よくあるバイクの違法改造と罰則
街中を走っているバイクを見ていると、違法改造しているバイクをよく見かけます。
明確な違法改造でなくても、「これ違法じゃないの?」と思ってしまうカスタムをしているバイクもあります。
ここでは、バイクの違法改造で取締を受ける事例や基準、違法改造の罰則についてまとめました。
このページの目次です
バイクの違法改造の罰則は3種類
バイクの違法改造の罰則は次の3種類があります。
- 違法改造(不正改造)
- 整備不良
- ナンバー表示義務違反
違法改造(不正改造)で警察の取締を受けると、「不正改造車ステッカー」を車体に貼られます。不正改造車ステッカーを貼られた場合、免許の違反点数加点や罰金はありませんが、15日以内に指摘された違法改造を直さないといけません。
違法改造をノーマル部品や、保安基準適合の社外パーツに交換するなどの対処が完了したら、管轄の陸運局へ車体を持ち込み、改善確認の検査を受ける事で違法改造の違反責務は解消されます。
不正改造車ステッカーを、勝手に剥がしたり整備命令に従わなかった場合、ナンバープレートや車検証が没収され、最大6か月間、当該車両の使用停止が命令が下され、50万円以下の罰金刑が科せられます。
さらに使用停止命令を無視してバイクに乗り続けた場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の刑に処せられます。
また、違法改造では、ウインカーの色を変えるなど、整備不良に該当している場合は、違法改造と整備不良を2重の罰せられる場合もあります。
ナンバーを見えないような角度にするなどの違法改造は、ナンバー表示義務違反として、その場で違反切符が切られて罰せられます。
- 整備不良の罰則
- ・整備不良制動装置等違反:違反点数2点、原付6千円の罰金、二輪車7千円の罰金
・整備不良尾灯等違反:違反点数1点、原付5千円の罰金、二輪車6千円の罰金 - ナンバー表示義務違反
- 違反点数2点、原付5千円の罰金、二輪車6千円の罰金
そのほか、違法改造の内容によって様々な法律で罰せられる場合があります。
たとえば、原付免許しか持っていない方が、ボアアップ(排気量を上げる改造)を行い、50ccを超える排気量のバイクを運転した場合は、無免許運転で違反点数25点の一発免許取り消しなどの厳罰を受ける場合もあります。
違法改造で捕まった場合は、どうやって帰るのか?
違法改造の取締を受けた場合、違法改造(不正改造)によりステッカーを貼られるだけであれば、その日は違法改造したままのバイクを乗って帰る事ができます。(ステッカーを貼られた日から15日以内の改善が必要)
ナンバー表示義務違反であれば、ナンバーを適切な位置に固定しなおすだけの簡単な調整をすれば、そのまま乗って帰れます。
問題になるのは、道路交通法に違反する整備不良(灯火類の不正など)です。整備不良の違反は原則、整備不良を改善するまでは公道を走行する事が禁止です。
正規のルールでは、自走して帰る事は違反で、もしそのまま自走して他の警察に検挙された場合、再度違反切符を切られる事になります。ただし、そこまで厳しく取り締まりをする警察はほとんどいません。
最初に違反切符を切った警察は、必要な処理が終わればすぐに立ち去ります。万が一、帰路で警察に止められても、その日に切られた違反切符を見せれば厳重注意のみで対応してもらえる可能性が高いです。
バイクのよくある違法改造一覧
バイクで多い違法改造の内容や注意点、取り締まりを受けるリスクの大きさなどをまとめました。
マフラーの違法基準
マフラーからの排気音には騒音規制があります。平成22年規制(現行の規制)では84db〜94dbに制限されています。騒音規制は年々、厳しく改訂されています。
社外マフラーは騒音規制に適合した公道走行可能な音量なのか記載されています。JMCA(全国二輪用品連合会)が認定したマフラーであれば、違法改造になる事はありません。
違法改造で多いマフラーは、競技用として売られているものが多いです。ほかにも、マフラーに穴を開けるなどして、強引に音量を大きくする不正改造もあります。
また、購入時は騒音規制に対応していたマフラーでも、長年使っていくと騒音規制の基準値を超えてしまう場合もあるので注意が必要です。
違法マフラーの取り締まり
違法マフラーの取り締まりは、検問と街中で警察が個別に呼び止める方法があります。
