドゥカティは低迷していましたが、ハイパワーマシンの性格はイアンノーネのライディングスタイルに合うことで高い期待を寄せられます。
1年目は 5名いたドゥカティサテライトチームライダーの中で最上位の12位、2年目の2014年は10位とまずまずの成績を残します。
3年目の2015年にはドゥカティのファクトリーチームに昇格して、第14戦まで全て8位以内に入る活躍を見せ、第6戦ではあと一歩で優勝の2位表彰台を獲得します。シーズン終盤に3回のリタイヤがあるものの、ドゥカティ勢最高の5位を獲得します。
2016年はエースライダーとして活躍を期待されましたが、度重なるクラッシュに苦しみシーズン9位。オーストリアGPでは自身初の最高峰クラス優勝を遂げますが、クラッシュの内容が悪く周囲からのバッシングもあってチームを去ることになります。
2017年はスズキのファクトリーチームへ移籍しますが、最高順位4位の年間ランキング13位と苦しみます。シーズン終盤にはマシンが仕上がりチームの成績が上向いてきたため、2018年はチームとともに巻き返しを期待されています。
WGP・MOTO-GPでの年間成績
シーズン | クラス | チーム | マシン | 優勝回数 | ランキング |
---|---|---|---|---|---|
2005年 | WGP125cc | アブルッツォ・ジュニア・チーム | アプリリア | 0回 | 20位 |
2006年 | WGP125cc | カンペテーラ・レーシング | アプリリア | 0回 | 22位 |
2007年 | WGP125cc | WTRチーム | アプリリア | 0回 | 20位 |
2008年 | WGP125cc | I.C. チーム | アプリリア | 1回 | 10位 |
2009年 | WGP125cc | オンガッタ・チーム I.S.P.A | アプリリア・RSA125 | 3回 | 7位 |
2010年 | Moto-2 | スピードアップ・チーム | スピードアップ | 1回 | 3位 |
2011年 | Moto-2 | スピードマスター・チーム | スッター | 3回 | 3位 |
2012年 | Moto-2 | スピードアップ・チーム | スピードアップ | 1回 | 3位 |
2013年 | Moto-GP | エナジー T.I. プラマック・レーシング | ドゥカティ・デスモセディチ GP13 | 0回 | 12位 |
2014年 | Moto-GP | プラマック・レーシング | ドゥカティ・デスモセディチ GP14 | 0回 | 10位 |
2015年 | Moto-GP | ドゥカティ・チーム | ドゥカティ・デスモセディチ GP15 | 0回 | 5位 |
2016年 | Moto-GP | ドゥカティ・チーム | ドゥカティ・デスモセディチ GP16 | 1回 | 9位 |
2017年 | Moto-GP | チームスズキ・エクスター | スズキ・GSX-RR | 0回 | 13位 |
おわりに
Moto-GPで生き残るにはアグレッシブなプッシュをしないと勝てない面もありますが、イアンノーネのクラッシュ歴を見ると、危険行為はライダー生命を大きく変えてしまうことがよく分かります。
2015年の活躍と2017年のドゥカティ・チームの躍進を見ると、冷静なライディングテクニックさえ身につけていれば、今頃はチャンピオン争いをできるまで成長していた可能性も感じます。
2018年シーズンのスズキは明るい兆しもありますし、年齢的にもまだまだ巻き返せるチャンスがあるので、復活劇を遂げて、「イアンノーネも昔はひどかったけど・・・」と言われるくらいの活躍を見せてほしいです。
2017年シーズンはチームメイトのリンスを上回る成績を残しましたが、2016年にスズキで活躍したビニャーレスの活躍と比較すると見劣りします。チーム、ライダーともに今後の成長に期待です。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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