バイクタイヤの窒素ガス充填のメリットと必要性

窒素ガス充填は車で人気の有料サービスですが、最近はバイク向けに「窒素ガス充填サービス」を提供する業者が増えています。峠や林道、未舗装道路をアクティブに走る人にはオススメできませんが、年に数回しかタイヤの空気圧チェックをしない人は利用するメリットが大きいです。

通常はタイヤの空気は「空気」をそのまま入れます。空気にも約80%の窒素が含まれているのですが、有料サービスで窒素ガス(窒素100%ガス)を入れると、酸素を入れた時に比べてタイヤの空気圧が抜けにくくなります。主に整備工場や部品販売店で、1本500円〜1,000円の有料オプションで提供しています。

中古バイク販売店大手のレッドバロンでは会員(レッドバロンでバイクを買った人)を対象に、窒素ガス充填を無料で行っています。窒素ガスを入れる場合は、定期的に無料で空気圧チェックと補填をしてくれる業者(主に最初に窒素ガス充填をお願いした業者)で、定期的にタイヤの点検を依頼するのが理想です。

窒素ガスのメリット

窒素ガス充填は以下のメリットがあります。

・空気が抜けにくい
・タイヤやホイール、関連パーツの保護になる
・温度変化しにくい
・バースト時に発火しにくい

一番のメリットは空気が抜けにくいことです。適正な空気圧を維持できると、低燃費でタイヤの寿命が伸びる相乗効果も期待できます。また、タイヤの内部にはゴムやライナー、バルブ部など酸化によって劣化するパーツもありますが、窒素ガスは通常の酸素に比べて酸化しにくいです。

タイヤは走ると中の空気が温まって膨張します。窒素ガスは温度変化しにくいので、走行状態によるタイヤ内の温度と空気圧の変化はしにくくなります。タイヤに窒素ガスを充填する方法は、元々レースにおけるタイヤ温度の変化を抑えることを目的に普及しました。

窒素ガスを入れても空気が一切抜けないワケではない

タイヤの空気が時間とともに抜けていくのは以下の要因があります。

・ゴムから空気が少し透過して抜けていく
・タイヤのバルブ部分から抜けていく
・バルブとホイールの取り付け部分から抜けていく
・ホイールとタイヤの設置部分から抜けていく
・パンク

窒素ガスを入れると空気が抜けにくくなるのは、ゴムの浸透率が低いからです。ゴムは空気を一切通さないと思われる方もいますが、少しずつ空気を通しています。たとえば風船に空気を入れて注入口を完璧に閉めたとしても、数日放置すると空気は少しずつ抜けていきます。

窒素ガスはゴムの透過率が空気より低いので、空気圧の低下が起こりにくいです。ただし、窒素ガスでもゴムの透過率がゼロになるワケではなく、通常の空気よりも低くなる程度です。また、バルブや設置部分のゴムの劣化や亀裂、パンクによる影響は通常の空気と変わりありません。

つまり、窒素ガスを入れても少しずつ空気圧は低下しますし、ゴムを通って抜ける以外の要因で短期的に大きく空気圧を下げるケースもあります。窒素ガス充填をしても安心はせず、小まめに空気圧チェックすることが望ましいです。

空気と窒素ガスは混ぜてもOK

空気と窒素ガスを混ぜても問題はありません。空気には元々80%の窒素が含まれているので、窒素ガス充填済みのタイヤに空気を足して化学反応を起こすようなことはありません。ただし窒素ガスと空気を混ぜると、窒素ガスの効果を大きく失います。

ツーリング先など出先で空気圧が低下していると感じたら、近くのガソリンスタンドで空気を足して適切な空気圧で走りましょう。

窒素ガス充填後は窒素ガス対応店舗で空気圧チェックする

空気圧チェックはバルブにテスターを挿入してチェックします。垂直に力強く入れれば窒素ガスは抜けませんが、少しでも角度や力の入れ方を間違えると、空気圧チェック時に中の窒素ガスが抜けてしまいます。

空気圧チェック時に抜けた分をその場で補填するのが望ましいので、ガソリンスタンドや窒素ガスに対応していないところで空気圧チェックと空気の補充をすると、窒素ガスの効果を失ってしまいます。窒素ガス充填するときは、業者がその後の空気圧チェックや補填を無料で対応してくれるか確認しましょう。

小まめに窒素ガス対応業者で空気圧チェックできない環境であれば、お金を払って窒素ガスを入れるメリットは低いです。また、窒素ガス充填済みを理由に空気圧チェックをする頻度を下げるのなら、窒素ガス充填をせずに通常の空気を入れて空気圧チェックを小まめに行った方が安全性は高いです。

バイクは用途や状況によって空気圧を変える必要性が高い

バイクは2本のタイヤで走る特性上、タイヤの空気圧によって乗り味が大きく変わります。峠やサーキットでスポーツ走行したり、オフロード走行する場合は空気圧を規定よりも下げて潰れやすくします。タイヤが潰れやすくなると地面との接地面積が増えてグリップ力が向上します。

私もサーキットを走る時は、空気圧を規定値2.0kgfのところ、1.0kgfほどに下げて走っていました。長距離ツーリングでゆったりクルージングする際は、規定空気圧より0.1〜0.3kgf程度高めにすると燃費が向上します。

スポーツ走行などアクティブな走り方と街乗り、高速走行を併用する場合は、外出先の用途に応じて空気圧を調整することが望ましいです。窒素ガス充填すると、手軽に空気圧の調整ができなくなってしまいます。

MOTO-GPやF1などプロのレースの世界では窒素ガスを使っていますが、アマチュアの草レースレベルは窒素ガスは使わずに、状況に応じた空気圧の調整をピットで作業しています。

おわりに

窒素ガス充填をオススメできる人は以下の条件を全て満たした人です。

・街乗りやゆったりツーリング中心の乗り方をしている
・近くで窒素ガス充填後の無料空気圧チェックをしてくれる業者がある
・小まめに点検やオイル交換などで窒素ガス充填した業者を利用している

窒素ガスを入れる費用は、前後のタイヤを合わせて1,000円〜2,000円が相場です。長期的に窒素ガスの入っている条件を満たせば、タイヤの超寿命化や空気圧低下による燃費悪化を防止できるので、お金をかける価値はあります。

窒素ガスは空気が抜けにくいですが一切抜けないワケではないので気をつけましょう。もし、購入時のサービスやキャンペーンで無料充填してくれる業者があれば、窒素ガス充填にあたって費用以外のデメリットはないので活用するとよいでしょう。

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