DUCATI新型パニガーレに搭載予定の新開発V4エンジン情報

2017年9月7日にイタリアのスポーツバイクメーカー「DUCATI(ドゥカティ)」から、フラッグシップモデルのパニガーレの新型に搭載予定の新開発V4エンジンの発表イベントがありました。

近年のドゥカティは世界最高峰のバイクレースのMOTO-GPでも、直線が一番速いと評価されているメーカーで、2017年9月4日のイギリスGP終了時点では、Ducatiのドヴィツィオーゾがポイントリーダーとしてワールドチャンピオンに向けて快走しています。

市販車ベースの最速を決めるワールドスーパーバイク世界選手権(WSBK)では、2016年にパニガーレRでマニュファクチャラーランキング(メーカー別の順位)で、ドゥカティはカワサキに次ぐ2位に入っています。

MOTO-GPには4気筒エンジンを導入していますが、市販車ではメーカー初の4気筒モデルの投入になり、発表以前から話題になっていた注目エンジンです。さっそく、メーカー発表のレポートを作成しました。

DUCATIパニガーレV4の実力を徹底検証

ドゥカティはデスモセディチ・ストラダーレ(Desmosedici Stradale)と名付けた新型V4エンジンを開発し、将来のハイパフォーマンスモデルに搭載すると発表しました。
2017年11月5日には、新型V4エンジンを搭載した、新型パニガーレを発表予定です。

デスモセディチ・ストラダーレエンジンの特徴
・MOTO-GP用マシンのデスモセディチGPで搭載しているエンジンから派生

・デスモセディチGPと同じ90度V型4気筒エンジンで42度後方に傾けたレイアウト。

・エンジンを非常にコンパクトにすることに成功し、マスを集中させてエンジンとシャシを完璧に一体型にすることが可能

・MOTO-GPマシンに採用されているカウンター・ローテーティング(逆回転)・クランクシャフト、「ツインパルス」イグニッション・システムを搭載し、俊敏な動きと制御力を両立

・一般道での走りも楽しめるように、中速域トルクを最大化、低速域のパワーとトルクを向上させた

・排気量はMOTO-GPのマシンより若干拡大させた1,103cc

・最高出力210馬力以上でユーロ4の規制に適合

・気筒あたり4本あるバルブを精密に制御する、MOTO-GPでもパフォーマンスを証明したデスモドミック・システムを採用し、コンパクト性、軽量性、洗練性の向上に貢献

・MOTO-GPマシンと同じエンジンのボアを81mmに設定。81mmはMOTO-GPレギュレーションの最大値で、給排気効率がもっとも高く、MOTO-GPマシンのエンジンに近くなることを意味している

・可変高エアインテーク・ファンネルを量販型エンジンテクノロージーへの応用に成功。あらゆる回転域にわたってシリンダーへのエア充填とパワー・デリバリーが最適。楕円スロットルボディーには、2本のインジェクターが組み込まれ、スロットル・バタフライの上下に設置。

・V型4気筒エンジンは直列4気筒エンジンよりもコンパクトでエンジン幅を短く、全面投影面積を抑える効果がある。パフォーマンスの向上とともにVバンク内のスペースにウォーターポンプやデスモセディッチ・ストラーレの効率的な吸気を促す12.8Lの大容量大型エアボックスを設置可能にした。

・MOTO-GPマシンと同じレイアウトのエンジンにできたことで、重量配分の最適化と大型ラジエターの搭載、スイングアーム・ピボットのできる限りの前方設置を可能にした

・エンジン単体重量は64.9kgで1,285ccL型2気筒スーパークアドロエンジン(現パニガーレ搭載エンジン)に比べて2.2kgの重量増に抑えた

・エンジンケースは重力鍛造アルミニウム製で、水平方向に分割、統合されている。アッパー・クランクケースには4つのアルミニウム製ニカジル・コートシリンダー・ライナーが組み込まれ摩擦低減を図っている

・エンジンの圧縮比は14.0:1でエンジンの基本設計がレーシングマシンに由来していることを意味している

・クランクシャフトピンをMOTO-GPと同じ70度オフセットにし、独特なフィーリングを体感できる

・軽量化のため、すべてのエンジンケースカバーはダイキャスト・マグネシウムを使用

・スーパークアドロを上回るパフォーマンスを誇りつつ、メンテナンスインターバルは従来モデルと同じ12ヶ月または12,000kmごとの一般整備周期

新型エンジンを簡単にまとめてみた

私はスーパースポーツバイクで富士スピードウェイの本コースを走っていた経験がありますが、それでも新型エンジンのアピールポイントを聞くと、チンプンカンプンで話についていけない部分もあります。

