Moto-GP、SBK合同テストでトップ!ジョナサン・レイとカワサキの実力

2017年11月22日〜24日にスペインのヘレスサーキットで、MOTO-GPとSBKの合同テストが行われ、SBKのジョナサン・レイ(カワサキ)がMOTO-GPマシンを差し置いて3日目のテストでトップタイムを叩き出しました。2016年の合同テストでも、最終日はジョナサン・レイがトップタイムを記録しています。

総合的に見ればMOTO-GPマシンより速いと断言できるものではないですが、同じコンディションの条件で、SBKマシンでMOTO-GPマシンより速いタイムを出すのはすごいことです。SBKライダーの中ではジャナサン・レイだけ異次元の速さを見せていました。

カワサキはMOTO-GPに参戦せずにWSBK(ワールドスーパーバイク)に注力して、2015年から3年連続でジョナサン・レイがチャンピオンを獲得しています。もしかしたら、ライダーの実力だけで見ればジョナサン・レイが世界最速かもしれません。

カワサキとジョナサン・レイがMOTO-GPに参戦しない理由も含めて、SBKマシンが合同テストでMOTO-GPマシンのタイムを上回った珍事の理由を検証しました。

MOTO-GP、SBK合同テストの結果

MOTO-GPとSBKの合同テストは、毎年11月後半のオフシーズンに開催されています。すべてのMOTO-GPチームが参戦しているわけではなく、下位のファクトリーチームやサテライトチーム中心に8チームがテストをしました。

MOTO-GPチームの中では、2017年シーズンで最後までチャンピオン争いをした、ドヴィツィオーゾ要する「ドゥカティチーム」が唯一のトップチームからの参戦でした。ドゥカティチームの主力は2日目で合同テストから撤退していて、ドライコンディションが続いた3日間のテストの中ではドヴィツィオーゾ、ロレンソのドゥカティ勢がトップタイムを出しています。

なお、マルケスを要して2017年を優勝した「レプソルホンダ」は、12月3日にツインリンクもてぎで開催される「Honda Racing THANKS Day 2017」に参戦予定で、年内のテストを行わないと発表しています。

「モビスター・ヤマハ・Motogp」と「モンスター・ヤマハ・テック3」のヤマハ系2チームは、27日からセパン・インターナショナル・サーキットでプライベートテストを行うことを理由に、合同テストには参加していません。

合同テストの主要タイムと、ヘレスサーキットでの参考タイム

■合同テスト3日目
1位:ジョナサンレイ(カワサキ・SBK) 1分37秒996
2位:アンドレア・イアンノーネ(スズキ・MOTO-GP) 1分38秒030
3位:ポル・エスパルガロ(KTM・MOTO-GP)  1分38秒230
4位:アレックス・リンス(スズキ・MOTO-GP) 1分38秒307
5位:トム・サイクス(カワサキ・SBK)    1分38秒326
6位:ダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ・MOTO-GP) 1分38秒607
7位:アレックス・ロウズ(ヤマハ・SBK)   1分38秒622
8位:ブラドリー・スミス(KTM・MOTO-GP)  1分38秒688
9位:スコット・レディング(アプリリア・MOTO-GP) 1分38秒778
10位:ジャック・ミラー(ドゥカティ・MOTO-GP) 1分38秒998
11位:レオン・キャミア(ホンダ・SBK) 1分39秒333
12位:チャビ・フォレズ(ドゥカティ・SBK) 1分39秒384

■合同テスト2日目
1位:アンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・MOTO-GP)  1分37秒663
2位:カル・クラッチロー(LCRホンダ・MOTO-GP)     1分37秒818
3位:ホルへ・ロレンソ(ドゥカティ・MOTO-GP)      1分37秒921
4位:アンドレア・イアンノーネ(スズキ・MOTO-GP)   1分38秒067
10位:中上 貴晶(LCRホンダ・MOTO-GP)         1分38秒992
15位:マルコ・メランドリ(ドゥカティ・SBK)      1分39秒663 (2日目のSBK最高タイム)
※ジョナサン・レイは2日目のテスト未実施

