バイクの改造箇所とそれぞれの注意点
バイクの改造箇所に応じた、パーツの選び方や改造時の注意点をまとめました。
バイクの改造には、適切な改造の順番があります。改造箇所に応じたポイントを理解して、正しい改造を行いましょう。
このページの目次です
バイクの定番の改造箇所=9箇所
バイクの定番の改造箇所は次の9箇所です。
- マフラー
- 外装
- ハンドル
- ブレーキまわり
- エンジン
- 足回り
- 給気系
- 駆動系
- ライト類
それぞれ改造するにあたって、覚えておくと便利な知識を紹介します。
マフラーの改造
マフラーはバイクの改造の定番です。部品代が高額になりますが、まずはマフラーが社外品に変わっていないと、外装カスタムなどを行ってもバイク全体がバランスが悪く見た目が冴えません。
最初に手をつける改造箇所としても検討してみてください。
マフラーの種類
マフラーの種類は、エンジンとの接合部の付け根からマフラー一式を交換するフルエキゾーストと、サイレンサーと中間パイプのみを交換するスリップオンの2種類があります。
マフラー一式を交換するフルエキゾーストの方がスリップオンより高価になります。
マフラーは、エンジンの爆発で発生した排気ガスを外に出す役割があります。エンジンからの排気は、直接外に出ると物凄い騒音になり、多量の有害ガスを排出します。
そのため、「サイレンサー」と呼ばれる太い筒状のパーツの部分で消音と排気ガスの吸収をしてから外に放出します。
また、サイレンサーまでをつなぐパイプを「エキゾーストパイプ(略称:エキパイ)」と呼びます。エキゾーストパイプは湾曲させる事で排気効率を上げる役割を持っています。
ノーマルよりも大きいエンジンサウンドを楽しみたいだけであれば、スリップオンタイプで十分です。排気効率アップでパワーアップを図りたい場合は、フルエキゾーストの方が高い効果を実感できます。
パワーアップが目的でなくても、エキパイの曲線美や、サイレンサーの設置場所を変えるなど見た目を重視してフルエキゾーストを選ぶ方も多いです。
マフラーは車種専用モデルを選ぶ
社外マフラーは、車種ごとに専用モデルが用意されています。エンジンからの接合部の大きさや、取り付けステーの位置が異なるとバイクにボルトオンで取り付けできません。
同じ車種でも年式やモデルによって、ステーの位置が変わってくるので、必ず適合条件を確認してから購入しましょう。
マフラーの取り付け
マフラーの取り付けにはテクニックがあります。バイクによってはカウルやラジエターを取り外さないとマフラーを脱着できません。
また、マフラー接合部のネジは非常にキツく締まっている事や、エキパイが密着して工具や腕が入りづらいです。適切な工具が揃っていないとネジ山を潰してしまうので注意しましょう。
マフラー交換で一番気を付けないといけないのが、エンジンとの接合部からの排気漏れです。エンジンとマフラーの接合部にはガスケットと呼ばれる隙間を埋める柔らかい金属が入っています。
ガスケットは再利用不可なので必ず新品に交換します。(ガスケットは数百円程度)金属ではなく、液体ガスケットを使用する方法もあります。
取り付ける時は、接合に必要なネジを全てまっすぐ均等な力でキツくしめないと排気漏れを起こします。自信がない方はプロの業者の取り付けを依頼しましょう。マフラー交換の工賃相場は4,000円〜6,000円です。
外装の改造
外装の改造は主に次のものがあります。
・塗装(カスタムペイントなど)
・部品交換(社外フェンダー、社外カウルなど)
・部品増設(ビキニカウル、ロケットカウルなど)
・シート張替え
外装の改造はバイクの見た目に大きな影響を与えます。なるべく雑誌やネット、街中を走っているバイクなどを見て、外装カスタムのヒントを得て仕上がりのイメージを明確にしておきましょう。
私は以前、転倒してバイクの外装が傷ついた事をきっかけに、オールペン(外装一式全塗装)をした事があります。
ハンドルの改造
ハンドル交換の目的はライディングポジションの調整と見た目があります。体型に合わせて適度なアップハンドルに交換すれば、楽なライディングポジションにできます。
セパレートハンドル(セパハン)など、ハンドルを低くグリップ位置をハの字型にするとスポーツ走行時などの前傾姿勢が取りやすくなります。
さらにバーハンドルに比べて車体の振動が伝わったり、ハンドルがしなる事がなく安定した操作が可能になります。ハンドル交換だけではなく、グリップやバーエンドを交換するワンポイントカスタムなど手軽にできる改造もあります。
アメリカンバイクやネイキッドバイクは、見た目を重視して大きく湾曲したバーハンドルに交換する改造も人気です。
ハンドル交換の注意点
ハンドル交換は、各種レバーやブレーキフルードのマスターシリンダー(フルード液が溜まっている場所)などを一度取り外す必要があり、それなりの手間がかかります。
ハンドル位置を大幅に高くする改造の場合は、ブレーキホースやアクセルワイヤー、メータケーブルの長さが足りなくなるので別途アップハンドルに対応した物に交換しないといけません。
ブレーキのマスターシリンダーは、取り外した時に傾くとブレーキホースの中に空気が入ってブレーキが効かなくなるので注意しましょう。
エンジンの改造
エンジンの改造は、主に次の3つの方法があります。
・ボアアップ(排気量を拡大させる)
・クランク芯出し
・エンジン載せ換え
エンジンの改造で最も需要が高いのはボアアップです。特に原付バイクなど排気量が小さいバイクはボアアップキットのラインナップが豊富です。
一昔前は400ccクラスの車種のボアアップキットもありましたが、近年は大型バイクの性能向上や車種のラインナップが豊富になった事で見かけなくなりました。
