バイクの逆輸入車ってどんなもの?
逆輸入車とは「逆車」と略される事もある、日本メーカーが海外向けに製造して輸出した車両を再び日本に輸入したバイクの事を言います。
バイクの逆輸入車とは?
一時期、タイホンダなどの日本メーカーが、海外工場で生産したバイクを日本に輸入した車両も逆輸入車と呼ぶ動きがありましたが、現在はそうした車両は「日本メーカーの現地生産車」と呼ばれ、逆輸入車とは呼称で差別化されています。
逆輸入車の多くはバイクで、基本的には大型バイクの100馬力を超えるようなハイパワーマシンに多いです。
なぜ、わざわざ一度海外向けに日本から出荷したバイクを再び日本へ輸入するのでしょうか?
これは、ハイパワーマシンは日本仕様では排ガス規制や騒音規制が厳しく、パワーを抑制して作る事しかできないためです。規制が緩い海外向けの車両はバイクの性能を最大限活かしているので、こうしたフルパワー化された逆輸入車の需要があるのです。
日本に逆輸入されるバイクで多いのが「カナダ仕様」「欧州(EU)仕様」などが代表的で、「インド仕様」などもあります。
日本仕様車と逆輸入車のパワーはどれだけ違うか?
2007年までは、日本の規制で1000ccを超えるバイクは100馬力までという規制がありました。
結果、ホンダのCBR1000RRで例えると、海外向けのフルパワー仕様は172馬力というモンスターマシンだったのに対して、日本仕様では94馬力と全く別のバイクと思わせるような差が生じていたのです。
スーパースポーツやメガスポーツは日本仕様車自体を発売せずに、海外モデルしか生産しない車種も多かったです。
例えば「GSX1300R隼」は日本国内でも抜群の知名度を誇るハイパワーバイクですが、2014年2月に日本仕様車が発売されるまでは、海外仕様の製造しかしておらず、2013年以前の型で国内で走っている車両は全て逆輸入車となっています。
このように規制が厳しすぎる事で、ハイパワーマシンの日本仕様車が国内で全然売れず、逆輸入車の人気が高まった事を受け、2007年にはバイクの馬力規制が廃止されました。この規制緩和に伴い、日本仕様車のフルパワー化も期待されましたが、排ガス規制や騒音規制が厳しい日本ではフルパワー化は難しく、逆輸入車の需要は衰えませんでした。
それでも2010年から欧州騒音基準が適用されるようになり、フルパワーの逆輸入車が難しくなりました。また、日本仕様車でもGSX1300R隼の日本仕様が197馬力で発売されるなど、大排気量のバイクを中心にユーザーが満足できるスペックへと変わっていくなどで、逆輸入車の新車での需要は縮小傾向にあります。
中古車市場の逆輸入車
中古車市場では逆輸入車は根強い人気があります。特に2007年以前の型は国内仕様の馬力制限がありましたので、逆輸入車とのスペックの違いは著しいです。ホンダCBR1000RRなど一部のバイクでは、国内仕様車はフルパワー化させるキットが流通して、日本仕様車のフルパワー化というのも可能でした。
それでも90年代からはじまったハイパワーマシンブームの時から、逆輸入車というのは、人気が高く新車では手に入れにくい環境にもあり、逆輸入車は、そのカテゴリー自体がブランド化されて、大型バイクを乗っている人に対して「このバイクは逆車ですか?」という質問が頻繁に行われるようになりました。
規制の緩和などで、逆輸入車と日本仕様車との性能差が縮まってきた現在でも、逆輸入車に乗った方がかっこいいと思っている人も多く、中古車市場では、パワー差以上の付加価値が逆輸入車にはあると言えます。
日本仕様車のスペック向上に伴い、この逆輸入車というカテゴリー自体のブランド力は今後衰える可能性もあるので、90年代~2000年代に発売されたフルパワーの逆輸入車というのは、見方によっては、今が売り時かもしれません。

この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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