スズキのバイクレース実績、参戦状況、レーシングチームの特徴
スズキは、2000年に世界最高峰レースWGP500でチャンピオンを獲得するなど、かつては世界のトップレーシングチームでした。現在もMoto-GP、全日本ロードレース選手権(JBR)、世界トライアル選手権などにワークスチームを送り込んでいます。
世界最高峰のバイクレースMoto-GPでは、不振が続いていて、トップチームのひとつ下という位置付けになってしまっています。しかし、一歩ずつ着実に盛り返していて、近い将来は再びトップチームに返り咲く可能性もあります。
スズキのバイクレース参戦状況や過去の実績をまとめました。
このページの目次です
スズキのレーシングチーム
スズキは現在以下のレースにワークスチームを送り込んでいます。
直近のレース参戦状況と実績をまとめました。
Moto-GP | チームスズキ・エクスターとしてMoto-GPクラスに参戦。 2017年ライダー部門13位(イアンノーネ)、マニファクチャラーズ・ランキング4位、チームランキング6位。 2016年ライダー部門4位(ビニャーレス)、マニファクチャラーズ・ランキング4位、チームランキング4位。 2000年WGP500ccクラス年間ランキング1位(ケニーロバーツJr)。 |
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スーパーバイク世界選手権(SBK) | 2017年シーズン参戦せず。 2018年よりSBK復帰予定(エースライダーはトニ・エリアス)。 |
全日本ロードレース選手権(JRR) | ヨシムラスズキMOTULレーシング、チーム カガヤマ、モトマップ サプライより3チーム体制で参戦。 JSB1000(最高峰クラス)2017年シーズン年間ランキング2位(ヨシムラスズキMOTULレーシング・津田拓也。 |
FIM世界耐久選手権 | Suzuki Endurance Racing Teamとして参戦。 2016-2017シーズン2位。 |
鈴鹿8時間耐久ロードレース | 2017年7位(ヨシムラスズキMOTULレーシング)。 FIM世界耐久選手権でチャンピオン争いをかけて挑んだSuzuki Endurance Racing Teamは転倒によって18位でFIM世界耐久選手権シリーズチャンピオンを逃す。 |
モトクロス世界選手権(WMX) | MXGP(最高峰クラス)にAutotrader/ Yoshimura Suzukiとして参戦、2017年マニュファクチャラーランキング6位(6メーカー中)。 MX2クラスにTeam Suzuki World MX2として参戦、2017年ライダー部門2位(J.シーワー)、マニュファクチャラーランキング2位。 |
全日本モトクロス選手権(JMX) | Team Suzukiとして参戦。 2017年IA1(最高峰クラス)7位(深谷広一)、2016年3位、2015年チャンピオン。 |
AMAスーパークロス | RCHスズキとして参戦。 2017年シーズンランキング圏外。 2010年チャンピオン獲得(ライアン・ダンジー)。 |
アジアロードレース選手権 | スズキの若手ライダー育成・発掘プログラムにあたるSAC(スズキアジアンチャレンジ)を開催。 |
モトクロスから撤退
スズキは2017年シーズンをもって、モトクロス世界選手権(WMX)と、全日本モトクロス選手権(JMX)の撤退を決めました。モーターサイクルビジネスの再構築を図り、コアビジネスに集中するための措置のようです。
RM-Z250、RM-Z450シリーズは引き続き生産を続けて行く予定ですが、2015年には全日本モトクロスIA1でチャンピオンを獲得する実績もあっただけに残念です。2015年よりMoto-GPに復帰しているので、開発費や予算を集中させたい狙いもあるのでしょう。
Moto-GPでの復権は可能か?
スズキは2012年よりMoto-GPから一時撤退して、2015年より復帰しました。復帰2年目の2016年にはビニャーレスが初優勝を飾り、年間ランキング4位に入る活躍を見せましたが、まだ未完成の部分も多く、シーズン途中にビニャーレスのヤマハ移籍が決まりました。
2017年シーズンはリンスとイアンノーネの2名で挑みましたが、リンスは骨折によって5戦欠場、イアンノーネもリタイヤが相次ぎ、ふがいないシーズンになってしまいました。それでも最終戦では、リンス4位、イアンノーネ6位と結果を出し、2018年シーズンにつながる内容でした。
Moto-GPに参戦しているGSX-RRについては、ライバルメーカーのワークスマシンに比べて、強みにできるポイントはないですが、大きく劣っているワケでもありません。問題になっているのは、フロントエンドをプッシュしすぎると突発的なハイスピード・クラッシュを招くリスクが高く、コーナーのエントリーまでブレーキを残す走り方ができないところです。
復帰してすぐに、発展途上のミシュランタイヤのワンメイクになったこともスズキの不運な部分です。ビニャーレスがヤマハへの移籍をすぐに決めたのも、マシンの信頼性や転倒リスクでスズキよりもヤマハの方が明らかにメリットが高かったからです。
ライダーの育成・獲得で苦戦している部分もあり、ライダーの技量と転倒リスクさえ除けば、マシンの性能差は少ないです。もしも2017年チャンピオンのマルク・マルケスがGSX-RRに乗れば、チャンピオン争いを出来る可能性も十分あるでしょう。
まずは、コンスタントに上位入賞をしつつ、マシンを理由にしたリタイヤ(転倒含む)を少なくして実績を積んでいき、リンスの育成や他のチームから優秀なライダーを獲得することが求められます。
2018年シーズンで復帰4年目になり、2018年シーズン終了後は多くのトップライダーが契約満了になる時期です。2018年シーズンのチャンピオン争いは難しいかもしれないですが、シーズン全体の内容次第では、2019年より優勝争いを狙えるチームに成長してくる可能性はあります。
まとめ
スズキはレースや販売で、数年に渡りトップに君臨した黄金期はありません。しかし、スズキにはホンダやヤマハのトップメーカーの作らないようなバイクも多く、コアなファンが多いです。90年代までは油冷エンジンがスズキの代名詞のひとつで、2000年以降も、フラッグシップマシンのGSX-R1000は扱いにくいけどパワーを感じやすい特性がありました。
このほかにも、メガツアラーのパイオニアとして今でも強い人気を誇る隼や、ほぼレーサーマシンで街乗りの扱いやすさを度外視したDR-Z400なども、スズキ党からの評価が高いです。2017年にも、国産メーカーでは初の15PSエンジンで排ガス規制をクリアした「GSXーS125」を投入するなど、ニッチなジャンルに強い特性があります。
スズキファンはホンダやヤマハは優等生だけど、楽しく乗れるのはスズキという意見も多いです。現行のフラッグシップスポーツで見ると、GSX-R1000は新車で1番安く買える200PSクラスのピュアスポーツマシンです。そんなスズキが、Moto-GPの舞台でホンダやヤマハを差し置いて年間チャンピオンになれば、カッコイイと感じてしまうのは私だけでしょうか?
スズキは国内3番手に位置するバイクメーカーですが、2強と呼ばれるホンダとヤマハにはない魅力があります。私も以前はGSX-R750に乗っていたスズキ党の1人で、Moto-GPでチャンピオンを獲得する日を信じて応援していきます。
この記事を書いたのはライターのブルさん。
ベテランライダー。大型バイクから原二スクーターまで5台のバイクを乗り継いできた経験だけでなく、数々のツーリング経験、サーキット経験などバイクに関する豊富な経験を持つ。自動車業界に勤めていた経験もあり。
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