バイクのエンジンのメンテナンス方法
バイクのエンジンはデリケートで、メンテナンス次第で寿命を大きく伸ばす事ができます。
エンジンのメンテナンスを怠ると、故障リスクが高くなるだけではなく、燃費の悪化やパワーダウンを起こします。
排気量が小さく、高回転型でパワーがあるバイクだからこそ、車に比べてもエンジンのメンテナンスには気をつかう必要があります。
このページの目次です
バイクのエンジンのメンテナンス方法
バイクのエンジンのメンテナンスは以下の方法があります。
- エンジンオイル交換など
- オイル添加剤など、エンジン保護ツールの活用
- エンジン冷却や吸気など、エンジン以外の部品のケア
- エンジンのオーバーホールなど分解整備
バイクのエンジンのメンテナンスで手軽にできて、重要度が高いのがエンジンオイルの交換です。
エンジンのオーバーホールは、高い技術力が必要でプロの整備業者が通常行う整備です。素人が作業すると、逆にエンジン内部を傷つけてしまう場合もあります。
バイクのオイル交換の重要性
エンジンオイルは潤滑、冷却、密封、洗浄、防錆の5つの役割があります。
エンジン内部は燃焼室での爆発によって、ピストンが上下運動を行いクランクシャフトを動かしています。エンジンオイルは、エンジン内部の動きをスムーズに行う潤滑の目的があります。
また、ピストンとクランクシャフトは高速で動くので摩擦力で熱を帯びます。エンジンオイルは適度な温度まで上がって、それ以上はエンジン内部に必要以上の熱が入らないような冷却効果を求められます。
エンジンオイルには、「10Wー30」などパッケージに○○Wー○○といった粘度が表示されています。Wの前に入る左側の数字はエンジンオイルが低温時の粘度、右側がエンジンオイルが高温時の粘度を意味しています。
車種やバイクの使い方によって、最適な粘度や熱の入りやすさが異なります。適切な粘度や温度管理ができないと、エンジンの動きに余計な抵抗がかかってしまいます。オイルが劣化すると粘度が変わってくるので、定期的に新しいエンジンオイルに交換する必要があります。
また、ピストンとクランクシャフトは、常にエンジンオイルで密閉して空気に触れないようにする必要があります。オイルの粘度が適切ではないと、ピストンやクランクシャフトの動きでオイルが暴れて、空気を取りこんでしまい、エンジン内部にダメージを与えてしまう場合があります。
さらにエンジンオイルには、エンジン内部の汚れを洗い流す添加剤も含まれていて、エンジン内部を綺麗にして、鉄パーツの錆を防ぐ効果もあります。
全てのエンジンオイルの効果は、エンジンオイルの摩耗によって効果を失ってしまいます。エンジンの動きをスムーズにして、余計なダメージを与えないためにも定期的なオイル交換が必要です。
エンジンオイルの選び方
エンジンオイルの選び方のポイントは次の通りです。
・適切な粘度のオイルを選ぶ
・高級オイルはエンジン性能を上げる
・小まめなオイル交換が必要
エンジンオイルはバイクの車種によって推奨されている粘度が違います。エンジンオイルを購入する販売店でスタッフと相談しながら粘度を選びましょう。エンジンオイルの選び方が分からない方は、バイクに詳しいスタッフがいないホームセンターではなく、バイク用品店や整備業者を利用するとよいでしょう。
バイクのエンジンは、高回転型で小さい排気量で大きなパワーを生み出します。エンジン内部の動きも激しいので、エンジンオイルは高級品を使うとレスポンスが向上します。ただし、高性能オイルは商品によっては耐久性が低く酸化が早い場合があります。
エンジンを保護する観点では、高級オイルを使うよりも安いオイルでいいので小まめにエンジンオイルの交換をしてあげましょう。安いエンジンオイルでも、小まめにフレッシュなオイルに交換してあげると、エンジンがダメージを受けにくくなります。
反対に高級オイルを入れたからといって、3千km以上使うなど交換頻度を遅くすると、エンジンオイルの効果を失いエンジンに悪影響を与えるようになります。
オイルフィルターの交換
エンジン内部にはゴムパッキンの摩擦などで、微粒なゴミ(スス)が発生してしまいます。エンジンオイルは、オイルフィルターを通じて浄化する事で綺麗な状態を長く維持できます。
オイルフィルターはエンジンオイル交換2回に1回のペースで新しい物に交換してあげましょう。エンジンオイルだけを交換しても、オイルフィルターを古いものを使い続けると、エンジンを綺麗にする効果を失ってしまいます。
