一見さんお断りのバイク修理業者との付き合い方
一部の小規模のバイク業者では、そのお店で購入や整備を利用していない一見さん(新規客)のバイクメンテナンスを断っているケースがあります。
ここでは、業者は一見客を断る理由や、遠方の業者、個人売買などでバイクを買うときの整備業者の選び方をまとめました。
一見さんお断りのバイク業者は、個人経営の小規模業者でよく見られます。
全ての小規模業者が一見さんお断りをしているワケではなく、客を選ばず手厚い対応をしてくれる業者も多数あります。
また、大手の中では店舗によって対応が異なりますが、中古バイク販売最大手のレッドバロンも他店購入バイクの整備を断ることで有名です。
バイクのメンテナンス先に不安を感じたら、一見さんでも断ることのない、大手量販店(NAP’Sや2りんかんなど)や大手ディーラー系(ホンダドリームやYSP店など)を利用すると良いでしょう。
このページの目次です
一見客を断る理由
なぜ一部のバイク業者は一見客を断っているのか理由を把握しましょう。理由が分かれば、店構えを見て断られそうなバイク屋を判断できる場合もあります。
一見客を断る業者は主に次の3つのパターンがあります。
・既存客の対応で追われるなど、顧客を増やすキャパがない
・利用するか分からないお客の対応で見積もり時間を取られることを嫌う
・販売と整備をセットで考えている
キャパーオーバーしているバイク業者
大手のレッドバロンの場合、自社でバイクを買っていないお客の対応をすると、自社(グループ店)でバイクを買ってくれたユーザーの対応が疎かになってしまうことを懸念して一見客を懸念しています。
ほかにも、店の敷地が小さく、常に預かりバイクでスペースを取られていて新規受け入れのできない状況や、新聞配達などの大口顧客の整備を抱えていて、日常業務で手一杯になっている場合もあります。
大手の場合は、口コミ情報を見ても一見客を断っているのはレッドバロンのみです。ほかにも地域の大型バイク販売店でも他店購入者を断っているケースはあります。
販売よりも整備をメインにして大きい作業ブースを用意している量販店であれば、不正改造車など一部のユーザーを除いて断られることはありません。
■キャパオーバーしている業者の特徴
・レッドバロン店
・小さい店舗でいつも敷地一杯にバイクが停まっている
・頻繁に新聞配達やデリバリー業者など決まった分野のバイク整備をしている
・1人店主の個人店で常時作業を行っている
一見客そのものを嫌っているバイク業者
整備に対応できる時間や預かりスペースがあっても、個人経営の小規模業者では一見客を断るケースもあります。
理由はさまざまですが、考えられる要因は以下のパターンがあります。
・見積だけして整備をしない客を嫌う
・技量がない(オイル交換はやるけど、持ち込みタイヤ交換はしないなど)
・商売っ気がない
小規模業者は作業ブースが狭く、大手に比べて作業効率が悪い場合や、店主の整備技術が低いケースもあります。
一般的なバイク整備の工賃は時間単価5〜6千円を基準にしていて、バイクメーカーが車種ごとに用意するサービスマニュアル(整備の取扱説明書のようなもの)にも作業に応じた工賃表を記載しています。
日々、多くの整備業務を行っている大手の場合はブースが整っていて、どんな作業でも効率良く対応できます。小規模業者の場合は、タイヤ交換をやる場合は作業場を片付けて必要な道具を掘り起こす手間が発生する場合もあります。
日常的にオイル交換や定期点検、車検など効率良く稼げる仕事をくれるお客であれば、面倒な作業も対応しますが、一見客やネット通販で部品を買った持ち込みユーザーは断わる場合もあります。
また業者によっては、販売、オイル交換、点検、車検業務が業務の大半を占めて、その他の修理は特定の優良顧客しか対応しない場合もあります。日常的に幅広い修理を行っていなければ、サービスマニュアルを見ながら作業を進めることになり、工賃に対しての時間効率が悪くなってしまいます。
また、明らかにバイクを買って間もない初心者ライダーの場合は、部品代や工賃の相場を把握していなく、見積を出しても検討するといって持ち帰って大手量販店に流れてしまうケースもあります。
見積を取るまでの検査に時間をかけてしまう業者や、一見客の対応をしなくても生活できる売上を確保していて商売っ気のない店主の場合は、お客を見て内容を問わず断ってしまうこともあります。
■一見客を嫌うバイク業者の特徴
・1人で運営している
・販売も行っている
・店主の見た目が頑固
・タイヤ交換を行う設備が整っているように見えない
・整備していてもコンプレッサーが動いている音が聞こえない
・店構えがボロい
・不定期に休んでいる
・近隣にライバル店がある
一見客お断りの業者は技術力が高いとは限らない
既存顧客の対応しかしないバイク業者は整備に関する技術力が高いとは限りません。長年経営をしているベテランの店主であることがほとんどですが、最近の電子制御やインジェクションのバイク整備を苦手にしている場合もあります。
なかには、簡単な整備しかしていなく難しい修理をできないなど、技術力が若手メカニック中心の大手より劣っているケースもあります。
愛車を確実に手入れしてもらう意味でも、家から近いという理由で一見客を断っているバイク業者にこだわるのではなく、整備に専門性の高い業者を選んで利用するとよいでしょう。
バイク販売は儲からない
バイクは車に比べて単価が安く、利益率も低い傾向があります。また車のようにカーナビやエアロパーツ、快適装備などのオプション装着率も低く、最低限の車体と登録手数料の利益しか得られません。
