バイクの仕組み・構造の基礎知識

バイクの構造の仕組みを多少なりとも理解しておくと、バイクのメンテナンスや改造、安全なライディングに役立ちます。

このページでは、バイクの構造について全く分からないという方のために、極力バイク用語や細かい部品の名称を使わずに、バイクが走る、止まる、曲がる仕組みを解説しています。

バイクの仕組み、構造

バイクが動く仕組み

バイクが動くため仕組みを簡単にまとめると次のようになります。

  1. エンジン内部でガソリンを爆発させてピストン(爆発の力で上下運動するエンジンの主要部品)を動かす
  2. エンジンの爆発で動いたピストンの力を使って、クランクと呼ばれるタイヤに回す動力の根源となる部品を動かす
  3. クランクからベルトやチェーンの駆動系に伝わってタイヤが動き出す
さらにバイクには、様々な部品が使用されていて、それぞれが必要な役割をこなすことで安全に動くことができます。

バイクの主な部位の名前と役割

バイクの主要部を紹介します。

部位の名称役割
クラッチクランクが動いている力をギアに力を伝わらせるON・OFF機能のような物
ギア4〜6枚の大きさが異なる歯車があり、クランクと噛み合うギアを変える事でスプロケットへの力の伝わり方が変わる
サスペンション(フロントフォーク、リアサスペンション)バイクが走った時の段差の衝撃を吸収する
インジェクション/キャブエンジンでガソリンを燃やすには空気が必要。その空気を外部からエンジン内部に取り込む
マフラーエンジンの爆発で起こった空気などを外へ消音しながら放出する
ブレーキバイクを止めたり回転を弱める事ができる
タイヤ車と違い丸みがあるタイヤだから、バイクを寝かせて(バンクさせて)曲がる事ができる
スロットル車でいうアクセル。スロットルを操作してエンジンの爆発回数(回転数)を調整できる
オルタネーターバイクのエンジンの力を使って発電させる
バッテリーオルタネーターで発電した電気を貯められて、エンジンを切った状態でもセルモーターを回したり、ライト類を付けられるようになる
レギュレーターバッテリーに流れる電圧を制御する

かなり簡単にまとめましたが、これでもカタカナの横文字が多くて、うーんと考えてしまう方がいるのではないでしょうか?

「バイクの主要部位の名称」の詳細はこちら
「電子制御サスペンションの種類と特徴」の詳細はこちら
「バイク電子制御テクノロジーの仕組み〜基本構造、アクセルワーク編〜」の詳細はこちら
「バイク電子制御テクノロジーの仕組み〜応用編〜」の詳細はこちら

そこで、よくある疑問を中心にバイクの構造の仕組みをもっと簡単に紹介します。

なんでバイクは排気量が小さいのに速いの?

バイクが危ない乗り物と言われる理由は、二輪で走るので転倒リスクがある事に加えて、スピードが出やすい事も大きな要因です。バイクは排気量が小さくてもスピードが出ます。

原付バイクは50ccの排気量しかないのに、ノーマル状態で60km前後(法令速度は30kmです)、ちょっとチューニングすれば70kmほど出ます。

車の場合、排気量が最も小さいのは660ccエンジンの軽自動車です。軽自動車は車体が小さい乗用車タイプで最高速度110km前後、ターボエンジン車で130km程度です。

それに対してバイクの場合、600ccのスーパースポーツ(CBR600RRやYZF-R6)では最高速度が240kmほど出ます(サーキットチューンした場合)。バイクが小さい排気量なのに速い理由は、車体が軽くエンジンが高回転まで回るからです。

軽自動車の車両重量は700kg〜900kgくらいですが、スーパースポーツの重量は150kg前後しかありません。さらに、ミッションバイクの多くはエンジンが1万回転以上回るため、小さい排気量でも大きなパワーを生み出せるのです。

小さい排気量のエンジンは、ただでさえエンジンの寿命が短いとされています。バイクは小さい排気量のエンジンを、さらに高回転まで回して走るので摩耗が車と比べ物にならないくらい早いです。

バイクはオイル交換などのメンテナンスを車より小まめにしたり、暖気運転が大事と言われるのは、エンジンに大きな負荷をかけて走らせているからです。

→バイクのエンジンについての詳細は、「バイクのエンジンの種類

バイクのエンジン
バイクってターボエンジンはないの?
余談ですが、軽自動車のターボの話が前述で出たのでバイクのターボについて紹介します。エンジンは爆発を起こすために吸気口が開いて外の空気を取り込みます。エンジンの燃焼で爆発して排気すると燃焼室の中には空気がなくなります。

