バイクの主要部位の名称

バイクは、様々なパーツを組み上げて1台の車両になっています。
バイクのメンテナンスをする時や、カスタムの相談などをする時は、各部位について説明される事が多いので、それぞれの部位の名称を理解しておくとよいでしょう。

ここでは、バイクの主要部位の名称を紹介します。

バイク部位の名称

バイクの部位は、大きく「外装、エンジン、吸気系、排気系、駆動系、足回り、ブレーキ、発電・蓄電系、灯火類、ハンドルまわり、メーターまわり、その他」といったカテゴリーに分類できます。

バイクの部位のカテゴリーについて全くわからない場合は、バイクの構造から勉強するとよいでしょう。
(参考:バイクが走る仕組みやその構造)

それぞれ、細かいバイクの部位の名称と機能や特徴について解説します。

外装

外装は名前の通り、バイクの外観を覆うタンクやフェンダーなどの総称です。バイクの外装は車種によって、使用するパーツが異なります。

外装の部位を解説します。

タンク
タンクは燃料タンクが入っているパーツです。ミッションバイクの場合は、シートの前のニーグリップする(バイクに乗った時に膝で挟む)部分です。
スクーターは主にメットイン収納の下に隠されていて、外装でタンクの項目はありません。スクーターの場合は、タンクではなく燃料タンクと呼ばれています。ミッションバイクは燃料タンクが入っているかを問わず、シート前にある外装をタンクと呼びます。
タンクはガソリンを入れるため、外装の中では唯一鉄の部品を使用しています。塗装が剥がれた状態で放置すると、サビが発生するので注意しましょう。
カウル
カウルはバイクの外装にあたる部位の総称で、主にスタイリングと空気抵抗軽減のために取り付けています。レーサーレプリカ(スポーツバイク)のように、前側から車体下部全体がカウルに覆われているバイクを、フルカウルと呼びます。
カウルの中でも、ヘッドライト周辺の上部をアッパーカウル、マフラーなどを隠す下部をアンダーカウルと呼んでいます。シートから後ろは、シートカウルと呼びます。
また、ネイキッドバイクにヘッドライト周辺だけ付けるカウルを、ビキニカウル。旧車のカスタムでヘッドライト周辺に付ける大きなカウルをロケットカウルと呼びます。スクーターやネイキッドバイクの側面についているカウルはサイドカウルと呼びます。
スクリーン
スクリーンはバイクが走る事で生じる空気抵抗を逃がしつつ、視界を確保するヘッドライトやメーターまわりの上に設置するプラスチック製の外装です。
フロントアッパーカウルやビキニカウルに取り付けられる場合や、カウルなしでスクリーンだけ後付けするタイプ(主にスクーター)もあります。
カウルとスクリーンの定義の違いは、前方の視認性がある透明もしくは半透明の素材になっているかです。
フェンダー
フェンダーはタイヤが巻き上げる泥などをブロックするための外装です。
前輪の上についている外装をフロントフェンダー、リアカウルの後ろ側にナンバーの取付場所などと一緒に伸びている外装をリアフェンダーと呼びます。
シート
文字通り、運転者が座るシートです。

エンジン

エンジンはガソリンを爆発させてバイクの動力源の力を生み出すバイクの心臓部分です。
バイクのエンジンは車種によって気筒数や排気量、冷却方式が異なります。
(参考:バイクのエンジンの種類)

バイクのエンジンの部位の名称を紹介します。

エンジン
エンジン全体の部位をそのままエンジンと呼びます。
エンジンはキャブやインジェクションなどの吸気系部位とマフラーの排気系部位と連結していて、その周囲にはラジエターなどの冷却装置があります。
ピストン
エンジンの爆発の力を利用して上下にピストン運動をして、バイクが動く動力に変える部位
シリンダー
エンジンが爆発を起こす燃焼室の名称
クランクシャフト
エンジンの爆発でピストンが上下運動する力でクランクシャフトが高速回転してタイヤに動力を伝える起点になります。
エンジンの回転数はクランクシャフトの回転数の事を指しています。
プラグ
ガソリンに点火する火花を散らすための部品
ラジエター
エンジン系ではなく冷却装置の扱いになりますが、ラジエターはエンジンを冷やすための部位です。
バイクの冷却方式は水冷、油冷、空冷など様々なものがあり、主に水冷エンジンのバイクにラジエターがついています。
ラジエターには冷却ファンやクーラントと呼ばれる冷却水を使用してエンジンの温度が上がりすぎる事を防ぎます。
項目3
説明文3が入ります

吸気系

吸気系はエンジンの爆発をするときに必要な、空気を取り込む部位です。
吸気系はキャブレターとインジェクションの2種類があります。最近のバイクは排ガス規制の影響によって、全てインジェクションが採用されています。

