電子制御サスペンションの種類と特徴

最新のスーパースポーツバイクは「電子制御サスペンション」を搭載するケースが増えており、200万円クラスのリッタークラスで、プラス30万円出してグレードを上げると、電子制御サスペンションがつくケースもあります。

このように身近になってきている「電子制御サスペンション」ですが、実際のところ何をしてくれる機能かご存知でしょうか?
ここでは、今後さらなる普及と性能の進化を予想される、電子制御サスペンションの種類と仕組みを解説します。

電子制御サスペンションには3種類ある

電子制御サスペンションは以下の3種類に分類されます。

  • ESAサスペンション
  • セミアクティブサスペンション
  • アクティブサスペンション

この中で、現在新車に搭載されているのは「ESAサスペンション」か「セミアクティブサスペンション」です

ESAサスペンション」とは、従来手動でサスペンションの減衰力調整をしていたものを、電子制御によるボタン操作にて設定変更を可能にしたものです。現行モデルのESAサスペンションは、主にアドベンチャータイプの大型バイクに搭載されています。

セミアクティブサスペンション」は、基準になるライディングモードに応じて前後サスペンションの減衰力を設定して、それをベースに走行状況に応じてダンパー特性がリアルタイムに変化していきます。

完全なアクティブサスペンションは、目の前の路面変化など、これから起こりうる事態を予測して、サスペンションの減衰力を最適に設定する技術です。2018年1月現在、バイク用アクティブサスペンションはなく、一部の高級4輪車で採用され始めた次世代の安全技術です。

ESAサスペンションは時代遅れの機能?

ESAはエレクトニック・サスペンション・アジャスメントの略です。スポーツバイクをはじめ、現行モデルの電子制御サスペンションは「セミアクティブタイプ」が主流ですが、1番最初に登場した電子制御サスペンションは、2004年モデルのBMW・K1200Sにオプション設定されたESAタイプでした。

これは、メーターのディスプレイ上でサスペンションの設定変更すると、それに応じてメーカーの設定したモードの減衰力に自動調整するものでした。その後、プリリングロード(減衰力の細かい手動調整)も加えたESAへと発展していきます。

バイクのサスペンションは車種にもよりますが、減衰力の手動調整が可能ですが、専用工具が必要で手間がかかります。高級バイクや社外サスペンションでは「フルアジャスタブルタイプ」といって、ちょっとした工具とダイヤルによって、無段階で減衰力を調整できるタイプもあります。

ボタン操作によって減衰力を調整できるのは手動タイプよりは便利ですが、頻繁にサスペンション調整する人は限られていて、ESAサスの導入コストを考えるとメリットは限定的でした。現在は、技術の進化によってESAよりも高性能の「セミアクティブタイプ」が主流になっています

現行モデルではKTMの1190アドベンチャーなど、一部の大型アドベンチャーバイクにESAサスペンションを採用されています。オンロードとオフロードを走ることを想定したアドベンチャーバイクは、出先でサスペンションの調整を行う方も多く、ESAタイプでもいいので電子制御サスペンションは欲しいという需要も残っています。

しかし、アドベンチャータイプでもセミアクティブサスペンションの方が、高い走破性能を期待できる上級装備として普及が進んでいます。つまり、ESAサスペンションがセミアクティブサスペンションより優れているのは、基本的にはコストのみで、性能や機能性は全てにおいてセミアクティブサスペンションの方が優れていると考えて良いでしょう。

セミアクティブサスペンションは車種ごとで性能が違う

セミアクティブサスペンション」は、走行状況に応じてダンパー特性がリアルタイムで変化する構造は全てに共通していますが、ロジックや連携するセンサー、他の電子制御との関係性は車種ごとによって異なります。

電子制御サスペンションの性能は年々進化を遂げていて、現行モデルではトラクションコントロールやIMSなどと連携して、バイクを総合的に電子制御でコントロールするタイプが主流になっています。

