バイクのスイングアーム交換カスタム

Z900RSはモノサスが王道ネイキッド路線から外れていると批判する声もありますが、そんな中、アフターパーツメーカー大手の「K-FACTORY」から2本サス用スイングアームが発売されました。王道ネイキッドルックになることで、注目を集めているカスタムです。

私はZ900RS用の社外スイングアームを見た時に、昔はモンキーなどの4MINIやTWなどのトラッカー、ロードバイクの足回り移植など、スイングアーム交換のカスタムは良くみかけたと懐かしい気持ちになりました。

ここでは、バイク全般におけるスイングアーム交換のメリットや必要性、作業の難易度、工賃について記事にしてみました。

スイングアーム交換のメリット・デメリット、作業な難易度、注意点

バイクのスイングアームはメインフレームとは独立していて、基本的にボルトオンで取り付けられています。つまり、スイングアームは加工せずに工具さえあれば取り外すことができ、車種専用のアフターパーツであればボルトオンで取り付けられます。

場合によっては、違う車種のスイングアームをポン付け(加工なしでそのまま取り付け)できたり、軽微な加工で流用できる場合もあります。

スイングアーム交換するメリット

スイングアーム交換は車種やカスタムスタイルにもよりますが、次のメリットと目的があります。

  • 見た目のカスタム
  • 性能向上

スイングアームが変われば、取り付けられるタイヤやサスペンションも変わります。トラッカーや4MINIのカスタムでは、ホイールベースを広げて、極太タイヤを取り付けるためにスイングアームを交換するケースもあります。

また、スイングアームが変わっていると、大掛かりな改造をしていることが一目で分かるので、性能アップと見た目の双方の意味でカスタムされるケースもあります。

スイングアーム交換のカスタム需要が低下した理由

80年代や90年代のロードバイクでは、違う車種のスイングアームを流用するカスタムが流行していました。初期のMC18型のNSR250に、MC21やMC28のガルアームやプロアームのスイングアームに変更したり、ネイキッドバイクに、CBR400RRやFZR400などスポーツバイクのカスタムを移植するカスタムが定番でした。

ほかにも市販車に、レース用車両のRS125/250のスイングアームとフロントフォークを移植して、レースに出ている方もよく見かけました。昔のバイクはノーマルのスイングアーム剛性が弱く、スポーツバイクや新型バイクのスイングアームを移植することで、剛性アップとコーナリング性能の向上、ハイグリップタイヤの装着、ブレーキの強化など幅広いメリットがありました。

最新のバイクはフレームやスイングアーム剛性が全般的に向上していて、車種のバランスを考えて作られたスイングアームになっています。そのため、他社のスイングアームに交換して剛性が上がっても、最新バイクだとバイク全体のバランスが崩れて、遅くて安定感のないバイクになってしまいます。

つまり、バイクのシャーシやスイングアームの進化によってスイングアーム交換の需要が低下したのです。

スイングアーム交換の難易度

ここでは、車種専用設計の社外品スイングアームや、ポン付け可能なスイングアームについての交換難易度について紹介します。

加工が必要なカスタムは、専門知識とスキル、道具が必要です。スイングアームを外すだけでも、難易度はかなり高いです。不安があれば、なるべくプロの整備工場に依頼した方がよいでしょう。整備に自信のある方以外は挑戦しないことをオススメします。

スイングアームの脱着自体は、スイングアームピボットナットというナットを外すのみで可能です。ただし、古いバイクをはじめ新車以外のバイクは固着して、ピボットナットとビボットシャフトを取り外すだけでも苦労します。ネジを潰したり、ビボットシャフトを傷つけると取り返すのつかない事態になります。

スイングアームはタイヤやブレーキ、サスペンションなど幅広い部品と繋がっているので、以下の工程が必要です。

■スイングアーム脱着手順
・メンテナンススタンドでリアタイヤを浮かす
・マフラーを外す
・リアホイールを外す
・ブレーキ周りを外す
・チェーンカバーを外す
・リアサスを外す(スイングアーム側のみ)