キャブレター
キャブレターは機械式で吸気やガソリンと空気の混合を行う吸気装置です。
カスタムがしやすく、空気の吸い込みが大きいなどキャブ車ならではの乗り味が特徴で現在も中古のキャブレター車に強いこだわりを持っている方が多いです。
インジェクション
インジェクションは機械式だったキャブレーターとは違い、電子制御で吸気や混合を行う吸気装置です。
インジェクションは故障が少なくエンジンの始動不良が少なく安定性が高いです。
2000年代から排ガス規制によってキャブレターからインジェクションへの切り替えが各メーカーで行われました。
当初は乗り味がキャブレター車の方が面白いといった意見が多かったですが、近年はインジェクションの性能向上でキャブ車にこだわる人が少なくなりました。
コンピューター
インジェクションは電子制御で作動します。
電子制御のプログラミングが入った装置がコンピューターです。
コンピューターはインジェクションのための装置でキャブレター車にはついていません。
インジェクション車のカスタムや設定変更は、コンピューターをまるごと交換するフルコンや、ノーマルコンピューターにサブコンピューターを増設するサブコン、ノーマルコンピューターの内容を書き換える方法などがあります。

排気系

バイクの排気系は主にマフラーになります。
マフラーにも、細かく部位ごとの名称が決められています。

マフラー
名前の通り、エンジンとの接合部からサイレンサーの吹き出し口まで、マフラー全体の事を指します。
サイレンサー
排気された空気や騒音、排気ガスを緩和する部位です。
マフラー吹き出し口手前の太くなっている部分がサイレンサーです。
社外品マフラーはサイレンサー部分にカスタムメーカーのロゴが入っています。
フランジ
エンジンとの接合部でマフラーの入口にあたる部分
エキゾーストパイプ
フランジからサイレンサーまでをつなぐ、パイプ部分。略称はエキパイ。
バッフル
サイレンサーの吹き出し口に後付けで付けられる消音材

駆動系

駆動系はタイヤを回すための装置です。
駆動系はミッションバイクは主にチェーン式、スクーターやハーレーダビッドソンなど、一部のミッションバイクはベルト式を採用しています。

チェーン
チェーン方式の駆動チェーン。自転車のチェーンと同じイメージで問題ありません。
ミッション(ギア)
ギアを変速させるための装置。バイクによってギア数が異なります。
ベルト
チェーンのベルト版。
スプロケット
クランクシャフトの力をチェーンに伝える歯車。
前後2つのスプロケットが付いていて、丁数(ギザギザの数)を変更すると加速や最高速が変更できる。
プーリー
ベルトドライブの変速機の役割を担う。
クラッチ
ミッションバイクの動力をスプロケットに伝えるためのオンオフ装置。

足回り

足回りはタイヤからメインフレームまでの部位の総称です。
どこまでも足回りと捉えるかは様々な考え方があります。
一般的な足回りに分類される部位を紹介します。

タイヤ
文字通り、バイクが地面に接触するゴムの部品です。
バイクは2輪でバンクさせて曲がる特性上、タイヤの重要性が高いです。
ホイール
タイヤを履く土台部分。
ホイールの剛性や重量によって走行性能や安定性が変わります。
スイングアーム
リアタイヤとメインフレームをつなぐ部位
サスペンション
バイクの場合、主にサスペンションはリアタイヤの衝撃を吸収するバネ一式を指します。
リアサスペンションが1本をモノサス。2本を2本サスと呼びます。
フロントフォーク
フォロンとフォークはフロントサスペンションと捉える事もできます。
前輪の衝撃を吸収するタイヤとステアリングを繋ぐオイルダンパー入りのパイプです。

ブレーキ

ブレーキはバイクを減速・停止させる装置です。
ブレーキはディスクブレーキとドラムブレーキの2種類があります。
ブレーキを足回りの一部として捉えられるケースもあります。

ディスクブレーキ
ブレーキローターをブレーキパットで挟んで減速させるブレーキ
ドラムブレーキ
ブレーキドラムの中のブレーキシューを外側に広げて減速させるブレーキ
ブレーキキャリパー
ディスクブレーキのブレーキパットを挟みこむ装置一式
ブレーキローター
ディスクブレーキのディスクになる部分
ブレーキホース
ブレーキレバーやブレーキペダルの力をブレーキに伝達させる配線。

発電・蓄電系

バイクはエンジンの力で発電を行い、電圧の制御、バッテリーの蓄電を行い、セルモーターを回したり、ヘッドライトやウインカーなどの灯火類に電気を通します。

ジェネレーター
発電を行う部品です。小型の発電機をダイナモと呼びます。
なお、車の場合は交流電気を発電するオルタネーターを使用される事が多いですが、オルタネーターもジェネレーターの一種です。
レギュレーター
発電した電気を制御する装置。12V車の場合、12Vを大きく上回る電圧になる事を抑制します。
バッテリー
発電した電気を蓄電する装置。