中古バイクの場合は、自社で仕入れから販売まで行えば利益は出ますが、オークションなど外部から仕入れて適性相場で販売すれば利益率は限られています。販売だけで経営するには、薄利多売で相応の台数を稼がないといけません。
あくまでもサービスマニュアルに記載されている作業時間で対応できる技術力のあることが前提ですが、バイクは販売よりも整備の方が儲かります。
つまり、一見客でも安定して整備依頼をしてくれるのであれば、バイク屋から見れば美味しいお客なのです。しかし、バイク業界は頑固で職人気質の人が多いです。自社で販売をして、整備は利用してくれないお客のことを嫌うために、一見客は対応しない対応をしているケースもあります。
横の繋がりも強い業界なので、一見客にはどこで買ったのか聞いて、○○店で買ったバイクは断るけど、△△店で買ったバイクなら対応するなど購入場所で客を選ぶこともあります。近隣の業者とライバル関係にあるだけではなく、近隣の業者のことをよく思っているからこそ、○○店で買ったバイクを整備だけうちが行うのは失礼だと思って断ることもあります。
一見客お断りの業者にどうしても整備を依頼したい場合
一見客お断りの業者は無理に利用せずに、量販店やディーラーなど違う業者を使うこともオススメです。しかし、お住まいの地域では手軽に利用できる場所にひとつしか店舗がなかったり、メンテナンスのための移動時間をかけられない場合もあります。
小規模業者は一見客は断るけど既存顧客は近隣を条件に無料で納車、引き取りをしてくれたり、些細な調整は無料で行ってくれるなど融通の利く面もあります。一見客を断る業者や、他店で買ったバイクの整備持ち込みに嫌な顔をされそうな小規模業者を利用したい場合は、バイクを買った経緯や今後継続的にお世話になりたい旨をしっかり伝えましょう。
まず、同じエリア内でのライバル店でバイクを買った場合は整備をお願いしたい近所のバイク屋と接点がある可能性もあります。使いたいバイク屋の名前は伏せてもいいので、買うときに「メンテナンスで通う時間を取れないのですが、うちの近くで良い業者知りませんか?」と聞いていみましょう。
第一候補に挙げていたバイク屋を紹介してもらえなかったり、「勝手に探しな」などとスルーされることもあります。しかし、バイクを買うときに遠いので近くのバイク屋を使いたい意思表示をしておけば、後から業者同士の横の繋がりでモメるリスクが軽減されます。
あとは近所のバイク屋に持ち込むときに、「どうしても欲しい車種が○○店にあって買ったのですが、お店の人とも話をしてメンテナンスで通えないので家の近くでバイクを見てくれる所を探しています」などと伝えましょう。確実に対応してもらえるかは分かりませんが、理由を添えずに「整備してくれませんか?」と整備依頼するより好印象です。
小規模業者が嫌がるのはヤフオクなどの個人売買です。販売店で買うよりも個人売買の方が安く流通しているので、どうせ買い替えはうちから買ってくれないと思われますし、個人売買で買ったバイクは状態が悪くて嫌がるバイク屋もいます。
根本的に購入後のメンテナンス先で希望が強いのであれば、個人売買で買うことはオススメできません。ネットで買ったと伝えるよりも、友人から譲ってもらったと伝えた方が対応してもらいやすいです。バイク業界は狭い業界なので、近所の知り合いではなく少し離れた知人や親戚から譲ってもらったと伝えるとよいでしょう。
ただし、基本的にはバイク屋に長い付き合いをしたい旨をアピールして誠意を伝える必要があります。
嘘の理由で納得させるのではなく、家から近くて安心できる業者で整備をお願いしたい気持ちを謙虚に伝えることが1番大切です。
おわりに
バイク屋は店主の人柄が重要で、人気の高いバイク屋は従業員も集まりますし一見客を断るケースは少ないです。どちらかというと、クセが強くて好かれることもあれば嫌われることもあるような店主のバイク屋が、客を選んだり一見客断りのルールを作っています。
私は一見客お断りの業者に当たった経験はなく、これまで4〜5箇所の個人経営店を利用した経験があります。店主と馬が合いそうな場合は、一見客でも会話をしていく中で受け入れられることもありますし、誠意を見せても受け入れられないのであれば、その先利用しても良い対応を期待できません。
近さや安さだけではなく、バイク屋の店主やスタッフと上手く付き合っていけそうかも業者選びの判断材料にするとよいでしょう。
整備先に不安があれば、購入する時点で整備先のことを相談したり、一度在庫を置いていなくても近くのバイク屋に購入相談で伺ってみるなど事前に対策を取っていくとよいでしょう。
バイク屋も人間なので、筋の通ったお客は優遇しますし、いきなり来て「整備してください」と理由も添えずに言ってくるお客は警戒するものです。
例外として、ハーレーや改造バイク、旧車、競技専用車など専門性のあるバイクや販売店は、ジャンルの違うバイクの整備は対応できません。たとえばハーレーの場合は街のバイクやでは受け入れ拒否されることもありますし、ハーレーのディーラーに国産バイクを持って行っても断られます。
根本的にバイクと整備業者の専門分野に合致しているかも確認しておきましょう。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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