ファミリーバイク特約のメリット・デメリット
現在、バイク業界は125cc以下の原付バイク(1種・2種)が流行しています。
こういった原付バイクの魅力は維持費の安さです。
特に任意保険をファミリーバイク特約で対応できる点は、126cc以上の自動二輪に比べて大きなメリットになります。
このページの目次です
ファミリーバイク特約とは
バイクで公道を走るには自賠責保険の加入が義務付けられています。
しかし、自賠責保険は対人賠償のみの被害者救済を目的にした保険です。
また、対人賠償には次の通り上限金が設定されています。
死亡補償 | 3,000万円 |
---|---|
後遺症障害 | 4,000万円 |
障害による損害 | 120万円 |
そのため、人身事故を起こした場合に全ての補償を自賠責保険から支払われない可能性があります。
また対物賠償や搭乗者障害の補償が一切ないため、万が一の事故を起こした際に、自賠責保険にしか加入していないと多額の賠償責任を負う場合があります。
そのため、バイクで公道を走るには、対人・対物無制限を含めた任意保険に加入する事が望ましいです。
しかし、任意保険はバイク単体で加入すると、新規等級や年齢条件によっては保険料の負担が大きくなります。
任意保険の保険料の一例
三井ダイレクトで26歳以下、6等級新規、250ccクラスで申し込みをした場合
対人賠償 | 対物賠償 | 搭乗者障害 | 人身障害 | 保険料 | |
---|---|---|---|---|---|
エコノミープラン | 無制限 | 1,000万円 | 200万円 | なし | 年間36,440円 |
スタンダートプラン | 無制限 | 2,000万円 | 500万円 | 3,000万円 | 年間86,430円 |
プレミアムプラン | 無制限 | 無制限 | 500万円 | 3,000万円 | 年間104,860円 |
自動車保険とのセットを条件に格安で加入できるファミリーバイク特約
ファミリーバイク特約は、バイク保険ではなく自動車保険の特約です。
つまり自動車保険に本人もしくは親族が加入していないと、ファミリーバイク特約を利用できません。
自動車保険のファミリーバイク特約の補償範囲は次の通りです。
・記名被保険者
・記名被保険者の配偶者(内縁を含みます。以下同じ)
・記名被保険者またはその配偶者の同居の親族
・記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
自動車保険に年齢条件や運転者限定を付けていても、ファミリーバイク特約は上記の条件を満たせば保険の適用を受けられます。
つまり、本人か同居の親族が自動車保険に加入しているか、独身で別居している親が自動車保険に加入している場合は、ファミリーバイク特約を付けた時点で自動的にバイクの補償もされます。
ただし、ファミリーバイク特約の補償範囲は125cc以下の原付バイクのみです。
ファミリーバイク特約の補償内容
ファミリーバイク特約は主に「自損タイプ」と「人身障害タイプ」の2種類があります。
ファミリーバイク特約の補償内容は次の通りです。
●対象となるバイク
(1)総排気量125cc以下の二輪の自動車
(2)総排気量50cc以下の三輪以上の自動車
●1家庭で2台以上所有している場合、すべての(1)(2)のバイク
●他人から借用した(1)(2)のバイク
つまり、バイクの所有者とは関係なく、記名被保険者から見て、本人、同居の親族、別居の未婚の子が原付バイクで事故を起こした際は全て補償の対象内になります。
●補償内容
対人賠償 無制限
対物賠償 無制限
自損事故障害 上限1,500万円
人身障害 任意セット(上限金は自動車保険の人身障害と連動)
このように、ファミリーバイク特約は対人、対物の相手方への賠償が無制限で補償されます。
人身タイプにすると、他の車に巻き込まれた事故など幅広い補償を受けられますが、保険料が高くなります。
ファミリーバイク特約の保険料
ファミリーバイク特約は、自動車保険の等級や年齢条件に関係なく保険会社ごとに一律で料金設定されます。
保険料の相場は、自損タイプで5千円〜8千円。人身障害タイプは1万円〜1万5千円ほどです。
人身障害タイプは、自動車保険にも人身障害をセットしていないと設定できません。
等級や年齢条件に関係ない特性上、はじめてバイクを購入した26歳以下で自分自身や親の自動車保険のファミリーバイク特約を活用できれば、新規で任意保険(バイク保険)に加入するより大幅に保険量を節約できます。
長くバイクに乗るなら、バイク保険に加入した方がお得な場合も
ファミリーバイク特約は一律料金なので、バイクの任意保険に新規加入するより保険料が安いメリットがあります。
しかし、次のデメリットがあります。
・無事故期間が続いても等級に影響されない
・126cc以上のバイクにステップアップする時はバイク保険に新規加入しないといけない
・車両保険やバイク専用のロードサービスなどの設定がない
・バイクの任意保険でも、等級や年齢条件次第ではファミリーバイク特約より保険料が安く場合も
・車を手放して自動車保険を解約すると、ファミリーバイク特約の補償もなくなる
バイクの任意保険は新規等級では保険料が高いですが、無事故(保険未使用)を条件に毎年1つずつ等級が上がっていきます。
原付で加入していても、その後126cc以上の単車やビッグスクーターに乗り換えた時にも等級を引き継げます。
目先の保険料を見れば、ファミリーバイク特約は安いですが、長い目で見ればファミリーバイク特約ではなくバイク保険を選ぶメリットもあります。
まとめ
ファミリーバイク特約とは、自動車保険に付帯する原付バイクでの事故を補償する特約です。
補償内容は、対人賠償、対物賠償、自損事故の搭乗者障害が自動付帯で、任意で人身障害を付けられます。
特約料の相場は自損タイプで年間5千円〜7千円ほどで、バイクの任意保険に新規加入するより大幅に安いです。
ただし、125cc以下の原付バイクに限定していて車両保険やバイク用ロードサービスが無い事や、長く乗ると任意保険と比べて保険料が高くなるデメリットがあります。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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