灯火類

灯火類は、ヘッドライトやウインカー、ブレーキランプなど、周囲の車に自分のバイクの存在や操縦の意思表示をするための装置の総称です。
灯火類は電球だけではなく、リレーによって点滅や点灯などの制御を行っています。

ヘッドライト
バイクの前照灯で、前方を照らすためのライトです。
ウインカー
右折・左折をする合図に使用します。前後左右一式ずつ。合計4個のウインカーが付いています。
ブレーキランプ
ブレーキ灯と尾灯の役割を併設しています。
常時点灯して、ブレーキをかけると強く光ります。
リレー
電気を繋ぐ役割がリレーの名称の由来です。
バッテリーの電気をウインカーなどに繋げる役割を持っています。
電装系のトラブルはリレーの故障によるケースも多いです。

ハンドルまわり

ハンドルは、バイクを手で支えて、旋回などのハンドリングも行います。
バイクはハンドルにスロットル、ブレーキレバー、各種スイッチも付いています。

ステアリングシステム
トップブリッジとフロントフォークを繋ぐ舵取り装置の軸になるパイプ。
トップブリッジ
ステアリングシステムの上につくハンドルの土台。
ハンドルとフロントフォークを繋ぐ役割があります。
バーハンドル
トップブリッジの上に取り付ける棒状のハンドル。
ハンドルポスト
バーハンドルを固定している部位。
セパレートハンドル
フロントフォークの上部に直接固定するハンドル。
左右独立している事からセパレートハンドル(略称セパハン)と呼ばれています。
スロットル
ハンドルの右手の持つ所。車でいうアクセルです。
クラッチレバー
ミッションバイクの場合は左手で握るレバーがクラッチレバーにあたります。
ホーン
警告機の事です。主にハンドルの左手で操作できる所にスイッチが付いています。
ホーンの本体はフロントフォーク付近に設置される車種が多いです。

メーターまわり

部位の名称だけではなく、メーターまわりの見方についても紹介します。
メーターの機能はバイクの車種によって異なります。

スピードメーター
文字通りバイクの速度を示すメーターです。
バイクは前輪の回転数で速度を計測しています。
タコメーター
エンジンの回転数を示すメーターです。
ODOメーター
バイクの総走行距離を表示します。運転者や整備業者が巻戻したりリセットする事はできません。
トリップメーター
リセットできる走行距離計です。走った距離や燃費を計算する際に使います。
ニュートラルランプ
バイクのニュートラルギアは、一般的に1速と2速の間にあります。
ニュートラルに入っている事をメーター内のランプ点灯で知らせてくれます。
警告灯
エンジンやインジェクション、水温、オイルなど故障部位に応じてメーター内の警告灯で異常を知らせてくれます。
燃料系
ガソリンの残量を占めるメーターです。燃料が少なくなるとランプで知らせてくれます。燃料が少なくなった時のランプを「エンプティランプ」と呼びます。
燃費計
総合燃費や瞬間燃費を表示します。燃費計は燃料の消費ではなく速度やエンジンの回転数などで計算されるので完璧に正確ではありません。

その他

ここまでのカテゴリーに分類されない主要なバイクの部位を紹介します。

ステップ
足を乗せる部分です。2人乗りのバイクは、2人目が乗る時に乗せるステップをタンデムステップと呼びます。
純正ステップでは、バンクさせるとステップがすぐに地面に当たってしまうため、バックステップキットに交換するカスタムが人気です。
シート下収納
車種によってはシートが開いたり脱着して、その下にちょっとした収納スペースが用意されています。
スクーターの場合はシート下収納が大きく、フルフェイスが入る事から「メットイン収納」と呼ばれています。
反射板
後続車のヘッドライトを反射させるためのものです。
保安基準で取り付けが義務付けられています。
キャリア
バイクに大きな荷物を乗せるための補助フレームです。後付けのオプションになっている事が多いです。
ルーフ
屋根付きバイクの屋根の部分です。バイクの外装にも分類されます。代表車種はジャイロキャノピーがあります。後付けルーフを取り付けるカスタムもあります。
燃料コック
燃料の供給をON、OFF、リザーブで切り替えるレバーです。主にバイクの左側、タンクの中央下部あたりに付いています。

まとめ

バイクの部位の名称はさらに細かいパーツごとの名称も用意されて事もできます。いきなり全部バイクの部位の名称を覚えるのは無理です。整備やカスタム、メンテナンスなどの際に少しずつバイクの部位を覚えていくようにしましょう。

バイクの部位の名称を覚えるコツは、バイク屋やバイクに詳しい人と会話をする事です。みんなどのような部位の名称を口にすることが多いのかを体感して優先順位をつけて覚えたり、会話の中で気になった部位を重点的に覚えていくとよいでしょう。

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