ホンダのCBR1000RRーSPでは、OHLINS(オーリンズ)製 Smart ECシステムによる電子制御サスペンションが導入されています。世界トップクラスの高性能を誇るオーリンズのサスペンションに、スマートECシステムを導入して、あらゆる場面でサスの減衰力を最適化しています。
OHLINS製 Smart ECシステムは、以下のセンサーや機能と連携しています。

・フロントフォーク
・リアサスペンション
・トラクションコントロール
・IMU
・ABS
・ホイールスピードセンサー(前後)
・メーター
・スロットル
・ハンドルスイッチ
・SCU(サスペンションコントロールユニット)

ちなみにCBR1000RRとCBR1000RRーSPの価格差は約45万円です。SPには通常モデルからオーリンズ製電子制御サスペンションを追加したほかに、ブレンボ製フロントブレーキキャリパー、リチウムイオンバッテリー、チタン製フューエルタンクを搭載しています。
最新の電子制御サスペンションは、サスペンションそのもののランクが上がるコストを含めて、プラス30万円前後かかるのが相場です

最近では、2018年発売予定のCB125R/CB250Rなど排気量の小さいバイクにも、IMU搭載のコーナリングABSを搭載することが予定されるなど、電子制御技術の需要は拡大しています。

需要拡大と開発が進むに連れてコストも下がってきています。電子制御サスペンションは、新車価格150万円以上のバイクのみに搭載される高級装備ですが、将来的には幅広い車種に搭載されるスタンダートな装備に変わっていく可能性があります

この数年でアクティブサスが普及する可能性は低い

「アクティブサス」は、危険状況や路面コンディションの予測も行うため、カメラやレーダーを使う必要があります。車では、自動ブレーキや自動運転のために、カメラとレーダーを搭載した先進安全装備搭載車種が普及しています。

バイクの場合は、自動ブレーキをはじめ安全装備の開発は車に比べて遅れています。それは二輪で走る特性上、自動ブレーキで意図しない操作で急ブレーキがかかるとライダーがバランスを崩したりバイクの外に放り出される問題があるからです。

現時点で、バイクではカメラやレーダーを使った安全技術の実用化をほとんどできていないことを考えると、アクティブサスペンションが数年以内に普及・実用化される可能性は極めて低いと言えるでしょう。

Moto-GPは電子制御サスペンションを禁止している

2018年シーズンのレギュレーションでは、Moto-GPでは電子制御サスペンションは禁止されています。日本メーカーはレースで禁止されたことで、当初は電子制御サスペンションの開発に消極的でした。その結果、初めてESAサスとセミアクティブサスをはじめて市販車に搭載したのはBMWでした。日本メーカーは海外メーカーに比べて開発で大きく劣ってしまいます。

電子制御サスペンションが初めて登場したのは2004年のことで、現在はだいぶ技術力の差は埋まっています。それでも、CBR1000RRーSPにもあるように海外のサスペンションメーカーの電子制御サスペンションシステムに依存しているのが現状です。

KYBやショーワなど、日本のサスペンションメーカーが電子制御サスペンションに弱いのは、バイクレースに積極的な日本のバイクメーカーが、電子制御サスペンションの開発や導入に消極的だった背景があります。

おわりに

私はCBR1000RRーSPに試乗したことがありますが、試乗程度では、電子制御サスペンションの恩恵はほとんど実感できませんでした。峠のワインディングやサーキットのスポーツ走行、オフロードでの悪路走行をした際に、はじめて機能性を実感できる装備だと思います。

現時点では、ツーリング中心におとなしく乗る場合は、コストをかけて電子制御サスペンションを付ける価値は低いです。ただし、現時点では高級装備として認知度も高まっているので、電子制御サス付きというだけで、良いバイクを乗っているという周囲へのアピールになります。

本当に電子制御の技術に惚れ込んで、手動設定したサスペンションだけでは対応できないと思って電子制御サスペンション付きバイクを買っている人は少ないでしょう。

バイクの場合は、アクティブサスペンションといった車で普及を予想されている進化ではなく、ホンダが開発している転ばないバイクのように、二輪車ならではの特性を活かした進化をしていくと予想します。

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