・フレーム下にスタンドをかけて、メンテナンススタンド及びスイングアームを取り外してもバイクを固定できる環境を作る
・もう片方のリアサスのボルトを外してリアサスを取る
・スイングアームピボットナットを外す
・ピボットシャフトを抜いてスイングアームを取り外す

・取り付ける時はビボットベアリングにグリスを塗ってから取り付ける
・ベアリングがサビているなど状態が悪ければ新しいベアリングに交換する
・スイングアーム以外の部品を取り付ける際は、仮締めをしてリアサスなど駆動部の動きが正常なことを確認してから本締めする

個人が独自に挑戦する場合は、あらかじめスイングアームビボットナット部のベアリングの予備を用意しておくと良いでしょう。ベアリング交換が必要で部品がないと、仮組みして元のスイングアームに戻すか、バラした状態で部品を調達するまで保管しないといけなくなります。

ホームセンターや部品量販店で売っているような工具とスタンドのみで交換はできますが、ビボットシャフトをはじめ失敗したときのリスクは大きいです。大掛かりなカスタム作業をするのが初めての方は、スイングアーム交換には挑戦しない方がいいでしょう

スイングアーム交換の工賃

工賃は車種や利用する業者によって異なります。プロであればボルトオンで脱着できる部品なので数時間程度の作業で行えます。加工不要な場合は高くても4、5万円で工賃だけで数十万円取られることはありません。チェーンやスプロケットなど、消耗品交換を一緒にお願いすると安く対応してくれる場合もあります。

公式情報を参考にスイングアーム交換の工賃相場をまとめました。

●2りんかん
50ccギヤ スイングアーム交換
基本工賃:8,100円(持ち込み16,200円)
別途チェーン交換
https://driverstand.com/tenpo/top/pit/002.html

●南海部品
ネイキッド系(基本):7,000円
片持ち系(基本):9,000円
TW系ロンスイ交換:6,000円
APE系1本サス:4,000円
モンキー系2本サス:4,000円
http://www.parts7.com/wages.html#s_sarm

●しゃぼん玉
ネイキッド:25,000円
GPZ:35,000円
特殊:35,000円

基本作業工賃表

●個人経営大手整備ショップA店
ネイキッド系(基本):12,000円
方持ち系(基本):14,000円
APE系(1本サス):9,000円
モンキー系(2本サス):5,000円

●某オフロードバイク専門店
スイングアーム脱着、給油:6,500円

●某大型バイクカスタム専門店
スイングアーム脱着:18,000円〜

●某旧車専門店
スイングアーム脱着:10,000円〜

●某4MINIカスタム専門店
ツインサス:8,400円
モノサス::13,600円

古いバイクは要注意

店頭表示のスイングアーム交換は基本工賃です。古いバイクなど固着が激しい、ベアリングやシャフトの交換が必要など、状態が悪いと工賃も割高になる場合もあります。必ず一度見積や相談を行い、整備・カスタムショップからの説明を聞いてください。

安いところでは車種にもよりますが1万円前後。高くても3〜4万円程が相場です。素人が挑戦すると丸1日以上かかるので失敗リスクも含めてプロに任せた方が安心です。

おわりに

スイングアーム交換は難易度の高いカスタムで、自力で挑戦することはオススメできません。しかし、ボルトオンでの交換ができるため、整備ショップの工賃表を見て予想以上に安いと感じた方も多いでしょう。

スイングアーム交換する価値のあるバイクは特定のカテゴリーに限定され、高年式のスポーツバイクはスイングアーム交換する需要はほぼ無くなっています。誰にでもオススメできるカスタムではないですが、プロに交換作業を任せることを前提に、手軽に検討できるカスタムです。

当サイト独自の予想ですが、Z900RSではスイングアーム交換のプチブームが起こって、バイク市場全体でスイングアーム交換カスタムの注目度が向上しそうです。

4MINIやトラッカー系を中心にスイングアーム交換は自分自身で行っている人も多いです。興味を持ったら、バイク仲間に声をかけてスイングアーム交換経験者を見つけて直接話を聞いてみると良いでしょう。決してネットの情報だけを頼りに1人でチャレンジせずに、経験者やバイクショップのスタッフよりアドバイスをもらってから挑戦するようにしてください。

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