欧州車をはじめ幅広い電子制御バイクの診断機「TEXA(テクサ)」
最近のバイクは電子制御化されていて、工具だけでは全てのメンテナンスができません。コンピューター診断のできるディーラーが近くにあればよいのですが、メンテナンス店との距離で購入するバイクを制限されるのは、もどかしい状況です。
特に海外メーカーのバイクは、正規販売店や取次点の少なさがネックになっています。しかし、最近は欧州車を中心に、幅広いメーカーのコンピューター診断やエラー消去、セッティングのできる万能な診断機が普及して、ディーラー以外でもメンテナンスできる所が増えています。
(NAPSの例:https://www.naps-jp.com/web/pit/texa/)
バイクのコンピューター管理(インジェクション&ECU)が進んでいる時代の変化を受けて、幅広い車種のコンピューター診断を可能にする、TEXA社の診断機が普及しています。大手バイク用品店のNAP’Sも、2018年4月から全店で導入して欧州車のメンテナンスに対応しています。
TEXA診断機の特徴
TEXA社の診断機は、ヨーロッパ車全般の診断をできる万能なコンピューター診断機です。対応車種の目安は、欧州メーカーで1995年モデル以降のバイク、車であればほぼ対応しています。
コンピューター診断できることはもちろん、エラーチェック、エラーチェックおよび消去、データストリーム、アクティブテスト、セッティング(コーディング)にも対応しています。つまり、ディーラーの専用コンピューターとほぼ同等の機能性を兼ね備えています。
オプションケーブルを利用すれば、日本車、一部のアメリカ車にも対応できます。二輪・四輪共通の診断機なので、バイクショップ以外にも車の整備工場で広く普及していて、社外診断機としては国内トップクラスのシェアを誇っています。
診断スタッフ、整備士は一定のスキルが必要
TEXAの診断機と対応ケーブルさえあれば、バイクのコンピューター診断を手軽にできますが、TEXAを導入している整備工場であれば安心して任せられるとは、現時点で断言できません。
国内最大手バイクメーカーのホンダは、2018年4月より販売店の体制を大幅に変えて、250cc超えの車種を扱える店舗を減らしています。販売チャンネルの改訂理由は、コンピューター化する最新バイクに対して、小排気量中心の販売店ではメンテナンスの対応が不十分になるからです。
つまり、「大型クラスの高年式バイクは、診断機だけ導入すれば適切なメンテナンスをできる」というものではないと、ホンダは判断しているということでしょう。l
車整備中心でTEXAの診断機を置いている工場の場合、ケーブルさえ合えばコンピューター診断を依頼できますが、診断結果に対して適切なアドバイスをもらえるかは分かりません。最低でもバイク整備に強いTEXA導入店を利用しましょう。
NAP’Sのように規模が大きい販売店であれば、診断実績も豊富で適切な処置を期待できますが、国産バイクの整備を中心に扱っている個人経営の整備工場の場合は、診断機だけあっても実績が少なければ信頼性に欠けます。
外車に強いバイクショップで続々と導入
BMW、ドゥカティ、トライアンフなど、外車のバイク販売や整備に強いバイクショップでは続々とTEXAの診断機を導入しています。TEXA診断機のバイクショップ導入事例が増えたのは、2017年前半からです。全国で見れば診断実績は豊富で、トラブルになった口コミ情報はネット上にありませんでした。
もう少し実績のできるまでは慎重に判断した方が良さそうですが、全国で診断実績が増えれば情報も充実して信頼性は高まるでしょう。近い将来はTEXAなど社外診断機を導入しているバイクショップなら、メンテナンスを安心して任せられるようになるかもしれません。
2018年4月に大手チェーンのNAP’Sが導入したことで、他の業者も含めてTEXA診断機の普及が加速しそうです。
TEXA以外の社外診断機
TEXA社以外にも幅広い車種(外車含む)を扱える診断機は、複数のメーカーから出されています。
代表的な機種は次のものです。
・ダイアグノーシス(ダイアグ診断機)
・G-SCAN
ほかにも、通販で手軽に買える診断機もありますが、車に比べてバイクに対応しているお手軽な診断機は少ないです。導入事例の多いのはTEXAとダイアグノーシスです。どちらもネット接続で最新情報をアップロードされて、高年式モデルの新型バイクにも対応できる高級品です。
おわりに
バイクの診断機は各メーカーから専用品が用意されていますが、ディーラー以外でもコンピューター診断やエラー解除をできるのは良いことです。そもそも診断機とコンピューターによるエラー管理はバイクの故障箇所を明確にして、メンテナンスを容易にすることを目的にした機能です。
現状はメンテナンスできる整備業者が限定されてしまい、高年式モデルのメンテナンスは難しいというイメージが付いてしまいましたが、各メーカーのバイクを扱える診断機が普及すれば地域を問わず、好きなメーカーのバイクに乗れるようになります。
ディーラーの整備は信頼できるけど費用がネックになるという人でも、外車を選択肢に入れやすくなるでしょう。今後もどんどん普及が進んで、口コミ情報などの実績も充実していくことを期待します。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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