【原付2種+サイドカー】小排気量バイク用サイドカーの特徴
近年は3輪トライクバイクがプチブームになる一方で、サイドカーを付けた大型バイクを見る機会は少なくなりました。サイドカーメーカーの大手サクマエンジニアリングでは市場の変化を受けて、250cc未満用のサイドカー製作に力を入れています。
少しずつ普及の進んでいる小排気量向けサイドカーの特徴と魅力に迫ってみました。
このページの目次です
サクマエンジニアリングでは小排気量向けサイドカーに力を入れる
サイドカーメーカー最大手のサクマエンジニアリングでは、250cc未満専用のサイドカー販売に力を入れています。250ccクラスはもちろん、グロムや原付2種スクーターなど125ccクラスのバイクにサイドカーを付ける組み合わせも人気です。
50cc超えオートバイにサイドカーをつければ3人以上乗車することも可能ですし、サイドカーに荷物を積むことで原付2種でも充実装備でキャンプツーリングすることもできます。
サクマエンジニアリング公式ホームページ:http://www.sakuma-engineering.co.jp/index.html
サイドカーのルール
サイドカーの法定ルールは50cc以下と50cc超えで変わります。
■50cc以下のバイクにサイドカーをつける場合
50ccの原付バイクにサイドカーを付けた車両は通常の原付バイクと同じ扱いになります。ヘルメットの装着義務はあり、サイドカーに人が乗車することはできず、定員は1名です。
荷物の積載に用途は限定され、積載重量は原付バイクと同じ30kgです。(バイクとサイドカー合算)。法定速度も原付バイクと同じ30kmに制限されるため、ほとんど普及していません。
■50cc超えバイクにサイドカーを付ける場合
規則の要点をまとめると以下のようになります。
・脱着可能な構造なら側車付きバイクになる
・本車に必要な免許が必要
・免許取得してすぐに2人以上での高速道路走行が可能
・法律上、最大9人乗りまで可能
駆動輪が本車にあり、側車部分を脱着可能な構造は道路運送車両法施行規則において「側車付二輪自動車」として扱われます。運転免許は本車の排気量に合ったものが必要で、普通免許(車の免許)では運転できません。
ヘルメットの着用は義務付けられ、乗車定員は車検証登録人数まで可能です。(高速道路も含む)。150cc未満は高速道路を乗れませんが、高速走行可能なバイクの場合、2人以上乗車して高速道路に乗るために必要な20歳以上で免許取得3年以上の制限はありません。
つまり、車検証の乗車定員以下であればサイドカーをつけることで、免許を取ってすぐに2人以上で高速道路を走ることが可能です。
250cc未満用のサイドカーは人の乗れるタイプで本車2人、側車1人の合計3人のりタイプが中心です。大型バイク用は2+2の合計4人乗りタイプもあります。法律上は合計9名乗りまで可能になっています。
サイドカーの車検
道路交通法では50cc超えのサイドカーは全て同じ扱いになります。公道を走らせるための登録と車検の必要性については、本車(バイク)の排気量とサイドカーの大きさによって変わってきます。
車検が不要な場合でも、陸運局や役所で側車付き車両になる旨を届出しないといけません。
■50cc〜125ccの原付バイクにサイドカーをつける手続き
管轄は市区町村の役場になります。原付バイクにサイドカーを取り付ける場合は「軽二輪側車付」への格上げ申請が必要です。(自賠責保険も軽二輪扱いになります)。
また、サイドカーの全幅は130cm以下に制限されます。サイドカーを付けた状態の写真を添付する必要はありますが、手続きは非常に簡単です。専門業者に手続きを代行した場合の手数料は5万円前後です。
■軽二輪(120超え250cc以下バイク)にサイドカーをつける手続き
サイドカーの全幅が130cm以下であれば、車検不要の「軽二輪側車付」で登録できます。
全幅130cmを超えると本車は250cc以下でも、250cc超えバイクと同じ「側車付きオートバイ」として扱われて、車両持ち込みでの登録検査や車検が必要になります。
登録時には計測と保安基準適合の確認を行い車両撮影をして陸運局へ手続きします。(一部で車両持ち込みの必要な場合もあり)。車検不要で登録手続きも簡単なのが、250cc未満用サイドカーが普及している要因です。専門業者に手続きを依頼した場合の手数料は6万円前後です。
■自動二輪(250cc超えのバイク)にサイドカーをつける場合