クランク芯出しは、クランク軸を削ってブレを少なくするチューニングです。クランク軸のブレがなくなるとフレクションロスがなくなり、高回転域までスムーズにエンジンが回るようになります。
主にレースに出る方が、決められた改造規制の中で、少しでも速くするための改造です。
以前は、クランクのウェイトなども削るケースが多かったですが、エンジンの品質が高くなったので、2000年式行こうのバイクはクランクの芯出し(軸を削る)のみで十分です。
エンジン載せ換えは、全く違う車種のエンジンへの載せ換える改造です。当然、そのままボルトオンで付く事はほとんどなく、溶接などの加工が必要になります。
エンジン載せ換えやボアアップで排気量の変更をしたら、改造申請等適切な処置を取りましょう。
(参考:バイクの改造申請)
足回りの改造
足回りは主に走行性能を高めるための改造を行います。
リアサスペンションやフロントフォークを減衰機能付きの物に交換する数十万円単位の費用が必要な改造から、フロントフォークの中に10円玉を入れてノーマルより硬くする手法などもあります。
車の場合は、ホイールは定番カスタムですが、バイクのホイールは部品代が高価なため、足回り以外の改造が済んだコアユーザーが手を出す事が多いです。
社外ホイールではなく、純正ホイールの塗装や他の車種のホイールの流用カスタムが人気です。
アメリカンバイクやミニバイク、ストリートバイクなどは、フロントフォークやスイングアームを長くするなど、見た目重視で足回りを改造するケースもあります。
吸気系の改造
吸気系の改造は、主にキャブレターかインジェクションの設定変更やチューニングです。排ガス規制が90年代まではキャブレター車のバイクが中心で、パワーアップにはキャブチューンが欠かせない存在でした。
コンピューター制御のインジェクションになってからは、改造の必要性がキャブレターのバイクより低くなりました。
それでも、大排気量のバイクはマフラー交換など排気効率だけをよくすると、インジェクションの設定が合わずパワーダウンしてしまう事もあります。
インジェクションセッティングに強い業者でコンピューターに繋いでインジェクションの設定を書き換えてもらうか、自分でチューニングキットを買って設定を合わせます。
駆動系の改造
バイクの駆動はチェーン駆動とベルト駆動があります。全てのスクーターと、一部のアメリカンバイク(ハーレー・ダビッドソンなど)はベルトドライブです。そのほかのミッションバイクは、ほとんどチェーン駆動です。
ベルトドライブバイクのカスタムは、プーリーと呼ばれるベルトのギア比を変速する部分と、変速度合いを調整するウエイトローラーを調整します。
プーリーはエンジンの回転数が上がると、外側に遠心力で動いて変速機の役割を担います。社外品のハイスピードプーリーに交換すると、ギア比がノーマルより高くなり最高速があがります。
ウエイトローラーはプーリーの変速負荷を調整するもので、ノーマルより軽くすると変速が早く加速がスムーズになります。
むやみに最高速が高くウエイトローラーを軽くすれば良い訳ではなく、エンジンバランスや車体の重さなどとのバランスが重要です。
駆動系カスタムはスクーターを速くするための定番手法です。
ミッションバイクのカスタムは、スプロケットを交換します。スプロケットは前後に2つ付いていて、前方のスプロケットが小さく後方のスプロケットが大きいです。
スプロケットの大きさ(丁数)を変更をすると、以下の効果があります。
・スプロケットを小さくする → 加速力が低下して最高速が上がる
・スプロケットを大きくする → 加速力が増加して最高速が下がる
スプロケットは前側の小さい方を変えた方が影響が大きいです。バイクの改造では、大幅に駆動の調整をしたい場合を除いて後方の大きなスプロケットのみで調整します。
ミッションバイクの多くはスプロケットが露出しているので、見た目重視でゴールドスプロケットに交換するカスタムも人気です。
ライト類の改造
ライト類の改造は以下のものがあります。
・ヘッドライト交換(HID化や電球交換)
・ヘッドライトリフレクター(内側のレンズ)交換
・ウインカー/ブレーキのレンズ交換
・ウインカー/ブレーキの一式交換
そのほか、ウインカーの点滅速度の調整や、蛍光管やLEDで下回りを照らすカスタムなどもあります。
ライト類は保安基準に適合しないと、すぐに警察に捕まるので、違法カスタムや派手すぎる改造はしないようにしてください。
HID化で前方の視界を確保したり、見た目はノーマルだけど灯火類をつけるとLEDになるなどシンプルで大人なライト類のカスタムが人気です。
まとめ
ここで紹介した改造箇所はあくまでも一例です。
私が改造に力を入れていたCB400SFでは、ここで紹介している以外にも次の改造をしていました。
・フェンダーレスキット(リアフェンダーが無いナンバーの取り付けステー)
・ブリザーホース(エンジンオイルの熱を外に逃がすためのオイル注入口のボルトから伸びるメッシュホース)
・タンデムレバー(タンデム時に同乗者が掴むためのもの)
・ブレーキレバー&クラッチレバー
・バックステップ(バイクを倒してもステップが擦らないようにステップの位置を後ろにずらすもの)
・ステアリングダンパー(バイクの振動でハンドルがブレる事を防止するもの)
それぞれに、役割や効果はありますが、当時は色々社外パーツが付いていた方が見た目がカッコイイと思って改造していました。
カスタムの方法や箇所に決まったものはありません。様々なカスタムバイクを見て、気に入った改造を真似したり、自分流にアレンジしながら改造していくとよいでしょう。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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