BMWのバイクレース実績、参戦状況、レーシングチームの特徴

BMWは日本の4大メーカー、ドゥカティ、アプリリアなどと並ぶ、スポーツバイクを得意にしているメーカーです。S1000RRなど、クラストップレベルの性能を誇るピュアスポーツマシンや、Moto-GPマシンの性能に迫るHP4RACEを販売していますが、バイクレースには消極的なメーカーです

BMWのバイクレース参戦状況や過去の実績をまとめました。

BMWのレーシングチーム

Moto-GPに参戦しているメーカーは、モータースポーツを担当する関連子会社を持っていますが、BMWにはこうした子会社を持っていません。BMWの二輪車生産部門にあたるBMWモトラッドより、全日本ロードレース選手権のオフィシャルサポートチームを送り込んでいます。

BMWのバイクレース参戦状況と実績をまとめました。

Moto-GP ロードレース世界選手権を通じて参戦歴なし。
2018年1月現在、参戦に関する情報・噂もありません。
スーパーバイク世界選手権(SBK) Althea BMW Racingとして参戦。
2017年ライダーランキング9位(ジョルディ・トーレス)、マニュファクチャラー5位。
2018年より過去SBKレース優勝2回表彰台9回(2012-2014カワサキ)の実績を誇るローリス・バズの加入が決定。
2009-2012年はワークス体制でフル参戦、2013年はBMWイタリアが引き継ぐも1年で撤退。2014年よりプライベーターのサポートのみ。
ダカールラリー BMWモトラッドより毎年参戦。
2017年ランキング圏外。
過去6回の優勝実績。
全日本ロードレース選手権(JRR) Team Motorrad39をはじめ3チームをオフィシャルサポート、以下過去2年の最高位。
2017年17位(酒井 大作・Team Motorrad39)。
2016年10位(酒井 大作・Rosetta Motorrad39)。
鈴鹿8時間耐久ロードレース 3チームをオフィシャルサポート、以下2017年の成績。
Rosetta Motorrad 39 (酒井大作/ルーカス ペセック/ケニー フォーレイ)199LAP 7時間33分39秒リタイヤ。
SYNCEGE4413(武石伸也/宗和孝宏/中本郡)185LAP 総合44位(SSTクラス6位)。
Team Tras135HP(児玉勇太/ガリー ジョンソン/片平亮輔)209LAP 16位。

BMWがライバルに匹敵するピュアスポーツバイクを作れた理由

バイクメーカーは一般的に、Moto-GPやSBKなどバイクレース用にワークスマシンを開発した技術を、市販車にフィードバックしています。しかし、BMWはメーカーが総力をあげてバイクレースに参戦した実績はないにも関わらず、S1000RRやHP4をはじめ、クラストップレベルのピュアスポーツをラインナップに並べています。

市販車最速を決めるSBKでは、ワークスチームを送り込んで近年活躍しているカワサキやアプリリアよりも、一部のプライベーターが参戦する程度で結果を残していないBMWのS1000RRや、ドゥカティのパニガーレの方がよく売れていることも、各メーカーSBKに消極的な要因になっています

BMWがバイクレースに消極的な中で、ライバルに匹敵するピュアスポーツバイクを作れた理由は、四輪車の開発技術を活かしたことです。特に電子制御では、ライバルを凌ぐ信頼性があるとされています。

Moto-GPをはじめとしたレースでは、電子制御もレギュレーションによって規制されていますが、BMWはレースレギュレーションに捕らわれずに電子制御の開発に注力することができました。もともと四輪車でも高い電子制御技術を持っていたアドバンテージも活かして、全日本ロードレース選手権など敷居の低いレースでのデータ収集も行っていました。

電子制御の中でもDTC(BMWのトラクションコントロール)の評判がよく、ハイパワーエンジンの力を効率良くタイヤに伝えることを可能にしています。200馬力クラスで即レースにも参戦できるパワフルなエンジンを搭載しつつ、プロやアマチュアなど乗り手を選ばずに速く走れる電子制御技術が市場から評価されています。

デュアルバーパスバイクに強い

BMWはモータースポーツにおいて、唯一ダカール・ラリーのみ6回の優勝など高い実績を残しています。デュアルバーパスバイクはオンロードとオフロードの両方を走れるバイクのことで、ダカール・ラリーでのノウハウを市販車に活かしています。

BMWはモトクロスやトライアルなど、小排気量のオフロードバイクは作っていませんが、大型のデュアルバーパスバイクはGSシリーズを筆頭にBMWの得意分野です。古くからモータースポーツで培ったノウハウを取り入れた伝統に加えて近年を電子制御技術を加えてさらに熟成されています。

巨体な大型バイクでオフロードを走らせる技術は世界トップクラスだと評価できます

HP4RACEが見せた可能性

BMWは、2017年に750台限定生産、販売価格1,000万円のレース専用マシン「HP4RACE」を発売して大きな注目を集めました。最大の特徴はカーボンファイバー製モノコックフレームの採用で、ホイールにもカーボンファイバーを使用し、Moto-GPマシン並の軽量ボディーを実現しました。エンジンは999ccの水冷4気筒で215馬力を発生させます。

ブレンボがカスタムメイドで作ったMoto-GPマシンに匹敵する高性能ブレーキや、BMW得意分野の電子制御技術を余すことなく取り入れています。HP4RACEは一般の人ではなかなか買えない価格帯で、しかも公道走行不可ですが、エンジンチューニング、カーボンファイバーフレーム、足回り、電子制御はこれからのBMWの大衆車に応用されていくことになるでしょう。

これだけ凄いバイクを作れるのに、SBKをはじめ権威のあるロードレースに本格参戦しないのは、ある意味メーカーの強いポリシーを感じます。

おわりに

BMWは開発や運営コストを懸念して、バイクレースに消極的です。ただしバイクレースのことを否定しているわけではありません。2012年からはMoto-GPが市販車ベースのエンジンを優遇するCRTルールを採用して、BMWもエンジン提供を行いました。

しかしCRTルールによる参戦は普及せずに、2014年からは全メーカーが撤退する結果になり、そこから国際的なビッグレースからは遠のいています。BMWの求めるレースレギュレーションで行われるレースがあれば、再びバイクレースの舞台に戻ってくるでしょう。

BMWは四輪・二輪部門ともに長い歴史があり、自社で蓄積したデータや開発ノウハウは世界トップクラスです。バイクレースに参戦しなくても、ライバルメーカーと同等以上のバイクを作れるのは、BMWの会社規模と積み上げてきた実績・ノウハウがあるからです。

S1000RやHP4シリーズなど最新のピュアスポーツマシンの性能を見ると、バイクレースに消極的なのは意外に感じるかもしれないですが、レース以外の見えないところで独自の開発路線を貫いた努力があるのです。

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