オイルフィルターは通常タイプと、ススなどの鉄粉の回収効率が良いマグネットタイプの2種類があります。価格差は数百円程度なので、マグネットタイプを使用する事をオススメします。
オイル添加剤は正しく使用する
オイル添加剤とは、エンジンオイルに混ぜる事で、エンジン内部の汚れを浮き上がらせて綺麗にするメンテナンス用品です。添加剤は一般的に、使用後は500km〜1,000km走ったら再度新しいエンジンオイルに交換する必要があります。
添加剤を入れたオイルを使い続けると、浮き上がった汚れが大量に発生して、エンジンを逆に傷めてしまう場合もあります。古い中古バイクは一度添加剤を使ってリフレッシュさせてあげると効果的です。
新車など新しいバイクは定期的に添加剤を使うよりも、小まめにエンジンオイルの交換をしてあげた方が、エンジンの内部の汚れの付着を防ぎ、高い保護効果を期待できます。
エンジンに関連する部品のメンテナンスを行う
エンジンに関連する部品は次のものがあります。
ミッション
バイクはミッションオイルがなく、エンジンオイルが車でいうミッションオイルの役割もはたします。ミッションのメンテナンスは基本的に必要ないですが、クラッチを握らない変速や、適切な力を加えない中途半端なギア変更操作を控えるようにしましょう。
ミッションを保護するためにも定期的なエンジンオイルの交換が必要です。
ラジエター/クーラント(冷却装置)
エンジンは適度な熱が入る事が必要ですが、高温になりすぎるとオーバーヒートやエンジンの焼け付けを起こしてしまいます。
日常点検でクーラントの残量を確認して、走行中に油温計や水温計が上がりすぎたり、エンジンから以上な熱が発生した場合は、一度バイクを停車してエンジンを冷まし、適切な整備を行いましょう。
キャブレター/インジェクション/エアフィルターなど(吸気装置)
エンジンは、ガソリンと空気を混ぜて爆発を起こしています。エンジンの燃焼室に空気を送り込む装置が、キャブレターもしくはインジェクションです。近年は電子制御で吸気をコントロールするインジェクション車が主流です。
キャブ、インジェクションの設定が合っていないと、エンジンの燃焼室での爆発効率が悪くなり、不完全燃焼などエンジンに悪影響を与えます。
エンジンの吹け上がりが調子悪いと感じた場合、キャブやインジェクションの吸気系の設定を確認しましょう。キャブレターやインジェクションには、空気に汚れが入る事を防ぐエアフィルターが付いています。
エアフィルターは5千kmを目安に掃除を行い、1万km〜1万5千kmを目安に新品に交換してあげましょう。
エンジンオーバーホール
エンジンのオーバーホールは、エンジンを分解洗浄してリフレッシュさせるメンテナンス方法です。内部を綺麗に洗うだけではなく、ゴムパッキンやガスケットなど細部の部品を交換する事でエンジンを新品に近い状態に戻します。
バイクのエンジンは正しいメンテナンスを行いながら、定期的にオーバーホールをすれば、半永久的に使い続ける事ができます。ただし、エンジンオーバーホールは作業工程が難しく手間がかかります。
素人が行うのは困難で、エンジンの分解時に無理な力を加えると、エンジンにダメージを与えて性能を悪化させてしまう場合があります。
オーバーホールはプロの専門業者に依頼するのが一般的ですが、費用が高額になります。エンジンオーバーホールの費用は、原付など構造な簡単なエンジンでも12万円〜と高額です。大型バイクや、技術力を売りにしたチューニングショップでは30万円〜100万円ほどの費用がかかる場合があります。
エンジン載せ換えや新しいバイクに買い換えた方が安くなるケースが多いです。バイクのエンジンオーバーホールは、廃盤モデルなど同じ車種の購入が手軽にできない場合で、なおかつ愛車に愛着とこだわりが強い方が利用しています。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
こちらの記事もあわせてどうぞ
- バイクを持つ
- 「バイクを持つ」では、バイクの購入方法、メンテナンス、保管方法、税金・保険・車検などの維持費について紹介しています。
バイクを持つ - メーカーごとのバイク車種一覧とその特徴
- メーカーごとにバイクの車種の特徴や、販売金額、売却予想金額などをまとめました。
メーカーごとのバイク車種一覧とその特徴 - バイクの最新ニュース
- バイクの新型モデル情報、バイクグッズや法律動向などバイクに関わるバイク業界関連情報、バイクレース情報の最新ニュースを紹介しています。
バイクの最新ニュース