検問は、高速道路の料金所や、バイク乗りが集まる人気のツーリングスポット(関東だと奥多摩や箱根など)で行われる事が多いです。検問では、社外マフラーに交換しているバイクはすべて、音量測定機によって検査が行われ、基準値を超える音量だと不正改造ステッカーが貼られます。
街中で個別に行われる取り締まりは、明らかに違法性がある音量のマフラーでない限り、呼び止められる事はありません。100dbを大きく超えるような違法マフラーは、音量測定機がなくても警察官の裁量で違法改造ステッカーが貼られるケースもあります。
車検が必要なバイクは、公道での取り締まりをクリアしても、車検の際に音量のチェックが行われ、不適合だと車検が通りません。
ナンバー上げの違法基準
ナンバーを上げたり、隠す行為はナンバー表示義務違反になります。ナンバー表示義務違反は、後方からナンバーを目視で確認できない場合が違反対象です。ここで気になるのが、ナンバーの角度の許容範囲です。
ナンバーの角度は、バイクの車種の構造やナンバーを設置する高さによって許容範囲が変わります。おおよその目安として45度以下であれば、角度が付いていても問題ありません。
実際に違反切符を切られる方の多くは90度前後など、完全にナンバーが見えない角度にしています。
スポーツバイクのシート下へのナンバー取り付けの取り締まりが厳しくなった
2010年以降に入って、フルカウルなどのスポーツバイクで、シートの下にナンバーを取り付けるカスタムが流行しました。リアフェンダーより後ろにナンバーを隠す事でスタイリッシュに魅せる事ができ、見づらさはあっても後方から目視できる取り付けも可能でした。
当初は、後方から見えれば警察は取り締まりはしていませんでしたが、近年はシートの下にナンバーを取り付ける行為を問答無用で違反切符を切るように変わってきました。シート下のナンバー取り付けをしているバイクを見かけても、絶対に真似してはいけません。
ナンバー上げを取り付ける行為は違法?
ナンバー上げとは、本来固定するナンバーを可動式にするステーです。主に10代の若者が原付スクーターに取り付ける事例が多いです。
普段はナンバーを見せて走行しますが、ナンバーを手で持ち上げると簡単に後ろから見えない角度に変える事ができます。ナンバーは固定して取り付ける義務があるので、ナンバー上げを付けた時点で違反になります。
しかし、ナンバーを見える角度にしている場合、ナンバー上げのステーを付けている事に対して取り締まりをしている警察はほとんどいません。
違反切符を切られるリスクは少ないかもしれないですが、違法カスタムなので、すでに社会人の方がナンバー上げを付けている時点で恥ずかしい行為だと私は思います。
灯火類の違法改造
バイクはクリアレンズなどの灯火類のカスタム需要が高いです。私も最初に買ったバイク(CB400SF)ではウインカーをクリアレンズ、ブレーキランプをLEDにするカスタムをしていました。
灯火類の違法改造は、ランプの色を変える行為と、ウインカーの点滅速度の変更があります。昔はウインカーやブレーキランプの色を変えるカスタムが流行していましたが、当然目立つのですぐ警察に停められます。
灯火類の違法改造は、整備不良尾灯等違反ですぐに違反切符を切られるので注意しましょう。最近では、HIDヘッドランプでケルビン数を規定値(6,000kb)を超える青白い発光色にする違法改造が増えています。
まとめ
バイクの違法改造は、騒音規制規定値を若干超える音量のマフラーや、青みが濃いHIDヘッドランプなど軽微な違法性のカスタムであれば、すぐに警察に停められる事はありません。しかし、バイクの違法改造の取り締まりは年々厳しくなっています。
みんなやっているから平気だろうと軽く考えていると、不正改造ステッカーや違反切符の取り締まりを受ける可能性があります。
私自身が歳を取った影響もあるかもしれないですが、私がバイクのカスタムに積極的だった15年前と現在は人気カスタムの傾向が変わってきました。
15年前は違法性があっても、とにかく目立つカスタムが人気で、マフラーに穴を開けたり、ウインカーやブレーキランプや青や緑に変える派手なカスタムが人気でした。
最近では、あからさまな違法カスタムは、ダサいと捉える動きが強くなってきました。法律の範囲内でクールでスタイリッシュに変更するカスタムが人気を高めています。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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