■合同テスト1日目
1位:アンドレア・イアンノーネ(スズキ・MOTO-GP)   1分38秒280
6位:トム・サイクス(カワサキ・SBK)         1分38秒735
8位:ジョナサンレイ(カワサキ・SBK)         1分39秒050
11位:中上 貴晶(LCRホンダ・MOTO-GP)         1分39秒584

■ジョナサン・レイ選手2016年MOTO-GP・SBK合同テストでのベストラップ
3日目全体1位:ジョナサンレイ(カワサキ・SBK) 1分38秒721

■MOTO-GP2017第4戦スペインGP(ヘレスサーキット・ドライ)
決勝レース・ファステストラップ:ダニ・ペドロサ(ホンダ)  1分40秒243
予選・ファステストラップ(Q2):ダニ・ペドロサ(ホンダ)  1分38秒249

■WSBK第12戦スペインラウンド(ヘレスサーキット・ドライ)
レース1決勝・ファステストラップ:マルコ・メランドリ(ドゥカティ) 1分40秒938(SBKでのコースレコード)
レース1予選・ファステストラップ:マルコ・メランドリ(ドゥカティ) 1分38秒960

MOTO-GPマシンとSBKマシンの性能差は年々減少

MOTO-GPマシンは年々レギュレーションが厳しくなり、2016年よりタイヤはミシュランのワンメイクになりました。前年まではブリジストンのワンメイクでしたが、ほぼ完成されていたブリジストンから発展途上のミシュランに変わって、MOTO−GPの平均タイムは遅くなりました。

また、MOTO-GPはECU(コンピューター)の共通化を行ったことも、各チームが苦戦をする要因になっています。つまり、MOTO-GPマシンはここ数年タイムが全盛期に比べて若干落ちています。

もちろん、まだSBKのマシンがMOTO-GPに追いついたと断言するのは早く、ポテンシャルや歴代のタイムを見るとMOTO-GPマシンの方が速いです。それでもSBKマシンは年々タイムを上げていて、ジョナサン・レイは合同テストで昨年よりも1秒近くもタイムをあげました
2017年のセレスサーキットで開催されたレースのタイムを見てもMOTO-GPとSBKで大差はなく、ドゥカティのメランドリ選手によってコースレコードを更新しています。

MOTOーGPマシンとSBKマシンの違い

●ZX10-RR

●RC213V

MOTO-GPマシンはレースのためだけに造られた「専用マシン」で、SBKマシンは市販車ベースの「カスタムマシン」です。
SBKマシンは、市販車として150台以上販売した実績のある車両に限定され、主にリッタークラススーパースポーツマシンを使用しています。チャンピオンを獲得しているカワサキは「ZX-10RR」、ホンダは「CBR1000RR」、ヤマハは「YZF-R1」など馴染みのある車種で2017年シーズンを参戦していました。

エンジンについては、MOTO-GPとSBKともに1,000cc以下のレギュレーションがあり、MOTO-GPマシンはリッターエンジンでは最適とされるV型エンジンが主流です。
2017年チャンピオンを獲得したホンダのRC-213Vは最高出力は推定230馬力と言われています。
SBKマシンはアプリリアなど海外メーカーはV型エンジンの使用をしていますが、国産メーカーはコストパフォーマンスに優れた直列もしくは並列4気筒エンジンを使用しています。カワサキのZX-10Rも例外ではなく、並列4気筒エンジンでありながら市販車ベースでも最高出力は209PS(2017年モデルのスペックでは出力情報NA)で、レース用はMOTO-GPに迫るハイパワーを出しています。

レギュレーションが緩いと資金力とノウハウが豊富な既存のトップチームに付け入るスキがなく、新規メーカーの参入が厳しくなるため、MOTO-GPのレギュレーションを年々厳しくして、敷居を下げるようにしています。

2017年シーズンのレギュレーションではタイヤのワンメイク化、共通ECU、ウイングレットの禁止などのルールを新設しています。2017年シーズンを見るとマシンの性能差が少なくなったことで、「マルケスVSドヴィツィオーゾ」といった熱いバトルも増えて、レギュレーション改革は成功していると評価できます。

SBKはMOTO-GPに比べると、メーカーごとにマシンの性能差が顕著に現れていますが、実用的ではない高コストパーツを禁止にして、市販バイクの発展を目的にしたレギュレーションで、各メーカーが凌ぎを削っています。

