Moto GPでは禁止となったバイクのウイングレットとは?

ウイングレットとはMoto-GPマシン、SBKマシンなどハイパワーの大排気量レーシングバイクに取り付けられたフェアリングシステムです。主にフロントカウルの排気ダクト側面に伸びるような形状で取り付けられています。

高速走行時にはウイングレットによってダウンフォースが生み出され、空気効率を低減させるため最高速が上がって、高速走行時の切り返しがスムーズになるメリットがあります。

2016年のMoto-GPで大流行しましたが、転倒時にライダーへ刺さる危険性から2017年シーズンは廃止になりました。2018年11月4日にはドゥカティがSBK参戦を目的に新開発したパニガーレV4Rを発表し、ウイングレットを標準装備させたことで話題になりました。

SBKでは2018年シーズンのレギュレーションより、市販車でウイングレットを標準装備している場合のみ使用を認めています。このほかにも、リッタークラスSS用の社外パーツでウイングレットを発売するケースも多く、今後の普及を期待できる新技術として注目されています。

ウイングレットは何が凄いの?

ウイングレットは補助的に取り付けられる小型ウイングの総称です。バイク用に登場したのは2016年のMOTO-GPマシンが最初でしたが、飛行機やレーシングカーでは幅広く使われてきた技術です。

飛行機の場合は主翼に取り付けた「小さい翼」のことをウイングレットと呼びます。F1では、運転席の左右に広がる膨らんだカウルの部分がウイングレットです。バイクは、フロントカウルのサイドに取り付けたタイプが主流です。

バイクの場合は、まず最初にフロントカウルの先端が風を受けて、それを上下左右にかき分けていきます。新幹線の運転席が長いように、先端の面を小さくすることで空気抵抗を低減できます。

しかし、バイクの場合はフロントカウルでかき分けた空気抵抗が再びバイクやライダーの方に戻ってきてしまいます。フロントカウルの先端で受けた空気が最終的にはライダーやテールカウルの後ろから流れていくような形です。サイドカウルやテールカウル、ライダーのヘルメットなどで空気がスムーズに通るような工夫をしていますが、空気の抵抗を幅広い面積で受けているので効率が悪いです。

※以下のURLの下から4枚目と5枚目のようなイメージ
http://tom-zo-chiraura.blogspot.com/2017/03/blog-post.html

左右にウイングレットをバイクから突き出すように設置することで、空気をバイクから離れた場所にかき分けて抵抗を少なくするとともに、空気をウイングレットから上側に流すことでダウンフォースを得られる仕組みです。

ライダーからの評判が非常に高く、市販車でも時速180kmくらいで効果を実感できる口コミも見られます。ちなみにネット通販でYZF-R25/R3用のウイングレットが5,000円ほどで売られていますが、レビュー評価は低く250ccクラスでは意味がないようです。

ウイングレットは魚の形状からヒントを得た?

バイクのウイングレットは魚の形状からヒントを得たとされています。泳ぎの得意な魚は、背びれ、尾びれとは別に胴体の横側に小さい胸びれが付いています。魚は長い年月をかけて水中の抵抗を少なくするように進化してきました。胸びれは不要で小さくなったものではなく、背びれ、尾びれがメインだけど、側面にも胸びれを付けることで抵抗をより低減できる必要なものです。

バイクを魚に例えると、一番大きな抵抗を受ける背びれの部分がフロントカウル、泳ぐ際に重要になる尾びれは吸気口、マフラー、テールカウルを合わせたようなものです。そして小さいけど抵抗を減らすために重要な役割を持っているのが胸びれにあたるウイングレットです。

空気抵抗を極限まで良くするには、楕円形で側面には何も凹凸がない形が理想です。しかし、魚の形状を見ると胸びれや背びれ、ウロコなどで凹凸が付いていて、抵抗のある中を効率よく進むには空気を綺麗に流す凹凸が必要です。

ウイングレットは危険なの?

2017年シーズンのMoto-GPでウイングレット禁止になった理由は諸説ありますが、一部で開発の遅れていたメーカーからのイチャモンと見る動きがあります。ウイングレットのパイオニアと呼べるドゥカティを妬むメーカーが、危険性を訴えて禁止になった経緯があります。

危険な理由は転倒時にライダーへ刺さることへの懸念です。2016年シーズンのレギュレーションでも先端を鋭利にしてはいけない決まりがありましたが、これまでの事例でウイングレットを理由にケガをした転倒やクラッシュはありません。

Moto-GPでは2017年に続いて2018年シーズンもウイングレットが禁止になりましたが、各メーカーはカウルの中にウイングレットと同じ構造を取り入れるダイナミックフェアリングの開発に積極的です。SBKではレギュレーション上、2018年シーズンから認められて、2019年シーズンよりドゥカティのパニガーレV4Rが初採用される見込みです。

現時点での危険性は不透明ですが、形状や素材、強度に適切なルールを作れば問題ないでしょう。ただし、ウイングレットの恩恵を得られるのはサーキットでの高速走行のみです。市販車に実績の低い3流メーカーの社外品ウイングレットを付けて、私服でバイクに乗るとライダーに刺さってケガをするリスクがあるので注意しましょう。

ウイングレットで得られる相乗効果

ウイングレットを取り付けることで、空気抵抗が良くなり空気が上ではなく横に流れる割合が多くなります。空気抵抗軽減によってフロントカウルとスクリーンを小型化することが可能になります。

また、空気抵抗の軽減効果が高くても、ラジエターの排風熱を確保できないケースがあります。空気抵抗を良くするためには、カウルで覆う必要があるのですが、ウイングレットを付けることで空気抵抗、エンジン吸気、排気熱確保の3つを両立しやすくなります。

つまり、ウイングレットの効果を最大限発揮するには、既存のバイクに後付けするのではなく、ウイングレットの効果を踏まえてカウルやスクリーンを専用開発する必要があります。市販車の公道走行では効果を実感できなくても、Moto-GPやSBKの時速300kmオーバーの世界では、ちょっとした空気抵抗や効率の向上で大きな効果を得られます。

おわりに

Moto-GPでは未だにウイングレットの使用許可を巡り議論を繰り返していますが、走行中においてのデメリットは一切ない装備です。飛行機や魚の構造からも必要性の立証されているものなので、近い将来はMoto-GPでも再び使用可能になると予想しています。

安全性の確保など問題はありますが、この先数年で今まで以上に普及していくでしょう。近い将来は国産のスーパースポーツなど市販車でも普及していく装備になると予想します。

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