そこに吸気口を開くと勝手に空気が入ってくるのが通常の自然吸気(NA)エンジンです。ターボとは、過給器をつけて機械で強引にエンジン内部に大量の空気を送り込みます。空気が多いと爆発力が強くなり、エンジンのパワーも大きくなります。

バイクは1980年代前半に一部の車種でターボエンジン車が販売されていた時期があります。しかし速すぎてコントロールが難しい問題などもあり、すぐに生産中止になってしまいましたその後は耐久性の問題などもあり、ターボエンジンのバイクは作られていません。

しかし、最近のスーパースポーツバイクにはターボの変わりに「ラムエアインテーク」という装置が取り付けられています。
ラムエアインテークとは、バイクが走る事で生まれる空気抵抗を利用して、エンジンの吸気口に多量の空気を流し込む筒のようなものです。
ラムエアインテークを使用する事で、通常の自然吸気よりも、大きな爆発が可能になりパワーも上がります。

バイクのタイヤがすぐに滑る理由

バイクのタイヤは丸みを帯びているため、寝かせて曲がる構造になっていますが、2輪ですので転倒してしまう事もあります。バイクのタイヤは丸みを帯びているので直進時の地面との接地面が車と違って小さいです。

タイヤと地面の接地面が小さいとスリップを起こしやすくなります。車の運転では雨の日に白線でやマンホールの上を走っても、どうって事なくても、バイクだとスリップしてしまう危険性が高いです。

→バイクのタイヤの選び方の詳細は、「バイクのタイヤサイズの見方と選び方


タイヤの溝が少ないバイクって危険じゃないの?
バイク用のタイヤは溝がたくさん入っているタイプと、溝の数自体が少ないバイクがあります。ここでいう、タイヤの溝の多い少ないは、タイヤの摩耗によって溝が浅くなっていく深さの事ではなく、新品の状態で入っている溝の数の事です。

バイクのタイヤがグリップする理由は、ゴムが溶けてタイヤが柔くなる方法と、山が付いている事によってタイヤが回る時に適度な負荷をかける方法があります。バイクのタイヤはコーナリング性能が高いスポーツタイヤになるほど、溝が少ないです。

レース用のタイヤは一切溝がありません。(スリックタイヤと呼びます)溝がなくてもレースなどで速く走れるのは、その分タイヤに熱が入りやすくすぐにゴムが溶けるからです。しかし、ゴムが柔らかいとその分タイヤの寿命が短くなってしまいます。

バイクの転倒事故では、実はハイグリップタイヤに交換しているバイクの人が多いです。ハイグリップタイヤは、タイヤが柔らかく溝が少ないです。
一定時間走ってタイヤが暖かくなれば、純正タイヤよりグリップ力が高くなりますが、タイヤに熱が入っていない状態は溝が少ない分スリップしやすいです。

溝がたくさん入っているタイヤは、タイヤのゴムが硬く熱で溶けにくくなっているからです。ゴムが硬い分、溝をたくさん入れて滑りにくくしています。ゴム自体が硬いのでタイヤの耐久性も高いです。

サスペンションは硬い方がスポーツ走行に向いている
サスペンションは段差などの衝撃を吸収してくれます。柔らかくなるほど快適な乗り心地になりますが、硬くセッティングした方がコーナリング性能が高いです。サスペンションは柔らかいと衝撃やバイクを倒した時に沈む動きと、戻る動きが大きくなります。

バイクを寝かせて曲がる時は、加重が大きくなりサスペンションも沈みます。サスペンションが柔らかいと、コーナリングでバイクを寝かせた時に、サスペンションがふわふわ減衰を繰り返して安定しなくなります。

そのためスポーツサスペンションは、コーナリング時にサスペンションが余計な動きをしないように全て固めの設定になっています。

サスペンションが固いと、段差の衝撃が大きく乗り心地が悪くなって、ちょっとした段差でサスペンションが衝撃を吸収しきれずタイヤが弾んで転倒しやすくなります。

まとめ

バイクの構造は、細かい話に掘り下げると難しい理論が多いです。私は簡単な整備は自分で行っていますが、プロの整備士ではないので、バイクの構造を完璧に理解していません。

しかし、バイクが走ったり曲がる理由を考えてみると、カスタムや安全なライディングに役立つ事が多くて面白いです。バイクライフを楽しく安全・快適にするためにも、バイクの構造や仕組みを勉強したり考えてみる事はとても重要です。

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