ECUについては、各メーカーで車種ごとに改良した専用ECUを使用していますが、ファクトリーチームとプライベートチームの差をなくすために、ファクトリーチームのECUのデータはプライベートチームにも明示するルールになっています。

カワサキとジョナサン・レイがMOTO-GPに参戦しない理由

カワサキがWSBKで成功した要因は、MOTO-GPに参戦せずに、WSBKに標準を合わせてマシンの開発に力を入れた点です。ここ最近のカワサキの技術力であれば、MOTO-GPに参戦してもトップチームに入れるポテンシャルを感じられます。

しかし、レース専用マシンに特化したMOTO-GPでは市販車にフィードバックできない技術も多く、無駄なコストがかかることを懸念した結果、カワサキはMOTO-GPに参戦しない選択を取っています

他のメーカーはMOTO-GPで得たノウハウを市販車にフィードバックさせていますが、カワサキはレースレギュレーションを度外視したH2Rなど公道走行できないマシンを開発して、市販車の開発に役立てる独自路線を進んでいます。WSBKの戦歴や市販車の売れ行き・評価を見ると、カワサキの斬新な発想は成功していると評価できます。

チャンピオン・ライダーのジョナサン・レイも、考え方はメーカー(カワサキ)と同じで、市販車にフィードバックできる要素が大きく、カワサキのような世界的に見るとシェアの少ないメーカーでも戦えるSBKのカテゴリーにこだわりを持っています。
現在のジョナサン・レイの実績があれば、MOTO-GP移籍を希望すれば、TOPクラスのファクトリーチームからオフォーが殺到するでしょう。現時点では2018年もカワサキとの契約が残っていて、本人によるコメント(2017年9月)では、来年の契約満了後もカワサキとの延長を希望しています。
ジョナサン・レイからも「現時点ではレギュレーションが限定的で、シームレスギアなんて高すぎるし、市販機には絶対に使わないでしょうし、やるだけの価値は無いと思います」とMOTO-GPを批判するコメントを出しています。
(参考:https://motorcycle-rider-news.blogspot.jp/2017/09/motogpwsbk.html)

現時点では、総合的にSBKマシンよりMOTO-GPマシンの方が速いと断言できますが、SBKマシンの進化が続いてMOTO-GPのレギュレーションが厳しくなれば、SBKマシンとの差が全くないと言われる時代が来るかもしれません。MOTO-GPもSBKの進化に煽られていて、今後はレギュレーションを緩くする改革をしてくる可能性があります。

MOTO-GPの前進になったWGPは、かつては市販車をベースにしたカスタムマシンも参戦していた時代がありました。カワサキとジョナサンレイも、市販車ベースでMOTO-GPにも参戦できるレギュレーションを希望しています。
10年前であれば考えられない話ですが、市販のリッタークラススーパースポーツでも200馬力オーバーが当たり前の時代に進化して、現実味のある話に変わってきました。

おわりに

WSBKではMOTO-GP同等のハイレベルなレースが繰り広げられています。しかし日本では、世界最高峰のMOTO-GPに人気が集中して、SBKクラスの知名度は低いです。2003年まではSUGOでWSBKの日本ラウンドが開催されていましたが、観客の少なさを理由に日本から撤退してしまいました。

近年のカワサキやジョナサン・レイの活躍を見ると、是非日本で再びWSBKを開催してもらいたいと思っています。日本人も多数活躍しているクラスなので、バイクレース人気の高まっている現在であれば、以前よりも高い集客力を見込めるのではないでしょうか?

しかし現実的には、日本ではモータースポーツそのものの盛り上がりが低く、MOTO-GPが世界最高峰の称号を手に入れている以上、SBKクラスが大きな盛り上がりを見せるのは考えづらいです。
WSBK日本ラウンドの再開を待つよりも、カワサキやジョナサン・レイ選手が希望している、MOTO-GPでも市販車ベースの参戦を可能にするレギュレーション改革の方が現実的かもしれません。

どちらにしても、私はジョナサン・レイが、マルク・マルケスやバレンティーノ・ロッシなどのMOTO-GPのトップライダーと、ガチのバトルをする姿を見てみたいと強く願っています。

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