バイクを保管する際に役立つガソリン劣化防止剤の効果

乗る機会の少ないバイクでよく見られるトラブルがガソリンの劣化と燃料タンクのサビです。
バイクを冬眠させる時は、燃料タンクの結露によるサビを防止するためにガソリン満タンにしておくのが基本です。

しかし、ガソリンは放置すると劣化してしまい、再び乗ろうとした時にエンジンのかからなくなるデメリットがあります。
放置したバイクを再始動するときはガソリンを入れ替えることで対処できますが、抜いたガソリンの処分に困ってしまいます。

オイルであれば可燃ごみで捨てられる廃オイル処理容器が売られていますが、燃えやすいガソリンを個人が自宅で処理するのは困難です。
そんな時に役立つのがガソリン劣化防止剤です。満タンにしたガソリンに劣化防止剤を入れることで、1〜2年は放置してもガソリンの劣化を防げるようになります。

ガソリンの劣化する期間

ガソリンは保管環境によって劣化スピードが変わるので明確な使用可能期間が定められていません。
ガソリンを満タンにするのは、油による防錆効果でガソリンの入っていない部分のサビを防ぐだけではなく、タンク内の空気量を少なくすることで劣化を遅くさせる効果があります。

また、ガソリンは温度変化や湿度によっても劣化スピードが変わってきます。
温度変化の少ないガレージ保管で満タン状態にして放置できる期間は長くて6カ月ほどです。

バイクの燃料キャップは車に比べて密閉性が少ない車種が多いです。
バイクの場合は正しい保管環境があっても、3〜4カ月以上放置するときはガソリン劣化防止剤の利用をオススメします。

ガソリンは1週間ほどで劣化を始める

エンジンがかからなくなったり、エンジン不調を感じるほどの劣化には数か月かかりますが、ガソリンは給油後1週間ほどで劣化を始めていきます。
1カ月経過しただけでも、ガソリンの質は大幅に低下してしまいます。

劣化したガソリンを使うと、燃焼不良を起こしてエンジンがカブったりアイドリングが安定しない症状が出ます。
目に見える不具合がなくても、劣化して酸化したガソリンは不純物が多いので、ガソリンフィルターやインジェクションを詰まらせてしまいます。

大衆車であれば、再びバイクに乗って循環させていくことで大きな汚れを吹き飛ばす効果があるので大きな問題はありません。
圧縮比が高く高効率化された大型スポーツバイク(スーパースポーツなど)は、古いガソリンを使うことで出力低下やエンジン不調などの不具合が起こりやすいです。

腐ったガソリンを処理する方法

ガソリンは腐ってエンジンを始動できない状態になっても、些細な火花などで簡単に引火してしまいます。
個人がガソリンを抜いて処理するのは非常に危険です。

なお、バイクの場合はタンクの中のガソリンだけ抜き替えても、キャブやインジェクションの中に入っているガソリンが古ければエンジンがかかりません。
キャブやインジェクションから内部のガソリンを抜けるホースがあります。
燃料コックの切り替えレバーがある時はオフにして、まずはガソリンタンクのホースからタンク内のガソリンを抜いて、その後にキャブ、インジェクション内のガソリンを抜きます。

腐ったガソリンを処理するときは、バイク屋やガソリンスタンドなどの業者を利用しましょう。
良心的な業者であれば処分料なしで対応してもらえることもあります。

しかし、エンジンのかからなくなったバイクを、業者まで持っていくのは大変です。
古くなった時は手間を少なくする目的でガソリン劣化防止剤を活用するメリットが大きいです。

ガソリン劣化防止剤の悪影響はないの?

バイク用をはじめ、トップメーカーの商品はガソリン劣化防止剤を入れたガソリンを燃やしてもフィルターや触媒に一切影響が出ない成分を使っています。
商品によって成分は違いますが、主にエタノールとイソプロパノールの混合液です。

ガソリン劣化防止剤は、特定の期間しか使わないトラクターなど農業機械で活用されることが多いです。
農業用エンジン向けに作られた安価なガソリン劣化防止剤をバイクに使うと悪い影響が出ることもあります。

必ず用途にバイクを記載されている商品を使いましょう。

オススメのガソリン劣化防止剤


MOTUL(モチュール) STABILIZER(スタビライザー) ガソリン劣化防止剤250ml
・価格:3,247円(2018年12月1日Amazon価格)

バイク用エンジンオイルを手掛けるMOTULのガソリン劣化防止剤です。
250mlですが推奨希釈濃度]が0.25vol/%なので、1本で100L分のガソリンに使えます。
20L以下であれば5回分使えるので、1回あたりの料金は約640円でコストパフォーマンスが高いです。
適切に使用すれば最大2年は劣化防止効果が続きます。


MOTOREX(モトレックス)フューエルスタビライザー125ml
・価格:1,695円(2018年12月1日楽天価格・送料込み、定価1,728円)

モトレックスはスイスのメーカーです。
車名に「モト」がつくとおり、バイク向け製品を得意にしています。ガソリン劣化防止剤は車、バイクの双方に使えますがバイクの保護成分が高いことで好評です。
1本で12Lのガソリンに使用可能。車種によっては2本購入しないといけません。
保存期間は1年になり、コストパフォーマンスは悪いですが、品質はトップクラスなのでスポーツバイクや大型バイクなどデリケートなエンジンのバイクにオススメです。


ワコーズ F-1 フューエルワン200ml
価格:1,571円(2018年12月1日Amazon価格)

フューエルワンは洗浄系燃料添加剤です。
劣化したエンジンをリフレッシュする効果に加えてガソリン劣化防止効果もあります。
ガソリン劣化防止剤に特化した商品ではないので長期放置する場合にはオススメできませんが、数か月に1回程度しか乗らないような人にオススメです。
200ml1本で、20Lから100Lの燃料に使えます。20L以下は濃度1%以下になるように使用量を調整してください。

おわりに

私もバイクを長期間放置させて、燃料タンクとキャップ付近でサビを出した経験があります。
長期間放置するときはガソリン満タンとガソリン劣化防止剤を活用しましょう。

しかし、バイクの燃料タンクは給油口のキャップ周辺が一番サビやすくて、ガソリン劣化防止剤を入れるだけでは100%サビを防ぐことはできません。
また、バイクはガソリンの劣化以外にもブレーキキャリパーの固着など放置させると様々な不具合が出ます。

適切な保管環境を作ったとしても、小まめにオイルアップやバイクを少し動かすなどの手入れとコンディション管理を行ってあげましょう。

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