自動二輪にサイドカーをつける場合は、「改造自動車等の届出」を行い「側車付きオートバイ」として登録しないといけません。
改造概要等説明書、外観図、改造部分詳細図、各種計算書、各種強度計算書などの準備書類で予備検査を行い、受理されれば陸運局に車両を持ち込みして構造等変更検査を受ける流れになります。
登録までの手続きが難しくて、専門業者に手続きを依頼すると25万円前後の手数料がかかります。また、サイドカーも継続車検が必要になります。
無届でサイドカーをつけている人もいる
サイドカーは脱着可能で接合部のベースをつければ簡単に装着できます。80年代くらいまではサイドカーを無届で乗っている人も多く、警察もほとんど取り締まりをしていませんでした。
無届は当然違反で時代になり変化して、なかには本車の車検があってもサイドカーの車検が切れていると無車検で違反を取られるケースもあります。ベテランライダーは「サイドカーは車検や登録不要」と勘違いしている人もいるので注意しましょう。
小排気量バイクにサイドカーをつけるメリット
法律上は150cc超えなら3人以上で高速道路を走ることもできますが、250cc以下のバイクだとパワー不足なので高速走行はオススメしません。3人以上での移動で実用性を重視するなら、車に乗った方が良いでしょう。3人乗車の場合でも趣味の用途がメインになります。
サイドカーをつけていると注目を浴びますし、人の乗れるタイプであれば2人での移動でも本車1人とサイドカーに1人乗れば広くて快適性も上がります。バイクを寝かせて曲がるのではなくハンドルを切って曲がるので、小回りは利かないですが、転倒リスクがなく安定性の向上するメリットがあります。
250cc未満のバイクとサイドカーの組み合わせは荷物の積載需要が高いです。サクマエンジニアリングのキャリアサイドカーであれば人を乗せることもできて、オプションのロードバイク積載キャリアを積めば、旅先で自転車によるサイクリングを楽しむこともできます。
小排気量バイクはテントなど大きくて長いものの積載が不便ですが、サイドカーがあれば、荷物の積載性が大幅にパワーアップします。サイドカーに取り付けられるトレーラーもあるので、本車、サイドカー、トレーラーの3つの車両を併せ持った活用方法もあります。
サイドカーの費用
250cc未満向けの主要商品と価格をまとめました。250cc以下で車検の不要なタイプは、本体とは別に5〜10万円の取り付け調整費と構造変更火、5〜8万円の諸費用が必要です。サクマエンジニアリングは登録費用が安いのも人気の要因です。
・イオタ
価格:414,000円
人も乗せられてオプションやカスタマイズ性に優れたスタンダートモデル
・バイ
価格:400,000円
人を乗せることを目的にしたシンプルな1名用サイドカー
・タウ
価格:320,000円
150cc以下のスクーター向けサイドカー
取付費も安く低価格が魅力。125ccスクーターとの組み合わせが人気
・イプシロンS
価格:350,000円
ハーレーや250cc用の人気モデルを原付2種用の再設計したモデル。
乗り心地もよくて価格も安い人気モデル
上記で紹介したのは250cc未満用のクラシックタイプです。ほかにもスポーツ向けのイオタ2をはじめ、小排気量向けに多彩なラインナップを用意しています。
250ccの場合は上位モデルも選択肢になります。250cc未満用は150cc以下のバイク向けに開発されたタイプが中心です。オプションを付けない費用の目安は40万円〜50万円です。
おわりに
私は3人乗車できることやサイドカーに荷物を積む実用性には魅力を感じないですが、サイドカーのスタイリングや走りには興味があります。排気量やサイドカーの大きさほど、登録時の費用が高額になるので小型バイク向けサイドカーが人気になるのも納得です。脱着式であれば、3輪トライクを持つよりも使い勝手が良さそうです。
以前は250cc以下のバイクにサイドカーは無謀だと評されていましたが、バイクとサイドカー双方の性能が向上しています。125ccクラスでも、ある程度の経済力がないと保有することは難しいですが、大型バイクのサイドカーとは違う魅力を感じました。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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