驚異のパワーウエイトレシオ0.82kgPS!BMW「HP4 RACE」発売
2017年7月14日、BMWMotorradから全世界750台限定の競技専用車両「HP4 RACE(エイチピーフォーレース)」の受注を始めました。2017年11月より順次納車を予定しています。
HP4 RACEは、とにかくスペックが尋常ではなく、スーパーバイク選手権(SBK)で使われているバイクと同等以上の性能を誇っています。競技用のハイスペック市販車といえば、カワサキのH2Rが有名ですが、HP4 RACEはH2Rに比べてパワーでは劣るものの、シャーシ、足回りが優れています。
BMWが出した750台限定の市販レーサーバイク「HP4 RACE」がヤバイ
HP4 RACEの特徴をまとめると以下の通りです。
・メーカー希望小売価格は税込1,000万円
・全世界750台限定でシリアルナンバーのステッカーが発行される
・全て職人によるハンドメイド製作
・世界で初めてカーボン・ファイバー製メインフレームとカーボンホイールを採用した市販車
・エンジンはBMWMotorradの精鋭チームがハンドメイドしたフルチューンで215馬力
・耐久レースおよびスーパーバイク世界選手権の仕様6.2および7.2に準じたレース用エンジンを搭載
・ブレーキ、サスペンションはスーパーバイク選手権で使用されているものと同じ
・スーパーバイク選手権でも採用されている切削加工・板金加工で製作された軽合金製吊り下げ式スイング・アーム
・レース仕様の電装システムを搭載
一般庶民では購入できないですし、乗りこなすことも難しい雲の上のようなバイクですが、市販車として発売するのは、バイク市場の技術力底上げと広告活動の目的があります。
レースレギュレーションに適合させて、世界スーパーバイク選手権やMoto-GPなど、世界最高峰のレースで走っているバイクに近い完成度を誇っています。乗り手の腕さえ良ければ、ノーマルのままでも、プロライダーやワークスが集まるレースで勝てる力を持っている最強の市販車と評価できます。
装備重量171kgでとにかく軽い
HP4 RACE最大の特徴は、カーボンフレーム・カーボンホイール・アルミタンクなど徹底した軽量化を図り、装備重量171kgと驚異的な軽量化を実現させたことです。乾燥重量は146kgで、実際に世界スーパーバイク選手権を走っているバイクよりも軽く、Moto-GPのマシンよりも若干重いくらいです。
フルチューンの215馬力のパワーに耐えられるだけの剛性を確保し、世界スーパーバイク選手権で採用されているものと同じサスペンションやブレーキシステム、電子制御を採用しています。
ちなみにカワサキのH2Rはスーパーチャージャー搭載で300馬力以上のパワーがありますが、重量は215kgとどっしりとした造りで、レース車両とは違ったコンセプトです。HP4 RACEはレース車両と同等以上の性能を誇り、購入資金さえあれば世界最高峰のレースで勝てるだけのポテンシャルがあります。
装備重量171kgに対して215馬力を発揮するので、パワーウエイトレシオは脅威の0.82kgPSです。世界スーパーバイク選手権の車両は200馬力〜210馬力ほどで重量は最低重量167kgがレースレギュレーションです。サーキットごとに設定をあわせる必要はありますが、パワーウエイトレシオで見てもレース車両と同等以上のハイスペックです。
市販車で250万円〜300万円ほどで売られているリッタークラススーパースポーツバイクは、最新モデルで装備重量200kg前後、最高出力200PS前後なのでパワーウエイトレシオや約1.0kgPSです。
YZF-R1やS1000RRに比べて30kgほど軽くてパワーも大きいので、1,000万円の価格設定もスペックや装備を見ていくと安く感じてきます。
HP4 RACEのスペック
車種名 | HP4 RACE |
---|---|
エンジン、ミッション形式 | 4ストロークDOHC並列4気筒、レーシングカムシャフト(インテーク&エキゾースト)、Pankl製コンロッド、精密にバランス調整された軽量クランクシャフト、Akrapovic製フルチタンWSBKエキゾーストシステム(職人によるハンドメイド製作) |
排気量 | 999cc |
最高出力 | 158kw(215PS)/13,900rpm |
最大トルク | 120N・m/10,000rpm |
圧縮比 | 13.7-13.9:1 |
レブリミット | 14,500rpm |
電子制御 | 2D社製ダッシュボードとデータロガーを搭載を搭載し、走行データの分析可能 ダイナミック・トラクション・コントロール(DTCでイグニッションカットの音で操作を判別し制御する エンジンブレーキをギア毎に15段階で調整可能(ウィリーコントロール付き) ピット・レーン・リミッター(ピットに入ると指定された速度でリミッターがかかる) ローンチ・コントロール(スタートのサポート) etc |
装備重量 | 171kg |
乾燥重量 | 146kg |
メインフレームフレーム | ハンドメイドカーボンフレーム(オール・カーボン・ファイバー製)重量7.8kg |
リアフレーム | セルフサポート式カーボンファイバー製リアフレーム、3段階のシート高調整機能付き |
燃料タンク | アルミ製 |
ホイール | カーボンホイール(ホイールスペーサーブッシュを圧入し、ホイール脱着が容易) |
スイングアーム | 軽合金製吊り下げ式スイング・アーム |
フロントフォーク | オーリンズ製倒立式フォークFGR30 |
リアサスペンション | オーリンズ社製スプリング・ストラットTTX36G |
ブレーキ | Brembo製GP4 PRモノブロック・ブレーキ・システム(MOTO-GP、スーパーバイク選手権と同等スペックのブレーキ) |
フロントタイヤ | 120/70 ZR17 Pirelli Diabolo Superbike Slick SC2 |
リアタイヤ | 200/60 ZR17 Pirelli Diabolo Superbike Slick SC2 |
まとめ
パワーウエイトレシオ1.0kgPSを切るだけで凄いと言われているなかで、0.82kgPSの数字を出したHP4 RACEはメーカーのこだわりを強く感じます。エンジン性能のアップはもちろん、バイクの軽量化は市販車でもこれだけできることを証明したマシンです。
HP4 RACEは車両価格が高額で手の届かない夢のマシンですし、実際に乗る機会があっても素人では性能を存分に発揮できないでしょう。また、アルミ製燃料タンクを採用するなど、一度転倒するだけで修理費用数百万円単位になりかねないので、趣味でスポーツ走行を楽しむには贅沢すぎる1台です。
買えるかどうかは別にして、レースレギュレーションに適合しつつ、これだけの高性能を売りにした特別車を出したことは、スーパースポーツを含めてバイクはまだまだ伸びしろがあることの現れでしょう。バイク好きとしては、スペックや装備を見ているだけで夢を感じられるニュースでした。
この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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