ホンダのバイクレース実績、参戦状況、レーシングチームの特徴
ホンダはMoto-GPをはじめ、オフロードなど多彩な分野のバイクレースで活躍しています。
Moto-GP2017年シーズンもライダー、マニファクチャラー(メーカー)、チームの3冠を達成して、世界一速いバイクメーカーと呼べる存在です。
ホンダのバイクレース参戦状況や過去の実績をまとめました。
このページの目次です
ホンダのレーシングチーム
ホンダはバイクレースを専門にした、株式会社ホンダ・レーシング(通称HRC)の子会社を用意して、各種バイクレースにてマシン供給やワークスチームとしての参戦、部品や競技用車両の販売を行っています。
HRCのレース参戦状況と2017年の成績は以下の通りです。
Moto-GP | レプソルホンダとしてMoto-GPクラスに参戦(2017年チャンピオン)。 Moto-2クラスにエンジン供給。 Moto3クラスの一部チームにワークススペック車両を供給(TOP5をホンダ車が独占)。 |
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スーパーバイク世界選手権(SBK) | プライベートチームへのマシン提供・サポートのみ。 2002年までワークスチームを送っていたが、タイヤのワンメイクをめぐり主催者側と対立して撤退。 2017年ライダーランキング最高位14位、マニファクチャラーランキング7位(最下位)。 |
全日本ロードレース選手権(JRR) | JSB1000クラスに参戦。 MuSASHi RT ハルク・プロ(HRCサポート)より高橋巧選手が2017年チャンピオン獲得。 |
鈴鹿8時間耐久ロードレース | HRCワークスチームの参戦は休止中。 2017年の上位入賞チームはF.C.C.TSR Honda3位、MuSASHi RT HARC-PRO. Honda4位、Honda Dream Racing6位ほか。 |
モトクロス世界選手権(WMX) | Team HRCとして参戦中。 2017年ティム・ガイザー選手MXGP年間ランキング5位、2016年総合優勝。 |
トライアル世界選手権(WTC) | レプソル・モンテッサ・HRCとして参戦中。 2017年トニー・ボウ(11連覇)。 |
全日本モトクロス選手権(JMX) | Team HRCとして参戦中。 2017年IA1山本鯨選手チャンピオン。 |
クロスカントリーラリー世界選手権 | Monster Energy Honda Teamとして参戦。 2017年ポイントランキング2位。 |
Moto-GP(ロードレース世界選手権)で圧倒的実績
世界最高峰のロードレースMoto-GP(旧WGP500)にて、ホンダは2017年チャンピオンをはじめ、圧倒的な実績を残しています。ホンダのマシンの乗ったライダーが年間チャンピオンになった回数は18回で、世界のバイクメーカーの中でMVアグスタと並んで最多です。
MVアグスタは現在Moto-GPに参戦していないので、年間チャンピオン回数単独1位になるのも時間の問題です。2018年シーズンも、レプソル・ホンダから参戦するマルク・マルケス選手が優勝候補の最右翼です。
WGP初優勝は遅かった
ホンダは古くからバイクレース参戦に積極的で、ロードレース世界選手権参戦は1959年から参戦していますが、最初から最強チームだったワケではありません。ロードレース世界選手権は1949年から始まった歴史があり、当初はジレラ、MVアグスタをはじめ、ヨーロッパメーカーが強かったです。
日本メーカーが最初にチャンピオンになったのは、1975年のヤマハ(ライダーは ジャコモ・アゴスチーニ)で、そこから日本メーカーの黄金時代が始まります。しかし、70年代はヤマハ、スズキの方が強く、初めて500ccクラスで年間チャンピオンに輝いたのは、1983年(ライダーはフレディ・スペンサー)でした。
その後は、スペンサー、ガードナー、ドゥーハンなどの歴史に名を残した名ライダー達とともに、最高峰クラス優勝を続けます。ちなみにホンダがロードレース世界選手権で初めて年間チャンピオンを獲得したのは、1961年の250ccクラスと125ccクラスでした。ホンダは元々、小排気量クラスを得意にしていて、最高峰クラスで結果を残したのは、1980年代以降です。
2016年にホンダ初の世界選手権3冠を達成
ホンダは2016年シーズンに、以下の世界選手権でそれぞれ年間チャンピオンを獲得しました。
- ロードレース世界選手権(MotoGP)
- モトクロス世界選手権
- トライアル世界選手権
ロードレース世界選手権は、マルク・マルケスが3度目の年間チャンピオン。トライアル世界選手権はトニーボウが当時10連覇を達成しました。ホンダが苦戦していたモトクロス世界選手権では、当時19歳のティム・ガイザー(スロベニア)がルーキーながら世界チャンピオンに輝き、ホンダとしては22年ぶりのチャンピオンを獲得しました。
ファクトリーマシンを投入している3つの世界選手権でチャンピオンになることはホンダの長年の夢で、2016年に初めてバイクレースにおいて完璧な世界一のバイクメーカーになりました。2017年はMoto-GPとトライアル世界選手権で連覇を達成するも、モトクロス世界選手権(ティム・ガイザー)は年間5位の結果でした。
モトクロスの連覇は簡単なものではなかったですが、長い歴史の中でもホンダは歴代最高の充実期を迎えています。
アマチュア向けレースで抜群の人気
ホンダはレース向け車両の個人向け販売も得意にしています。現行モデルではNSF250R、NSF100をはじめ、グロムやCBR250Rのレースベース車を用意しています。80年代〜90年代のロードレースブームの時は、ほとんどのライダーが競技用車両のRS250/125に乗っていました。
市販車ベースで、NSR50/80/250をはじめ、VFRシリーズ、RVF400、CBRシリーズなど、多くのアマチュア向けレースで人気の高い車種が多数あります。あくまでも私の経験による感覚ですが、アマチュア向けレースで優勝しているマシンの7割前後はホンダ車です。
HRCという競技用向けブランドの用意もあり、ホンダ車に限定したワンメイクレースの開催も頻繁に行っています。モータースポーツを趣味にしている方は、ホンダ党の方が多く、Moto-GPをはじめ観戦を楽しむプロのレースでもホンダファンは多いです。
おわりに
バイクレースにおいて、ホンダは名実ともに世界最強メーカーです。最も勝つのが難しく、チャンピオンを獲得する名誉の高いMoto-GPでの実績をはじめ、モトクロス、トライアルでも圧倒的な実績を残しています。2000年以降のMoto-GPでは、9回の年間チャンピオンを獲得していて、2年に1回以上のペースでホンダが世界最速の称号を手に入れています。
ホンダばかりが勝つのはつまらないとアンチもいますが、2017年はドゥカティの躍進も際立って、日本メーカーの圧倒的有利な状況に黄色信号が出ています。日本メーカーを代表する存在のホンダには、これからも今の地位を維持できるように頑張ってもらいたいです。
バイクの販売台数も世界1位のメーカーのため、バイク開発にかけられる予算も他社より高い利点もあります。しかし、ここ数年の新車販売はヤマハの躍進が光る一方で、国内のバイク市場全体で販売不振が目立っています。モータースポーツでの活躍を市販車にフィードバックして、バイク販売市場の活性も期待しています。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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