簡単に新開発デスモセディチ・ストラダーレエンジンをまとめると、以下の特徴があります。

・既存のパニガーレシリーズに採用されているL型ツインエンジンよりも高性能
・MOTO-GPマシンの性能に極限まで近づけた一般道走行可能な量販モデルになる
・カワサキのH2RやBMWのHP4のようなサーキットでのハイパワーに特化したモデルではなく、一般道の快適走行も両立した万能マシン
・リッタークラススーパースポーツの直列4気筒エンジンやV型4気筒エンジン搭載のライバル車種よりも、性能が高い自信がある
・V4にしても、従来のLツインとエンジン単体重量は同等で、シャシと完全一体型になるので車両重量も軽量化できる見込
・エンジン排気量は拡大して1,103ccなので適合するレースレギュレーションは少ない
・量販モデルとして、公道とサーキットそれぞれで最速を狙えるマシン

既存のLツインスーパークアドロエンジンも、ワールドスーパーバイクでトップレベルの強さを見せています。そんな中で、構造をガラリと変えた新型エンジンを投入したのは、従来モデルよりも大幅なパワーアップができたというドゥカティの自信の現れです。

Lツインの方がライバルメーカーのスーパースポーツよりも個性が強いですが、新型V4エンジンも独特なエンジンフィーリングをアピールしています。レースレギュレーションに適合していないことも考えると、2018年モデルのパニガーレシリーズは、従来と同じLツインエンジン搭載モデルと、V4エンジン搭載モデルの2本立てになると予想しています。

エンジンスペック(主要技術データ)

エンジン形式 4気筒 90°V型デスモドロミック・ハイブリッド・チェーン駆動バルブ・タイミング・システム、デュアル・オーバーヘッド・カムシャフト/DOHC16バルブ
排気量 1,103cc
ボア×ストローク 81×53.5mm
圧縮比 14.0:1
最高出力 155kW(210ps)以上/13,000rpm
最大トルク 120Nm(12.2Kgm)以上/8,750〜12,250rpm
ミッション 6速ギアボックス、ドゥカティクイックシフト(DQS)アップ/ダウン対応
クラッチ形式 湿式多板アンチパター(スリッパー)/サーボ・クラッチ
その他、主要な採用システム

・カウンター・ロテーティング(逆回転)・クランクシャフト
・ツインパルス点火シーケンス、クランクピン・オフセット:70°
・ユーロ4規制に適合
・セミ・ドライサンプ潤滑システム、オイルポンプ×4(サプライ×1、リターン×3)
・楕円スロットル・ボディ(52mm径相当)×4、可変長インテーク・ファンネル
・バルブクリアランス調整・点検間隔(デスモサービス)/24,000km毎

※メーカー発表資料によるイタリア本国仕様の数値となります。

新型パニガーレV4の価格を大胆予想

新型エンジンの発表で気になるエンジンスペックが判明し、重量についてもV4エンジン搭載モデルの中でクラストップレベル(既存のパニガーレ1299と同等水準)の軽量化がされることは分かりました。そのほか、MOTO-GPマシンの技術を惜しみなく投入しコーナリング性能の高さや操作性も高くなるでしょう。

あとは気になるのが新型パニガーレV4の販売価格です。
当サイト独自の大胆予想を紹介します。

ポイントとしては2017年モデルのパニガーレ1299(250万4千円)より高くなるのは濃厚、カワサキのH2R(594万円)やBMWのHP4RACE(1,000万円)よりは、公道も走れるような設定とエンジンやフレームの差から大幅に安くなるでしょう。注目されるのは2017年モデルのパニガーレR(399万円)に比べての価格です。

おそらく、公道向けの設定をした量販型モデルということで、パニガーレRよりも安くなると予想しています。同じイタリアメーカーのアプリリアから出ているV4エンジン搭載のRSV4RFは275万円ですが、導入されたMOTO-GP由来の最新システムを考えると、RSV4RFの水準よりも上になります。

おおよその新型パニガーレV4の予想販売価格は290万円〜350万円あたり。300万円を切れば割安だと評価できるでしょう。

まとめ

独自のLツインエンジンでモータースポーツ界をリードしてきたDUCATIの新しい挑戦は非常に興味深いです。MOTO-GP技術の量販車レベルの応用は、既存車種に比べても一歩先を進んでいると評価できます。

国産メーカーのリッタークラススーパースポーツは全てコスト重視の直列4気筒エンジンを搭載していますが、エンジンの効率化という面ではV型の方が優れているのはMOTO-GPで実証済みです。新型パニガーレV4の価格やパフォーマンス次第では、国産メーカーのハイパフォーマンスエンジンの開発に転機を迎えるのではないでしょうか?

まずは、2017年11月5日に予定されている、新型パニガーレV4の正式発表を待ちたいです。

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