不法改造バイクで事故を起こしたら保険はおりる?
不法改造をしたバイクで交通事故を起こした場合、保険の支払いはどうなるのでしょうか?
各保険会社の約款(規則)では、不法改造車による事故は保険を支払わない旨が記載されています。
しかし、車両保険を除いて被害者に対する賠償保険はいかなる不法改造でも、ほとんどのケースで保険金が支払われているようです。
不法改造のバイクと保険の関係についてまとめました。
このページの目次です
不法改造バイクで事故を起こしてもおりる保険もあるようだが…
各保険会社の約款で、不法改造車は保険が支払われないと記載されている以上、事故を起こして保険会社から支払い拒否をされた場合、保険契約者の立場は非常に弱いです。
不法改造は決して行わないようにして、排気量や寸法の変更をした場合は適切な改造申請をして、保険会社にも改造した旨を申告しましょう。
(参考:「バイクの改造申請」)
しかし実際に不法改造したバイクで事故を起こすと、対人賠償や対物賠償など相手方への賠償補償をする保険は、ほんとのケースで保険金が支払われるようです。
バイク保険の目的は被害者救済
バイクの保険は自賠責保険と任意保険の2種類があります。
自賠責保険は被害者救済を目的にした強制保険です。自賠責保険の約款の内容を確認した所、不法改造車に対する記載はありませんでした。
(参考URL:https://www.kyoeikasai.co.jp/pdf/personal/car/jibaiseki.pdf)
任意保険は各保険会社が営利目的に運営している保険で、約款には必ず不法改造車は保険を支払われないと記載されています。
保険のルール上は、不法改造バイクの事故に対して保険会社は、保険金の支払い義務を負わない事になっていますが、現実問題は不法改造や飲酒運転など加害者の落ち度を理由に被害者への賠償をしない事は国から許されません。
対人賠償と対物賠償は不法改造の内容を問わず、支払われると考えられます。
車両保険は不法改造バイクの保険金が支払われない
交通事故を起こしても、よほど重大な事故でない限り、警察は事故車両(バイク)の保安基準適合状況の検査を行いません。つまり、不法改造をしていても、警察が事故報告書に不法改造の旨を記載しなければ、保険会社は不法改造の有無を認識できません。
しかし、保険加入車両の修理費用を補償する車両保険だけは例外になります。車両保険でバイクを修理する時は、修理前と修理後の写真提出を求められます。(主に整備を依頼された工場の担当者が保険会社に提出します)
また、保険会社によっては担当者が修理で入庫している整備工場に足を運んで、修理の必要性や修理費用の妥当性を確認しにくる場合があります。
警察の事故報告書で不法改造の記載がなくても、車両保険を使用した修理のやり取りで、事故車両の状態が確認されるので、そこで不法改造車両だと判明すると、保険会社は支払い拒否をする場合があります。
安全上の問題点がある改造以外は見逃してもらえる事も
車両保険は保険契約者の損害を補償する保険なので、被害者救済の要素はありません。不法改造車など保険約款に違反する事実が確認できれば、保険会社は保険金の支払いを拒否できます。
しかし、ちょっとした不法改造を含めて無条件で保険金支払い拒否する保険会社はありません。不法改造車を補償しないように約款で定められていても、保険金支払い拒否をすれば契約者とトラブルになります。
保険会社は、些細な不法改造でも保険を払ってもらえなかったと悪い評判が広まって、新規契約者を獲得できなくなる事を懸念しています。つまり、悪質な不法改造車でない限り、保険会社の裁量によって、不法改造を見逃して保険修理の対応をしてもらえます。
車両保険を補償する基準は、各保険会社や事故担当者によって変わってきますが、安全性に問題がある不法改造かどうかを基準にされる傾向があります。
車両保険適用になる可能性がある不法改造
・違法マフラー
・ハンドルやローダウンなど、バイクの寸法がわずかに変わる改造(運転に支障がでるポジションのハンドルは対象外)
・反射板を付けていない状況で、後続車の影響なしに事故を起こした
・ヘッドライトの色を変えていた中で、晴れた日で視界が良好な日中に事故を起こした
車両保険が適用されない可能性が高い不法改造
・ライト無灯火
・ミラーを装着しない
・ブレーキの制動力が低下するカスタム
・公道不可の競技用タイヤを履いていた
不法改造は、安全性に影響があるかがポイントになります。安全性に問題がある不法改造でも、事故の内容に関係のない箇所の不法改造であれば見逃してもらえる可能性があります。
簡単にまとめると、この不法改造をして、この事故を起こすのであれば自業自得と言われるような状況の事故は、車両保険が支払われない可能性が高いです。
人身傷害や搭乗者傷害の補償
不法改造したバイクの事故と、任意保険の支払いで一番難しい問題が、人身傷害、搭乗者傷害の契約者への死亡・傷害補償です。
まず、不法改造したバイクでも、タンデムで一緒に乗っていた同乗者に対しては、対人賠償と同様に被害者救済の観点で保険が適用される可能性が高いです。
問題は運転者本人への補償です。不法改造バイクの事故で、運転者本人への人身傷害・搭乗者傷害は保険金が出る可能性が高いです。その理由は、人身事故のみの場合、不法改造バイクだと保険会社が知る事が難しいからです。
車両保険でバイクの修理も補償する場合や、死亡事故など現場検証や事故車両の検査を警察が行う場合は、保険金を支払われない場合があります。
ただし、運転者本人が死亡や、重度の後遺症で意思疎通が困難になった場合、被害者救済の観点や(交通事故では負傷者を被害者と呼びます)、本人からの証言が取れない都合もあり、人身傷害と搭乗者傷害の保険金が支払われる可能性が高いです。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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